HOLD THE FAITH / WARRIOR KING
[VP / VP1708 ]

2002年冬に一番良く聴いたレゲエ・アルバムが彼の『Virtuous Woman』だったかもしれないという程よく聴いた1stアルバムから早3年。ようやく2ndアルバムが到着。インパクト大なジャケット通り、全編壮大なる超ド級のルーツ・ロック・レゲエで押しまくる。当然、半端な曲など一切なし。しかも人懐っこいメロディセンスは更に磨きがかかっているので、その手のファンの琴線に触れる事間違いなし。[輸入盤](大場俊明)

INNA DE YARD / LINVAL THOMPSON
[MAKA SOUND / IDYCD003]

Earl "Chinna" Smith、Kiddus Iに続きMaka Soundoによるアコースティック・シリーズ最新作。独特な歌声でルーツ・レゲエ・ファンに支持者が多いシンガーです。シンプルなサウンドとマッチしていて、削れば削るほど素のままの個性が発揮されるんですね。Linval節、いまだ衰えず現役。多くの可能性を秘めた『Inna De Yard』の試みは、刺激と癒しを与えてくれます。森の中から生まれたぬくもり。[輸入盤](磯野カツオ)

RAW RAW DUB / BUSH CHEMIST
[ROIR / ROCD 8292]

ロンドンのコンシャス・サウンズ・スタジオを拠点として活動をしているエンジニア、ブッシュ・ケミストの久しぶりとなる新作ダブ。録音、ミックスは当然、全てコンシャス・サウンド・スタジオで行われている。相変わらずのズ太いベースの効いたヘヴィなダブ・サウンドを聞かせてくれ期待を裏切らない。リディムもステッパー、ワン・ドロップと様々。ダブ・プレートとしてもじゅうぶんに使用可能。[輸入盤](長井政一)

FIVE 'N' YELLOW / JIM MURPLE MEMORIAL[PIAS RECORDINGS / PIASF120CD]

益々Good Musicに磨きをかけたフランスのスカ・バンド、Jim Murple Memorial。映画を観た時の胸がワクワクする想いや、青春時代、純粋に音楽を聴いた記憶が蘇る…そんなイメージを持ちました。ジャズもブルースも彼らのフィルターを通過。つまり憧れを形にした夢追い楽団なんです。オールディーズとは、ジャンル関係なしにいつまでも人の心に残るもの。明日、目が覚めたら聴いて下さい。[輸入盤](磯野カツオ)

LIVE AT STUBB'S / MATISYAHU
[EPIC / EK96464]

ジャム・バンド・シーンからもラヴ・コールを受ける才人のライヴ・アルバム。ヒョーマン・ビート・ヴォックスもこなし、詠は更に魅力的。直球のルーツ・レゲエからスリリングな展開のあるジャム風ロック・テイストまで幅広い内容。聴いていると自然に熱くなってしまう。溢れ出るヴァイブスは並じゃない、何と形容していいのか迷うところですが、マイク・パフォーマンスの達人、これがピッタリ。[輸入盤](磯野カツオ)

CHANT DOWN BABYLON / V.A.
[CHARM / CRCD3154]

同レーベルから春頃にリリースされた『Rastafari Lives』と同じコンセプトで制作されたと思われるルーツ&カルチャー系のコンピレーション。90年代後半のヒット・トラックを中心としたセレクトで、シズラ「ノー・ペイン」、モーガン・ヘリティジ「ドント・ハフィ・ドレッド」など、現在でも人気の高いファウンデ−ション・チューンがギッシリ。大好きなガーネットも2曲収録されている!![輸入盤](小池信一)

クロージズ・ドロップ/シャギー
[ユニバーサル/UICF-1053]


かなりヒップホップやR&Bのマーケットを意識した作りのように感じます。しかし「狙いました」的ないやらしさは全く感じさせません。むしろ1曲目の“ヘヴンレス”リメイク・オケ使用曲で、女性コーラスがイエローマンの名曲フレーズを使用している事が象徴しているように先人達へのリスペクトを感じる曲が多い。これこそ本作が正にいま最先端のダンスホール・スタイルである事を証明している気がします。(鎌田和美)

フー・ライクス・マッカB・ミュージック?/マッカB[P-ヴァイン/PCD-24172]

マッド・プロフェッサー率いるアリワの看板DeeJayとして、これまで16枚以上のアルバムをリリースしてきたマッカBは、なぜか日本での人気はイマイチ。個人的に好きなアーティストなのでもっと売れて欲しいと思うのだが…。トニー・レベルとのコンビでJAでもヒットした「Deejay Unity」、コフィと絡んだアリワらしい「Dread A Who She Love」他、これまでのヒット曲を網羅したベスト盤。いい声してます!(武田洋)

カミン・イン・タフ/フレディ・マクレガー
[ビクター/VICP-63166]

