ZeebraDJ Ken-BoAktiona.k.a. 真木蔵人)らといったUBG系のアーティストの事務所としても広く知られているソロモン・アイ・アンド・アイ・プロダクションは、レゲエにおいても長きに渡って独自の方法論で良質な音源を提供して来ている存在である。その彼等が、新機軸として、東京を中心に活動してきたレゲエ・バンド、Bredrenを中心に据えた制作活動を開始。第一弾のアルバム『Forward To Roots』を満を持してリリースするという。そこでブレジンのメンバーと、レーベルを代表してエグゼクティヴ・プロデューサーのYuji "Natty" Kanekoに話しを聞いてみた。

まず、リディム読者のために、アイ・アンド・アイのレゲエ・サイドにおけるこれまでをお聞きしたいんですが。
Natty(以下N):そうですね。まず僕が88年頃から4年ぐらいに渡ってジャマイカに滞在していて、その時に(Garnett Silkのマネージャーでもある)Jah Mikesっていう現地の仲間と一緒にカリアング・レコーズっていうレーベルを始めたのが最初ですね。

Garnett Silkは、彼がジャマイカでBurstする以前からの付き合いな訳ですよね。
N:そうですね。Garnettとその周辺にいたアーティストたち。Anthony Bとか、President Brown、Collins(=Sizzla)とかもそうなんですけど、長い付き合いですね。今もまだ付き合ってる連中っていうのは、もう本当に気持ち良く付き合える仲間です。

Zeebraさんの事務所として機能するより前の話しですよね。
N:その前です。その当時、Garnettを日本に呼んだりもしたんですけど、少し早かったみたいですね。でもシーンの人達はとても喜んでいました。

蔵人さん監督のサーフィン・フィルム『サーフ・フード』シリーズのサウンド・トラック中の曲として、カリアング音源を中心に、実は多くのレゲエ作品を既にリリースして来てますね。
N:あれは最初のヴィデオを出した後にそういった要望を多く聞いたもんですから、インディーズ作品として出していこうという事になって、その後の蔵人が監督した作品でもサントラを続けてみたんです。

その辺りからジャマイカン・アーティストも日本人も一緒になったコンピレーション的な発想は既に出来てたと思うんですけど、今回はそこにBredrenという核になる存在を据えて、より明確にレゲエにシフトしたっていうところですか。
N:そうですね。体制が整ったって言いますか、Bredrenもバンド全員でジャマイカに行って、向こうのアーティストのバックを務めるといった経験を経て、そろそろそういうものを作れるタイミングが訪れたって感じですかね。

制作にはどのくらい時間がかかったんですか?
Yoshi(ベース奏者/以下Y):結局1年半ぐらいかかりましたね。まぁ、今回はこれぐらいの時間をかけなきゃいけなかったって事だと思ってます。

今回は“New Roots Reggae”という事を全面に押し出してますが、その辺について詳しく聞かせて頂きたいのですが。
Y:“Back To Roots”っていう言葉はこれまでもよく使われてきたと思うんですけど、今回タイトルにもした“Forward To Roots”っていう考え方なんですね。“ルーツを顧みる”という事も非常に重要なんですけど、21世紀にレゲエを作っていく自分らとしては、それを更に推し進める。前に向かってポジティヴなメッセージを送る。サウンド的にもバリバリなダンスホールではなく、ワン・ドロップなレゲエにしたっていうのもあるんですけど、そういったメンタル的な意味合いが大きいんです。
N:ラスタは根本的に過去に執着しないっていう考え方があるんです。常に“Forward”。
Y:僕等はバンドとしては、当初、ダブ・バンドを作ろうと思って始まったんですけど、これまでヒップホップのバックもやって来ましたし、ダンスホールもやって来ました。常にどのジャンルでも中途半端な演奏にならないよう、その辺は徹底して来たつもりなんですけど、自分たちの名刺代わりになる最初の作品を作るに際しては、やっぱり“Forward To Roots”なものを作りたかった。参加してくれたアーティストもその辺を理解してくれて、本当にいい曲をもらう事が出来たんで感謝してます。後、広告には間に合わなかったんだけど、10月21日のageHaでのリリース・パーティには、Anthony Bの来日が決定したんで、みんな是非、遊びに来て下さい。

 Luciano、Anthony B、Chezidek、Turbulanceといったジャマイカ勢の面子、クォリティはもちろん、Mackaruffin & Shangoといった在日ジャマイカンも起用し、彼等もそれに応えたナイスな曲を披露。加えて日本勢の内容がいい。Criss & Truthfull & Zeebra。Boy-Ken & Junior Kelly(!)。Ryo the Skyawalker。個人的にはHibikillaの曲と、ChappieとRudebowy Faceのコンビネーションの良さにヤラれた。新たな地平を切り開く風となるか。これからの彼等の動向、そして東京レゲエの今後も気になるところだ。


"Forward To Roots"
Bredren
[Solomon I & I / TGCS-2902]
【Bredren Release Party】
10/21(Fri)
東京新木場 Studio Coast ageHa
[出演]Bredren, Zeebra, Truthfull, Criss, Ryo the Skywalker, Boy-Ken, Chappie, Rudebowy Face, Hibikilla, Anthony B, etc.
[問]ageHa/03-5534-2525