DVD
k.dope.eps 1. Wu-Tang Clan / 燃えよウータン!36房最強の弟子達〜ウータン・クラン再集結記念ライヴDVD (BMG)
奇しくもODB参加の最期のライヴとなってしまった昨年7月のカリフォルニアでのリユニオン・ライヴ。先にリリースされているCD版とは若干内容が異なり、メソッドマン・レッドマンの「Rockwilder」他当日のセットリストをまんま堪能出来る仕掛けに。ODB最後の勇姿、と言うにはあまりにもテキトーな(彼のみ)ステージングだが、そこがまた貴重だった…。曲間にインタビューが挿入される構成も◎のファン必須作。ウータン・フォーエヴァー。


MIX TAPE
k.dope.eps 2. DJ Kazz / Dynamite (D-St.Ent.)
“ローライダー・カー・ショウ”でのプレイでもお馴染みの水戸のDJ Kazzが自身の3作目となるミックス・テープを発表。前2作もウエッサイをテーマとした内容だったが。今回もそのコダワリの部分は変らず、“トークボックス物”を中心としたチカーノ・ラップ・クラシックを多目にセレクト。売りである鋭いコスリも控え目にひたすら気持ち良くミックスする事に徹した一枚に。探してたあの曲この曲をここで発見する事になるかも? 車に常備したいミックス・テープの決定盤。



ALBUMS
3. The Game / The Documentary (Universal)

既に幾つものミックス・テープ・アルバムが出回っている“LAはコンプトンの王位継承者”ザ・ゲームの正式な1stアルバム。50セントがGユニットに招き入れ、ドクター・ドレーに紹介し、アフターマスとのダブルネームでのデビュー、という正に鳴り物入りの登場となった彼だが、流石に大騒ぎされるだけの“個性”を早くもギラつかせている。プロデューサー陣はドレーにジャスト・ブレイズ、カニエ・ウエスト、ティンバランド、エミネム、ハヴホック、ハイテック等々と凄まじく、それだけ集めてきただけある盤石の内容となっている。ウエッサイっぽスギないのもこの男の“強味”だ。
4. O.D.B / Osirus (Handcuts))

昨年11月に急死したODBの追悼盤。“ロカフェラ”からのダート・マッガート名義の新作も殆ど完成していたそうだが、ここにはそれ以前の未発表や新曲がまとめられており、かなり意味深い一枚となっている。ショッ鼻の「Pop Shots」はDJプレミア制作曲で、その他にもマーク・ロンソンやK-デフ、イル・ウィル、チョップス(マウンテン・ブラザーズ)のトラックが並ぶが、どのトラックモODBのラップが乗っかった時点で“あの”世界に。本当、唯一無二の存在だった。R.I.P。
5. Pete Rock / The Surviving Elements : From Soul Survivor II Sessions (Hostess)

“ソウル・ブラザーNo.1”ピート・ロックの新作は、前作『Soul Survivor II』と同時期に作られていたインストゥルメンタル集。インスト・アルバムとしてはこれが2作目となるが、前回よりは質感、音域等に幅のあるものとなっているのは言わずもがな。クロい、深い、マチガイナイ。ここ最近ではエドOGとのアルバムは別として、Pushimやステフ・ポケッツのリミックスといった日本からのオフェーでのグッド・ジョブが続いているだけに“今後”の動きにも期待したいトコロ。
6. Collective Efforts /Collective Efforts (Handcuts)

フォーカスのアルバムの世界先行リリースでも驚かせてくれた“ハンドカッツ”が今度はアトランタの親鋭コレクティヴ・エアフォーツをイントロデュース。土地柄バウンス・ビートがクランクか、という邪推もあるかも知れないが、彼らが体現しているのは極めてオーセンティックなトゥルー・スクールであり、そのスタンスはどこか西海岸のアンダーグラウンド・シーンとリンクしているかのよう。サウンドの粒立ちやアレンジもすこぶるフレッシュでMCの掛け合いもナイス。ムーンシャインによるリミックスが入っているのも“旬”な感じで有難い。
7. The Prunes / Odd Jobs(Tri-Eight)