既に紹介済みのアイテムだが、めでたく日本盤がリリースされたので改めて紹介。制作は意外な組み合わせというか、なぜか初タッグとなったボビー“デジタル”ディクソン。リメイク物にかけては天下一品の味を出してくれるデジBの音にフレディの歌が合わない訳がない。「Lock It Down」といったヒット曲や名曲のカヴァーもいいが、その他オリジナル曲も美メロが多いのが嬉しい。日本盤はボートラ2曲追加。(大場俊明)
レヴォリューション・ピープル/ロード・バイロンD[P-ヴァイン/PCD-22221]

ヨーロッパ中を放浪していたニカラグア出身のラスタマン、ロード・バイロンDの遅すぎたデビュー・アルバム。スペイン語、英語、パトワを使い分け、アコースティック・ギターを弾きながら切々と唄う様は、ジョー・ギブス、リトル・ロイ、バニー・リーらをして「これぞレベル・ミュージック、ボブ・マーリーの魂の復活を感じた」と言わしめたほど。ケンジ・ジャマー、タン・タンらのサポートも光る大作。(武田洋)

スロウ・ダウン・ユア・アームス/シネイド・オコナー[ビクター/VICP-63188]

彼女がリトル・ロイのファンとかいう話は聞いていたけど、遂に全編レゲエ・アルバムを作ってしまいました。プロデュースはスライ&ロビーでバーニング・スピアの曲など名曲ばかりをカヴァーしております。かなり濃い曲を明らかにレゲエ・シンガーには無い独得のムードで決めてますが、ロック・シンガーがやったレゲエにありがちなダサさは皆無。凄くクールですが、厭味無い感じは、意外とありそうで無かった。(鎌田和美)

ナイト・フード・アウトテイクス&ブラック・アーク・セッションズ/ヘプトーンズ
[P-ヴァイン/PCD-2611]

数あるヘプトーンズのアルバムの中でルーツ期で選ぶとすれば76年リリースの2作『ナイト・フード』『パーティ・タイム』が代表作だろう。それら録音時のアウト・テイクと、リー・ペリーのブラック・アークに残されていた秘蔵音源をパッケージ。このヤバいブツをグロウしたのはやはりあのオーララックス!! ヘプトーンズの力強くて繊細なコーラス・ワークは、美しいジャマイカの夕暮れが良く似合う。(小池信一)

サム・カインダ/ドゥウェレイ
[東芝EMI/TOCP-66459]

2年ぶりの2枚目。J・ディラやコモン等、いかにもなコラボに加え、マイク・シティら新しい顔触れも見受けられるが、“モコモコでパシャパシャなトラック上で艶かしい筆致のヴォーカルがメロウな歌世界を描く”という基本スタイルは前作を踏襲。ただし、ジャズを軸にまろやかな世界観を前面に打ち出している辺りからは、確実な進化が見て取れる。特に自作曲から感じられる“個の確立”には舌を巻くばかりだ。(石澤伸行)

チャーリー、ラスト・ネーム・ウィルソン/チャーリー・ウィルソン[BMG/BVCQ-21051]

泣く子も黙る大御所による3枚目。余裕の風情を決め込みながらここぞという場面でキッチリ吼えてくれる往年のスタイルが堪能でき、冒頭数曲だけでも満足度は保証付き。しかし彼はスヌープ、トウィスタ、ジャスティン・ティンバーレイクら“イマな人々”とのコラボもこなしているワケで、ガイ「Let's Chill」のカヴァーや総合監修を務めたR・ケリーの“復活請負人”としての優秀さを含め、これこそマスト盤也!(石澤伸行)

チャプター・3:ザ・フレッシュ/シリーナ・ジョンソン[BMG/BVCQ-21052]

3年ぶりの3枚目。カニエ「All Falls Down」への参加もあってか、アルバム全編に渡るシカゴ色はますます濃く、ジャーメイン・デュプリの仕事までがシカゴ流儀満点なのにはビックリ。でも今回は“非シカゴ”な楽曲にも充実作が多い。彼女がブルージィな感覚から解き放たれて、アップ曲で伸びやかに躍動したり、メロウ・チューンで流麗に決める姿は新たな魅力を放っているし、いくつかのフィリー作も最高だ。(石澤伸行)

ソウル・プロヴィデンス/カーリーン・アンダーソン[ビクター/VICP-63139]

UKソウルの女王による3年ぶりの4作目。ポール・ウェラーとの共演曲を始めとする溌剌アップ群が思いっきりヤング・ディサイプルズを想起させる一方で、スタイリッシュなファンク曲や流麗ミッドでのメロウな振る舞いには、彼女の新たな魅力をみる思いだ。でも今回は、サウンドに融和しつつひた向きに歌った場面での成果が大きく、それがアルバム全体のトータリゼーションにも確実に繋がっているような。(石澤伸行)

