Your Song Is Good
 東京のライヴハウス・シーンで大きな注目を集めているふたつのバンド、Your Song Is Goodとカセットコンロス。どちらもいいメロディとあたたかいグルーヴをもった素晴らしい音楽集団だ。そして彼らは、カリブ音楽がサウンドのなかで重要な位置を占めていたりもするのだ。

 まずは、初のフル・アルバムを完成させたYour Song Is Good。オルガン、トロンボーン、ギター2本、ベース、ドラムスからなる彼らは、結成から6年以上経つという6人編成のインスト・バンドだ。その前身となるSchool Jackets(Fruity + Nuts & Milk)時代から振り返ってみても、ハードコア、クイック・ソウル、エモ、ポストロック…と、バンド・サウンドを変遷させてきた。そういった音楽は今でも彼らのなかでは大きな存在ではあるようなのだが、ライヴをやっていてプレイヤーもオーディエンスも思いきり笑顔で楽しめる音楽をやっていきたい!と一念発起し、こちらももともと好きだったスカ/レゲエ/パンク/カリブ/ラテン/ヒップホップ/ファンクを呑み込んだ雑食なグルーヴを奏でるようになった。そこから彼らの快進撃がはじまる。

7インチ曲がクボタタケシのDJミックスCDに収録されたり、また初単独CD音源となるミニ・アルバム『Come On』(2002年)も大きな反響を集め、スカやレゲエはもちろんあらゆるジャンルのイヴェントから出演オファーが殺到しているようだ。その魅力は、なんといっても一発で耳に残る楽曲のキャッチーさ、そんなグッドメロディを思いきりテンション高く楽しげに演奏しているところ。彼らのエンジョイぶりがサウンドの隅々にまで行き渡っているのが、本作を聴けばわかるはずだ。

 続いて紹介するのが、カリプソをベースに独特の歌世界を展開しているカセットコンロス。かつて世田谷ジャンボリーというジャイヴ/ジャンプブルース・バンドでヴォーカル/テナーギターを担当していたワダマコトを中心に木管楽器×2、ベース、ドラムスという編成で、2000年に結成。都内を中心に全国各地で積極的にライヴを行い、そうしていくうちにカリプソやメント、ラテンのみならず、5人それぞれが持っていた音楽性を織り込み、料理していき、他に類をみないバンド・サウンドを確立させていった。

昨年リリースされた『カプリソ』は、ライヴでも感じられるコンロスの魅力が凝縮された力作で、本作をきっかけに彼らの認知度はさらに高まっていった。そんな追い風に乗って完成したのが、ニュー・アルバム『パラボラ』だ。テナーギターのイナタい響きがドライヴする「夏」にはじまり、センチメンタルなラヴ・ソング「やけに長い一日」、ファンキーな「1-2-3-4(ベイビー・ゴーゴー)」などなど、さまざまな表情をみせる。その中心にあるのは、日常の機微を描いていくワダマコトの朴訥な歌。愛すべき音と声、言葉をもったバンドがカセットコンロスなのだ。

Casette Conlos





"Your Song Is Good"
Your Song Is Good
[カクバリズム / KAKU-010]
"パラボラ"
カセットコンロス
[Basic / BSS-006]