来ビースティ・ボーイズのレーベルとして知られたグランド・ロイヤルやニュー・ブリード、又UKのモ・ワックスからのリリースで耳ざといブレイク・ビーツ・ファンをトリコにしたデンンマークはコペンハーゲン出身のプロデューサー・ユニット=プリューンズ。そのビースティ・ボーイズの他、DJクラッシュやDJヴァディムとの絡みもあっただけに『Tracks From The Dark Side』以降のアルバムを心待ちにしてた人も多かろう。本作は言わばその集大成的な内容であり、彼らのその諧謔精神に満ちた、渋く、しかしコミカルなサウンド・スケープを様々な角度から楽しめる一枚、となっている。 
8. 般若 / 根こそぎ(Future Shock)

妄走族一番鬼=般若の約一年ぶりとなる2ndアルバム。本誌アワードでも“2004年を象徴する一枚”に選出された前作も衝撃的な作品だったが、今作では黄色いエミネムばりの演じ分けの効いたストーリー物に、ストレートなハードコア・チューン、そして長渕剛に通ずる“グッとくる歌”がそれぞれまた新しい境地に達していて驚かされることしきり、だ。「誰が何を言おうとアツいのが東京だろ!?」という般若ならではのメッセージは今作にも貫通されている。正に根こそぎ。般若で射精しな! 

9. V.A. / Monohon Squad(Monohon / Epters)

“ストリートからの生のメッセージ”こそに拘り続けるレーベル、モノホンが、Kaminari-Kazoku.のライヴDVD(必見!)に続いてドロップするのは、所属アーティスト達が様々なフォーメーションで聴かせるニューシットでまとめたショウケース・アルバム。Rino Latina II、565、Den、Masaru、Ryuzo、Nobによるリレー物のタイトル曲から始まる全6曲は、どこを切ってもリアルなヒップホップ。中にはあのLamp Eyeの未発表曲「エネルギー革命」のGas Crackerzリミックスも!
10. J Masterkey / Daddy's House Vol.3(Life Ent.)

“ダディーズ・ハウス”シリーズ最終章、となるこの第3弾は、過去最強面子が集まったと噂される一枚。何せここにはUBGからアトミック・ボム、K.O.D.P. (Muro+Boo)、CQ+NippsにDabo、Deliとチカチカ・プロ、DJ Kaori+Double、GI Code、Doberman Inc.、DS455(ケイザブロウ)といったアーティストが収まっているのだから。しかしこのアルバムの凄い所は企画性にある訳ではない。マスターキーらしいスケールの大きなトラックにひたすら本気のパフォーマンス、それに尽きる。全曲がシングル級のモンスター・アルバム。

11. 刃頭 / 日本代表(P-Vine)

名古屋の最狂音術師=刃頭の最新作は更にドープに研ぎ澄まされた刃頭ワールドが端々まで味わえる濃厚な出来。タイトルから想像力が膨らみ、それをバチンと壊されるインスト曲から、漢(MSC)、Tokona-X、Phobia Of Thug、Twigy、Rino+GK. Maryan、DJ Yas、Lyrical Maneuver、CQ+Dev Large、Oritoといった一筋縄ではいかない強者達の声が乗ったラップ曲まで、そのどれもが最凶の名に相応しい。『さんピンCamp』のサントラで聴けた「8 Ball」をKenzanの刃頭のプロフィール的リリックを乗せてリメイクした大作もあり。
12. V.A. / Rap Sound Burger(Handcuts)

仙台シーンを古くから支えてきたCuzsickが中心となり制作された旬な東北コンピレーション。あのアグリー・ダックリングがその主旨に賛同してトラックを提供したタイトル曲ではCuz、Hunger、Tate、Kutts、U-ZipplainにDJ Kentaroという仙台オールスターズ的な顔合わせが実現。その他にも山形のDJ Fuseや青森のHachinoheads、福島のSista Aki、岩手のDope Mix、秋田のBu-Rai Smoker等々の各地の猛者が参加し、強力な町おこしを展開している。そのあったかくて、粗削りな個性はまず自分の耳で確認して頂きたい。