イルミネーション/アース・ウィンド&ファイアー[BMG/BVCM-41012]

2年ぶりの新作。ウィル・アイ・アムやフロエトリーの参加は、御大たちのファンクに“イマ風の小気味良さ”をもたらし、ラファエル・サディークやケリー・ローランドらの仕事も“参加出来たこと自体への喜び”に満ちていて、聴いているこちらもイイ気分に。その一方で、グループの自力曲に宿る“ピュアなメロウネス”も得難い魅力を放っているわけで、彼らの“神通力”はまだまだ生きているのだとつくづく。(石澤伸行)

ジーニアス&フレンズ/レイ・チャールズ
[ワーナー/WPCR-12206]

レイが生前に“最後の願い”として行った他アーティストとのデュエット録音を集めた豪華企画。リーラ・ジェイムス、アンジー・ストーン、ジョン・レジェンド、アリシア・キーズらによる“悪いワケがない”演目から、ダイアナ・ロス、パティ・ラベル、ジョージ・マイケルあたりが“組み合わせの面白さ”で成果を出した事例に至るまで、それぞれに“泣きの型”みたいなものがあるように思えてくるのが面白い。(石澤伸行)

キャンプファイヤー・ヘッドフェイス
/ボーズ・オブ・カナダ
[ビート/ニンジャ・チューン/BRC-139]
前作から3年ぶりに遂にその全貌を表した最も孤高なアーティストのひとり、ボーズ・オブ・カナダによる新作。幾層にも重なった美しくサイケデリックなサンプルに隙のないブイレクビーツが混じり合って生成される混沌としながらも凛とした音世界。インストながらボーズ節100%としか思えない最高のオリジナリティで又しても世界中のボーズ・オブ・カナダ・フォロワーの心を鷲掴みにしてしまう傑作の誕生。(高橋晋一郎)

プロバブリー・アート/デイ・ワン
[ラッシュ!/ACCR-10041]

あのマッシヴ・アタックに見いだされたグループとして2000年に1stアルバム『Ordinary Man』でデビューしたフェリム・バーンとマシュー・ハードウィッジによるデイ・ワンによる最新作が届けられた。今回もビースティ・ボーイズの片腕として、またジャック・ジョンソンのプロデューサーとしてお馴染みのマリオ・カルダートJr.がコラボレート相手。より重層的な旨味を足した新しいカラーで進化を遂げている。(高橋晋一郎)

ブリリアント・カラーズ/ダブル・フェイマス
[ビクター/VICL-61732]

彼らにとって03年にリリースされたライヴ盤以来の作品となる本作は、タイトルが指し示す通りカラフルでヴィヴィッドなサウンドが詰まった最高の充実度をみせた作品。ジャパニーズ・エキゾチカが、決して何かの借り物として展開されるのではなく、完全にオリジナルなスタイルと自由な創作性を持って届けられたこれらの曲は聴く者に全く知らない場所を連想させるほどの勢い。ジャンルを超えるとはこのこと。(高橋晋一郎)

ラ・ラ・ラ・/アルツ
[時空/ラストラム/LACD-0081]

大阪の美園で行われているパーティー「Flower Of Life」を中心に活動を行うアーティストでありDJのアルツのよる2ndアルバムがリリース。スティーブ・コーティのレーベル、ベア・ファンクから12"をドロップした事で更にファン層を拡大していただけにオンタイムな作品発表。ファンキーながらも随所に散りばめられたエフェクティヴな遊び心は病み付きになる程の中毒性。最近のリリースに食傷気味なら正しくマスト。(高橋晋一郎)

オールド・ハビッツ/ユンキー
[ウーツー/WUCD-3003]

在英韓国人の脱力系変テコ音楽家ユンキーが、2003年に韓国国内で1,000枚だけこっそりとリリースした作品がこの度めでたくも国内発売となった。かつて日本発売された他の作品と比較しても本作ののほほん度はずば抜けている。リズムマシンの音もキーボードの音もチープ度では圧倒的に上回っているし、なによりも気の抜けてもったりとしたこのギリギリの間のとり方は、誰にも真似の出来ない代物だ。(大場俊明)

エントモフォニック/ジマニカ
[MAO/DDCM-5006]

ドラムのみのインプロヴィゼーション作品と言えばFlying RhythmsやECDとの共演で知られるドラマー久下惠生のソロ作『Kuge.』が挙がるが、このJimanicaによるソロ・アルバムも凄い。ラップトップとサンプラーを駆使し微妙な味つけをしつつも、基本的には生ドラムのみによるリズムだけで45分以上も聴かせてしまう彼の表現力は尋常ではない。彼の名は、今後も様々なプロジェクトで目にするはずだろう。(大場俊明)