2004年9月12日、晴天。港町横須賀の久里浜に、ビーニ・マン、シズラ、T.O.K.などのジャマイカン・トップ・スター達が一同に会するフェスティバル「Yokosuka Reggae Super Bash」が開催された。早速、その熱きエンターテインメントの数々を報告しよう。

Yokosuka Reggae Super Bash 2004.9.12. at Kurihama
 
9月12日、横須賀・久里浜。港から突き出た埠頭がこの日の会場。空は快晴、ステージ上から見る風景はなんとなくモンティゴ・ベイ。なんか良い感じ。

 午後3時、DJバナ、ジャム・テックの“アーリー・ウォーム”で空気が整ったところで、マイティ・クラウン登場。挨拶代わりに短くプレイして、“ショー・タイム”をアナウンス。トップ・バッターに呼び込んだのはT.O.K.! 今回は当初予定されていたブジュ・バントンが不参加となった関係で急遽追加参加となったのだが、3度目の来日にして初のバンドでのショーは、ここ最近のジャマイカやアメリカのショーとは違い、日本で依然好セールスを続ける『My Crew, My Dawgs』を中心に、最近のビッグ・チューンを多数加えた“日本仕様”とも呼べる構成。ガッチリと会場をボス、大盛り上がりの結果に「2年振りだけど、変わらず支持されているの感じた」と喜んだ彼等、気になるセカンド・アルバムについては、「ほぼ出来ているんだ。レコード会社の判断もあるけど、もうすぐ発表出来るんじゃないかな」とのこと。楽しみ。

 バンド・チェンジで再びマイティ・クラウン。日本人モノも織り交ぜたタイトなプレイで沸かせて、そのまま彼等の親友でもあるアサシンをコール! 現行シーンでの勢いは説明不要、最もタイムリーな来日だったが、リリックが真骨頂なタイプで、アルバム・デビュー前の現段階では、ビギナーが目立った観客には若干“早過ぎた”様子。巧みなフローと、DJとしてのスキルの高さを随所に見せてくれたものの、盛り上がりには今一歩。「こんな言葉の壁を感じたのは初めてだったけど、面白かったな。ヴァイブスは良かったよ」と終演後汗だくの笑顔で語ったこの“暗殺者”、この晩の渋谷でのアフター・パーティーではサミー・Tをバックに集まったハードコア・マッシヴをガッチリと全員皆殺しにしてみせたとのこと。流石です。

 で、続けてステージにはリトル・カーク、シルヴァー・キャットの〈ショッキング・ヴァイヴス〉一門が登場、その露払いを受けて現れたのは大将ビーニ・マン! で、これがもう凄かった! 70分間途切れることなく続いた怒濤のヒット・メドレーに仰天! その卓越したショー・マン・シップに、改めて録音物だけでは把握出来ないビーニ・マンのその凄まじい才能と実力、積み重ねてきたキャリアを実感。“ダテに長年トップに君臨してねぇぞ!”と言わんばかりに見せつけた、その最上級のダンスホール・エンターテインメントに、この男が“キング”と呼ばれる理由を再確認。大リスペクトです。

 で、気付けば夜。マイティ・クラウンの最後の出番の中、ファイヤー・ハウス・クルーがスタンバイ。そして、マスタ・サイモンのコールで、この日のトリ、シズラ登場! 無数のライターと大歓声の中、恒例の「Praise Ye Jah」からスタート。この日はほぼベスト選曲で、「Black Woman & Child」、「No Pain」、「Taking Over」、「Just Wanna Those Days」、「Rise To The Occasion」等々を激しくも緩急自在、メリハリを効かせた展開。何よりも心を奪われたのは、その全身全霊の神憑かり的なフローと声、若きラスタのカリスマ然とした強大なオーラ! 観る者の集中力と緊張感を高め、それを強い興奮へと誘うその強烈な存在感は、もう「ヤバい」とか何とかとは全く異質のモノ。それを受け止められたのは幸運。「観に来てくれる人達のために最大限努力している。DJでもシンガーでもなく、ヴォーカリストとして最高のショーをしようといつも考えている」と言うシズラ、この後の大阪での単独公演もとんでもないものだった。大興奮!

 至福の時間はホントに「あっ」と言う間。見逃したファンが多かったのは残念だが、それはともかく、とにかく各出演者のライヴならではのその素晴らしいバフォームに感謝!