●生い立ちについて話して下さい。
「ジャマイカのキングストン生まれだよ。母親のことは殆ど覚えていない。父親とも離れて暮らしていたから、おばあちゃんが両親みたいなものだった。貧しくて学校に通うのも一苦労で、でも、おばあちゃんが市場で物を売って食べさせてくれた。おばあちゃんが病気になって、父と一緒に暮らす様になったんだけど、とにかく厳しい人でね。友達を作ることすら許してくれなくて、孤独だったよ。その父とも14歳の時に離れて、遂にはホームレスになってしまったんだ。一年間そういう状態が続いたんだけど、そのことが僕の人生を変えたんだ。僕は何としても出口を見つけなければならなかったし、音楽がまさに救いだった。そこから音楽を始めて、ARPのメンバーと出会ったんだ」
●そのARPですが、何故解散したのですか?
「利害がぶつかる様になったから。途中でソロ活動も始める様になったんだけど、それもグループとしての活動とバッティングしたしね。ARP時代は素晴らしい経験だったよ。興奮に満ちた修行の日々。コリン・ギルバートとは今でも一緒に仕事してるんだ」
●ダヴィルというステージ・ネームのいわれは?
「本名がOrvilleだから、OrをDaに変えただけ。大した意味はないよ」
●初めてマイクを握ったサウンドは?
「SwitchとStone Loveだね」
●影響を受けたアーティストは?
「マキシ・プリーストからはパッションを、マイケル・ジャクソンからはクリエイティヴィティを、ボブ・マーリィからはコンシャスなフロウを学んだね。中でもボブは最もグレイトだよ。まあ、僕はジャンルを問わず色んなアーティストの作品を聴く方だけど」
●マーシャ・グリフィスとの「All My Love」はカーラ・ボノフの曲ですし、大ヒットした「In Heaven」にしてもブライアン・アダムスの曲ですもんね。
「今まで取り上げたカヴァーは全部好きだね。歌わずにはいられなかった、ってくらい好きな曲ばかり。カヴァーする時のポイントは、僕自身がその曲をどう感じ取ったか、ってことで、メロディーや歌の内容はその次なんだ。レゲエのヴァイブスや自分なりのプラスアルファを加えること、あと自分が歌うとどうなるかってことをシミュレーションすることも大切にしてるよ」
●あなたは時折“シング・ジェイ”スタイルを見せますが…。
「正直僕は自分がシング・ジェイだとは思ってないよ。基本的にシンガーで、ディー・ジェイも出来る、って感じかな。それが自分のスタイルなんだ」
●この作品はあなたにとってどんな作品ですか?
「沢山の意味があるよ。初めてのアルバムだし。これは僕が一人前になった証であり、ずっと待ってくれたファンへのプレゼントでもあるんだ。これまでにリリースした重要な曲もしっかり入ってる。簡単に説明しようか? "Mamas Potait" のプロデュースはファイアー・ハウスのジョージ・ミラーで詞は僕だ。母親に捧げた曲だよ。次の "In Heaven" は僕のプロデュース曲。ブライアン・アダムスがオリジナル。"Gallis" はファイアー・リンクスのディン・ジョンソンのプロデュース、"Weh She Want" は日本のSunsetのバンバン&ディジーがプロデュースしてくれた。この2曲は女好きで体力が有り余ってる男たち向け。"Jump Off" や "Bring It On (Hey Baby)"、"Gal Yu A Murda"、それと"Out Of My Head"、"Grown Man Cry" はパーティー・ピープルのために作った曲だよ。
"Out Of My Head" は僕とJ・ブラウン(Fashozy)でプロデュースして、スプラガ・ベンツと共演している。"Grown Man Cry" はネヴィル・パーマー(Nap Musiq)、"Crazy" はリチャード・ブラウニー、"Love Will Show Me The Way" はドノヴァン・ジャーメインがそれぞれプロデュースしてくれた。"Love Is..." は失恋した人たちに向けて作った曲さ。
"Chill" や "She"、"The One For Me"、"Baby Bleu" は個人的な体験や人間関係がベースになったもので、シン・バッド & フレンチーがプロデュースした "My Grade" はハッパ好きの奴らのための曲。"All My Life" と "Can't Fight This Feeling"(オリジナルはREOスピードワゴン)は自分の気持ちを特別な人に大胆に表現することをいとわない愛の狩人たちを代弁っして歌ってるんだ」
●ショーン・ポールやウェイン・ワンダー、T.O.K.らの成功をどう見ていますか?
「彼らの成功を見る限り、彼らがやっている音楽とリスナーとが上手く通じ合ってると思う。それらが音楽全体のパズルの一部を埋めてくれる訳で、僕も嬉しいよ」
●レゲエ・ミュージックの可能性についてどうとらえてますか?
「もう驚くくらい急に大きくなってきたけど、もっともっと成長すると思う。未来は明るいね。個人的にはもっと色んな国に行ってみたい。カリブの国々とアメリカと日本くらいかな、ショウをしたことがあるのは。日本も凄く印象に残っているし、いい人ばかりだったよ!」
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