関西を中心に活動し、様々なレーベルのコンピにフィーチャーされてきたDJ、Peter Manが自らのレーベルBlappaneseを始動させ、同タイトルのミニ・アルバムをリリースした。夜の街、アメ村のKing's Tone LoungeにてPeter Manに意気込みを聞いた。

 自分のレーベルを持ってリリースしていきたいという想いは3年前くらいからあって、例えばジャマイカでもアーティストが自分のレーベルからリリースというのはよくあるじゃないですか、Buju(Banton)とか。リズムもトラック・メイカーも自分のセレクトでプロデュース/コントロールしていきたかったというのがあって。最初はフル・アルバムを作るつもりでしたが、まずはレーベル名でもある『Blappanese』というミニ・アルバムを挨拶代わりにリリースしてからということにしました。

 タイトル曲「Blappanese」のリズム・トラックはSumeet feat. Elephant Manの「Agony」を手掛けたBrukkoutが制作。この人についてはあまりよく知らなかったけど、リリックはしっくり乗っていると思う。この曲でも歌ってるように友達の車から聞こえてきたレゲエにヤラレて、クラブ通いで当時のロックDやターミネーター、レッド・プリンスなんかを見て、河内長野で小さいスピーカーを並べて音を出して、そして約10年DJをやってきて今回のリリースに到ったのだけど、達成感というよりは、まだまだ始まったばかりだし、やっと一歩踏み出した感じです。

 シンガーDanとのコンビネーション曲「Layla」はDaddy Dragon (Dragon Farm) 制作のスカっぽい陽気なチューン。オケの雰囲気は夏向きぽいですよね。特にどちらからアプローチしたというのではなくて「こんなリズム作ってるんスよ〜」「俺も今アルバム作ってるねん、じゃあそれ一度聞かせてよ」みたいな、まあ物々交換みたいなもんですよね(笑)。ハーモニカはスカイライン・バンドのトニー・ザ・ウイードが入れてくれた。今年の最初のライヴもスカイライン・バンドと一緒にやったんですが、これからはバンドでのライヴも充実させていきたいですね。

 「夜の街」はリリックがとても面白いと思う(手前味噌ながらこの曲のリズムは筆者が手掛けた)。実はありものヴァージョンで作ってたデモを(筆者に)聞いてもらって「いいやん、やっていこうよ」と言われたのも一つのきっかけだったんですよ。

 制作にとりかかった時点ではまだリリースするあてもない状態だったんですけど、エグゼクティヴ・プロデューサーであるGocci(En-Joint)から突然電話があって「アルバム作ってるならウチから出そうよ」って。じゃあとにかく行きます、みたいな(笑)。アーティスト兼プロデューサーとして色々苦労したこともあったけど、次の動きに活かせるような、勉強になることが多かった。Gocciが権利やら自分が判らない部分もサポートしてくれた。曲数は少ないけど、自分の色々な面が満載なので隅から隅迄聞いてください。今回の収録曲以外にもレコーディングしてるので、次回はアルバムでもっと自分の曲を聞いて欲しいですね。構想としてはシンガーや他のDJとのコンビものばかりを入れたアルバムも面白いかな?とか、色々考えています。

 現場での見事なラバダブは永いキャリアの賜物で、どんなリズムでも余裕綽々、そんな彼のフロウに惚れた筆者は酔ったついでに「今度はセレクターさせてよ」「のんびりラバダブ・ナイトをやりたいね」など勝手な希望を押し付けてインタヴューは終了。次に控えるアルバムも楽しみだが、まずは皆、この「Blappanese」を堪能して欲しい。



「Blappanese」
Peter Man
[En-Joint / BLMC-001]