カレンダーが10月にならないうちに、ダウンタウン・ブルックリン界隈で「ワールド・クラッシュ・ウィークエンド」のポスターが目につくようになった。恒例「ワールド・クラッシュ」と「45シュート・アウト」が連日で行われる運びとなり、にぎにぎしくて良い感じだぞ、と期待したのだが、仕掛け人、アイリッシュ&チンのチン氏に理由を尋ねたら「ヴィザの関係で来られないサウンドが多い場合、盛り下がるのを防ぐため」というハイプ度マイナス100の答えが返ってきた。実際、ホストのトニー・マタラン、出場者のフレディー、ニコ・バンバンは姿を見せなかった。

 10月9日当日、会場はアマズーラ。字数が足りないので、ルールはWebで過去の対戦レポートを参照のこと。ヤング・ホーク(NY)→ワン・ラヴ(伊)→LPインターナショナル(NY)→リッキー・チューパー(JA)、クラシック(英)→ブラック・キャット(JA)の順。セカンド・ラウンドでクラシックとチューパーが、サードでヤング・ホークが沈没。ここまではチューパーがブーイングを受けた以外は全体に緩やかで、会場をシーンとさせたサウンドが消えた。

WCの観客は、一種独特。騒ぐより固まるために来ているのでは?と思えるほど反応がない時がある。そこを各サウンドが盛り上げ、ほぐしつつ45のみの4回戦へ。ここでLPが誰も聴きたくないMCハマーをかけて完膚無きまでにフラップ。チューン・フィ・チューンはワン・ラヴとブラック・キャットの一騎打ち。ワン・ラヴの味のあるプレイとイタリア人サポーターの結束力にヤられて密かに応援していたのだが、終始余裕の笑みを絶やさないパンサーもといブラック・キャットの守りの堅さを破れなかった。かなりの接戦だったので、次に期待。

 10日はシングルだけでの勝負。本戦は9日だが、波乱含みで盛り上がったのはこちら。ワン・ラブ、ルネッサンスのジャジー・T(JA)、マツシミラ(トニリニダッド)、ブラック・リアクション(カナダ)、マッド・スクアッド(JA)、ファイアー・リンクス(JA)、マイティ・クラウン(日本)とわんさか出たのだが、ハイライトはファーストで圧勝したマイティに対するリンクスの追い上げ、逆転劇。

最終ラウンドに残ったのはリンクス、ジャジー・T、ブラック・リアクションだったが、勝負が決まったのはセカンド。後ろにいたサミ・Tに向き直って罵声を浴びせるリンクスのキレ具合が凄まじく、それなのに(だから?)選曲のツボがハマったのは大したもの。観客を味方につけたリンクスに対し、活字に出来ないネタでポーズをキメて応戦したサミ・Tの姿は、さながら「明日のジョー」。しかし、選曲がついていかず…。サードで調子に乗ったリンクスがプレイバックをやらかす場面もあったが、それ以上にマイティに対する風当たりが強く、完敗。リンクスは優勝のジャッジが決まる前に優勝杯に手を伸ばしていた。Riding For A Fall、とデリック・ハリオットも歌っていましたよ、リンクスさん。


Fire Links

Mighty Crown

Blak Kat