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 暑中お見舞い申し上げます。といってもこの原稿を書いている今は梅雨時なんですが、NYはもう夏です。アフリカの問題もこのコラムで何度か取り上げて来たのですが、ブッシュ/ブレアの共同宣言というか、アフリカ諸国の援助を拡大するという呼びかけがありました。勿論、読者の皆さんは、これを素直に「ブッシュも良い事をする」とは思わないでしょうが、アフリカを援助している国で最も金を使っているのは、実は日本なんですね。この事を報道していたのは、BBC系のニュースだけでした。例の中国の日本バッシングの一連の報道で、中国の大学教授かなんかが、「毛沢東はアフリカ諸国を援助し続け、アフリカ諸国からも信頼されている。だから、国連加入がアフリカ諸国からの投票で決まった」と言っていた。だから、日本もアフリカをもっと援助すべきだと言っていたが、こういった用心棒的な知識人が、見え見えの嘘を平気でついている。

だからといって、手放しに我々は良い気分になっている訳にも行かない。一体どれだけ支援すれば、貧困がなくなるのか? 結局、仲介人やアメリカやヨーロッパが仕立て上げたアフリカン・リーダー達が、援助金をガメているから貧困は無くならないのだ。そして、アフリカが永遠に植民地としか存在出来ないシステムが存在する。何度も書いているが、今回のイラク戦争に参加しなかったドイツもフランスも、今でもアフリカ領を所有している。本当にアフリカに必要なのは、独立し、外国のダイヤや金、鉱物のアフリカでの採掘権を放り出す事では?

今月のデモ
 暑いNYで偉いと思うのは、デモが盛んになる事だ。その中でも、このコモディティとなってしまったヒップホップの世直しを目論むR.E.A.Cというグループだ。彼らは例のFM局、ホット97のモーニングショウでの不祥事、「津波ソング」というパロディで、アジア人、女性をバカにしていると言われる事件が発端となり、多くの注目を浴びた。6/11、NYのユニティ・ホールで行われたこのグループが主催するミーティングでは、『ヴァイブ』などでおなじみのケヴィン・パウエル、ラス・バラカ、カッティン・キャンディなどをスピーカーとして迎え、ホット97が会社単位で一連の事件の責任をとるべきとアピールした。モーニングショウのプロデューサー、ホステスのミス・ジョーンズは、謹慎、減俸の処分を受けたが、局のオーナー会社の重役達は、なんの処分を受けていない。今では大きなオーディエンスで、アジア人のファンを擁するヒップホップ・コミュニティだが、ホット97を閉局に追い込めるか?

今月のジャム
 そのホット97が毎年催す「サマージャム」がNJのジャイアンツ・スタジアムで6/5行われた。ジェイZのサプライズがあったり盛り沢山の内容だったが、ハイライトはGユニットと揉め続けているゲームのショウだ。毎年、あらゆるビーフのハイライトともなっている同イヴェントだが、ゲームはショウの合間に50や、同ユニットのメンバーを揶揄し続けた。更にネズミの様なマスコットがGユニットのギアを着ていて、それを50セントと呼び、「俺はネズミの穴から這い出し、チーズを得た」と発言、マスコットを殴り倒し、ゲーム所有のGユニットのメダリオンを会場に放り投げた。また、これもショウなんでしょうか?

今月の菜食主義
 PETAという団体をご存知だろうか? 動物虐待の撲滅、菜食主義、毛皮の禁止を訴えるグループだが、多くのミュージシャンやスーパーモデルなどがメンバーとなり、若い世代に呼びかけている。この度、ヒップホップ・コミュニティからのサポートも得て、そういったイヴェントが増えると発表。コモン、ルーツ、ファーサイドのイマーニなどが名前を連ねている。ファレルも会場に登場したが、独自のブランドが、スウェットショップ(いわゆる発展途上国などで低賃金で労働力を酷使する工場のシステム。ナイキなどの大会社が、これによって生産コストを下げ大きな利益を上げているが、そのホスト国にはなんの保証もない。多くの工員は、小学生だったり、劣悪な環境で、工場で使用される接着剤などで健康を害するリスクも大きい)を使っていると会場のオーディエンスに糾弾され、痛快だった。いい人ぶるのは止めよう?

今月のカムバック
 Qティップが、ヒップホップに戻って来た。6/8のパワー105の午後のエドラヴァーの番組にゲストで出演した彼が、そう宣言した。ここ数年、バンドで歌っていた彼だが、レコード会社との確執などが原因で正規にリリースはなかったが、今回は100%ヒップホップの内容でニュー・アルバムをドロップするそう。同番組では、現代のシーンについての不満をぶちまける一面もあり、僅かなプロデューサー達がモノポライズしていると発言。しかし、番組でかかっ た曲は、そういったモノばかりで、うーんどうなんだろう?




沼田 充司
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DJ/プロデューサー。 レーベル<ブダフェスト>主宰。 雑誌『ブラスト』でも執筆中。 ニューヨーク在住。 (Photo by Tiger)