2004年10月号


Judah Esekender Tafari


Greetings Friends,
Coxsone Dodd死後のStudio Oneの状況を前号に引き続き伝えていく事にしよう。Mighty DiamondsとCedric Myton(Doreen Schafferの『Adorable You』は既に発売済みだ)や、長い事待たされているCarlton Livingstoneのアルバムもリリースが予定されている。今もなお、リスペクトされ続けているMelodiansのBrent Doweのレコードも発売が近いらしい。では、Judah Eskender Tafariのアルバムや Devon Russellが歌う「Slim Smith」はどうなのか? まだまだネタは尽きない。

Elephant Manの『Good 2 Go』はヨーロッパでは不発に終わったが、日本ではゴールド・ディクを取る程のセールスだったそうだ。彼にとっていいニュースだ。

Bunny WailerがTrojanに対して、レーベルがWailersの音源を長きに渡ってリリースして得た利益の還元を求めている事は以前に何回か伝えてきた。幾つかの情報元によると両者は法廷で争う事なく和解に至ったらしい。これによって彼がどれほどリッチになるかは定かでないが、Trojanに約1億ポンドの支払いを要求していたらしい。この額なら少なくともこれからの光熱費の支払いに困らなくて済むだろう! 以前にLee PerryがTrojanから毎週500ポンド非公式なルート経由で受け取っていたのを僕は知っているので、Bunny Wailerはさぞかし好条件でTrojanとの合意に至ったに違いない。

Wailers関連のニュースを続ければ、Peter Toshの息子のAndrewがカリフォルニアのBakersfieldで「様々な薬物による影響を受けて運転していた」という理由で逮捕されたらしい。彼は父親が有名な事をいい事にかなり放漫な生活を送り、周囲の人々に煙たがれる存在だったようだ。

最近、Rita Marleyがイギリスの全国版タブロイド紙に「Bobは彼女が嫌がっているのにも関わらず性的関係を持とうとした」と語り物議を呼んでいる。このニュースがジャマイカのメディアにも伝わり、これまで、この件に関して沈黙を守っていたBunny WailerがRitaがマーレー・レジェンドを深く傷つけたとして彼女を強く非難した。彼女がこの様に騒ぎ立てるのは彼女が書いた本『No Woman No Cry : My Life With Bob Marley』の出版が控えているからと思われる。後に、Ritaは彼女の発言だけが一人歩きしてしまった事を認め、「Bobは暴力をふるう人ではなかった」と訂正のコメントを発表している。このような“宣伝”による著書の売上の伸びは微々たるものだと思うのだが。

ジャマイカ系カナダ人の億万長者がマーレーのスペシャリスト、Roger Steffensが所有するマーレー・コレクションを全て買い取ったらしい。金額は公表されていないが恐らくかなりの額だったはず。コレクションには12,000枚以上のレコードやCD、10,000枚以上のポスター、12,000時間以上にのぼるマーレーとWailersのインタビューのテープ等が含まている。このカナダ人の購入の動機は貴重な資料がジャマイカの国立ジャマイカ音楽博物館で展示されるようにとの心遣いからだそうだ。実にイイ事だ。

LKJのレゲエ・キャリア25周年を飾るに相応しいCDとDVDが最近発売された。『Live In Paris』というタイトルはCD、DVD共通で、Dennis BovellのDub Bandが彼をバックアップしている。彼が書いた有名曲を中心に構成されたプログラムはフランス・サッカー1部リーグのZenithスタジアムで2003年に収録された。この映像を見れば何故、彼が今でも世界中で人気を保っているかが分るはずだ。1978年にヴァージンからリリースした『Dread Beat And Blood』以来、彼のダークな雰囲気としっかりとした音楽性は殆ど変わってはいない。驚くべき事にあれから25年以上経った現在でも彼は若々しく新鮮に見える。

イングランドの南西に位置するBristolの音楽と文化のアンバサダー的役割を果たしていたBlack Rootsが最近彼らの旧譜の再発売により活気づいている。ヨーロッパで特に好評を博しているのはBBCの番組のサントラ『On The Frontline』だ。それは、当時、殆ど無視されていたロンドン在住のアフリカとキューバ系住民の声を伝えた最初の番組として意義があったプログラムだった。開局したばかりのChannel 4 が黒人文化に対してオープンな態度をとっていた事が関係しているかもしれないが、この番組がBlack Rootsが数々の素晴らしいチューンを提供した事に間違いはない。Black RootsのレーベルNubianよりもBBCがこの再発売のディストリビューションをしていれば、もっと良いセールスが見込めたに違いない。Black Rootsの様な黒人文化を伝承するグループはイギリスの全国規模のメディアでもっとカヴァーされるべきだと思う。

『On The Frontline』と共にリリースされるのが『In Session』だ。このアルバムもBBCラジオで40年近くDJを担当しているJohn Peel Sessionsの番組から選ばれたBlack Rootsのナンバーを収録したコンピレーションだ。これらの曲は長い年月を経ても風化せずに時間に耐えた素晴らしい音楽だが、最近、巷で流行しているジャマイカ風のヒットの陰に隠れている。彼らの音楽を再評価するには“Maka-sound / Discograph”のロゴを探すといいだろう。

 That's it for now, folks. Till next time, take care......
(訳:Masaaki Otsuka)


Andrew Tosh