2003年に1stミニ・アルバム『カルカヤマコト』をリリースし、ハスキーで気怠く独特な歌声を聞かせ、独特の存在感を見せたカルカヤマコト。その後もジャマイカのプロダクション、Q45によるダンスホール・チューン「Gal Anthem」含む2ndミニ・アルバム 『Black And Browny』をリリース。この作品からは「Gal Anthem」をシングル・カット。カップリングにはCFソングにもなった「Happy Birthday To You」と前2曲のDJ Banaのノンスットップ・ミックスが収録されていた。2005年2月にはこれまでの楽曲から厳選された5曲をリトル・テンポやドライ&ヘビーのミキサー内田直之とソウル・ファイヤーのHavの手によってダブ・ミックスされたアルバム『Black And Browny+Dub』をリリースする等、様々なトピックと共に注目される存在となっている。その彼女が3枚目となるミニ・アルバム『Money Voice』をリリースした。
今回は“生音にこだわった”作品と言うことで、暖かみのあるゆったりとしたサウンドの中に彼女ならではの美意識を感じさせる作品になっている。1曲目は彼女の愛娘リタに捧げたナンバー「Lovery Rita」。レゲエではアルトン・エリスに代表される「La La Means I Love You」のサビを上手く取り入れ、思い入れたっぷりの歌詞で聴かせている。2曲目はコンピ盤『宇田川ラヴァーズロック・カフェ』にも入っていた曲で、Max Romeoの代表曲「Chase The Devil」のトラック、同じメロで歌われる「Fi Them Chat」。その他にもジャズ・アレンジの楽曲によるセッション風ソングやボブ・マリーの「No Woman, No Cry」やビリー・ホリデー「Lover Come Back To Me」のカヴァーを収録しているが、相変わらずどの曲でも彼女のヴォーカリストとしての個性を強く感じさせてくれる。
しかもどの曲でも彼女の生活から見えてきた考えや思いがリリックに映し出され、脱力感を伴ったゆったりとした空気の中でクール且つスタイリッシュに歌われている。つまり、ゆったりした時間の中で心にグっと入ってくる言葉、メロディとして気持ちよく通り過ぎていく言葉、その2つが上手くブレンドされカルカヤマコトの声の存在が更に際立つのだ。特にオリジナル・ソングで聴かせる創造的なリリックスは個性的だ。演奏の方は、どの楽曲も無駄なくシンプルなサウンドで、楽器本来の音の良さを100%活かし生々しく聞こえる。演奏自体も、アイディアと間が上手く表現された人間らしい演奏で、絶品のバンド・サウンドを聴かせてくれている。
今回、生音をバックに表現されたカルカヤマコトの歌声だが、これまで様々なスタイルで聴かせてきた彼女だから、今後の作品ではどんな表現で自分を見せてくれるかが楽しみだ。
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