いま乗りに乗っているヘモ&ムーファイヤーの二人が超多忙の中、この夏に映像作品を含む3タイトル(『Watching U』『Escape TV』『Escape Villa』)をリリース。各作品とも彼女たちならではの現場感あふれるテーマに沿った芯のある作品ばかりだ。

東京を代表する女性サウンド・クルー、ヘモ&ムーファイヤー。その活動は、クラブ・プレイに留まらず、イベントの企画、レーベルの運営、そしてさらには自分たちがくつろげて楽しめる空間としてクラブまでオープンし、その動きは拡大する一方だ。その活発な動きを象徴するように彼女達の作品がこの夏に次々とリリースされる。

 まずは、自身のレーベルからV.A.『Escape』、V.A.『Indian Summer』、Ken-U『Doko』、V.A.『Soca Escape』に続く第5弾リリースとなるオムニバス・アルバム『Watching U』。ケン-Uの「Doko」というビッグ・ヒットを生み出したモンスター・リディム "Escape" に代表されるようにソカ・テイストを盛り込んだ踊れるチューンを中心にリリースしているが、今作は純粋なジャマイカ産ダンスホールということで、これまでの“Bacchanal”というレーベルではなく“Escape 2 Dancehall”というレーベル名での初リリース。エレファント・マン、ウェイン・ワンダー、ヴォイス・メール、レディ・ソウなど、ジャマイカの人気アーティストに加え、Bacchanalお馴染みのジャパニーズ・アーティスト、ランキン・タクシー、ケン-U、ミッキー・リッチなどを収録してる。

 お次ぎは映像作品。これまでダンス・ヴィデオ(DVD)をリリースしてきたが、今回はこれまで10年以上ジャマイカに通いつめ、ジャマイカの音楽業界を中心に交流を深めてきた彼女たちならではのジャマイカの様々な情報や文化を盛り込んだ映像作品。レポーターはダンスホール・クイーン、ジュンコが担当し、ダンスはもちろん、ライフスタイル、食べ物、サウンド・システム、さらにはトリニダードでのプレイやジャマイカの若手ダンサー、Kadillacのダンス・ショウケースや日本のダンスホール・シーンまで紹介した盛りだくさんな内容に仕上がっている。

 そして最後は、これまで『On The Beach』『Under The Blanket』という2枚のアルバムを出してきたヘモ&ムーファイヤー・プレゼントによレゲエ・カヴァー・アルバム企画の第3弾。毎回コンセプトを決めてそのシチュエーションに合った楽曲がセレクトされているが、今作は恋人たちがジャマイカのポートアントニオあたりのヴィラで一晩過ごすのに最適な仕上がりで、タイトルも題して『Escape Villa』。既に7インチで数タイトルがリリースされているが、ディーン・フレイザーによる書き下ろしオリジナル曲やアンソニー・Bによるボブ・マーリー・カヴァーなどなど、新しめの曲から古いものまで幅広いがスウィートな楽曲が多数収録されている。
 各作品とも非常に個性的で、ある意味ヘモ&ムーファイヤーの様々な角度から見たジャマイカ、そしてレゲエというものを堪能できる作品に仕上がっている。今後、彼女達がどう動きをしていくのか興味深いところだ。


"Hemo+Moofire Presents Escape Villa"
V.A.
[Warner / WPCL-10272]
"Watching U"
V.A.
[Escape 2 Dancehall / BACD-005]
"Hemo+Moofire Presents
Escape TV"
DVD
[Escape / THDVD-004]