Mix CD
k.dope.eps 1. Mr.Beats a.k.a DJ Celory / Beats Legend
(Positive Production))

ご存知ソウル・スクリームの音の司令塔DJセロリがコンパイル/ミックスした“日本語ラップ・オンリー(レゲエも有)”のオフィシャル・ミックスCD。“クラシック”を意識したそのセレクションはしかし、DJセロリ“ならでは”のモノで、「クラブで日本語ラップをかけるのはどうも…」というDJにとっても光明をみるかのようなミックスとなっている。そんなバランス感覚も最高な一枚だけに、より多くの“ヒップホップ好き”の手元に届いて欲しい、と切に願う。


Albums
2. DJ Muro / Stoned - The Stone Throw (K.O.D.P.)

LAのストーンズ・スロウとムロの関係? 今さらクドクド説明するまでもなく。それはお互いパーティーへのゲストDJ出演という形で続いている。今回届けられた同じレーベルのムロによる初のミックスCDにも「ムロだから間違いない」というストーンズ・スロウのPBWやイーゴン、マッドリブらの期待が込められているのは言わずもがな。それにしても気の抜けない“凝った内容 ”である。全33曲のバラエティも驚愕の一言。Most Funky!
3.Mobb Deep / Amerikaz Nightmare (BMG)

ジャイブに移籍した“The Infamous”モブ・ディープの通算6作目。メンバーのハヴォックが大半のトラックを手掛けている点は今回も変らず。だが、信頼度の高いアルケミストや人気絶頂カニエ・ウエスト、リルジョン、そしてGユニット関係でお馴染みのレッド・スパイダらも尽力している点も特筆すべきか。それにしても彼ら=ハヴォック+プロディジーの“色”は不変だ。グイグイ引き込まれるマーダー・ラップ。悪夢の日々は続く。
4. Shyne / Godfather Buried Alive (Def Jam)

99年の“クラブ・ニューヨーク”での発砲事件で唯一実刑が下った(9年)シャインの2ndアルバム。レーベルは勿論バッドボーイではなく、デフ・ジャム傘下に新設されたシャインのレーベル、ギャングランド。以前はビギー似とされたラップも(あんまり似てません)トピックと共に更なる拡がりを見せている印象。プロデューサー陣はカニエからジャスト・ブレイズ、アーヴ・ゴッティまで…。全米チャート初登場3位、というのは“待たれていた”証拠だろう。
5. Nelly / Sweat (Universal)

セントルイスをブームの渦中にした張本人=ネリーの新作は、別内容の2作同時リリースという強気(?)なモノ。3作目にあたる『Sweat』の方はパーティー・チューンを基本としたヒップホップ・アルバムで、4作目にあたる『Suit』はR&Bテイストの強い内容となっている。ポイントは“歌い方”の違いか? 既にリリース済みのシングル「My Place」を聴けば分る? 日本のみの2枚組パッケージも限定リリースされるのでそちらも是非。
6. Dizzee Rascal / Showtime (Sony)


USの『XXL』誌でも“ブリティッシュ・ヒップホップ・センセーション”と紹介された19際の天才アーティストの2ndアルバム。UKの“マーキュリー・ミュージック・プライズ”のベスト・アルバム部門を史上最年少(当時18歳)で受賞し、あちらでは相当盛り上がっている通り、この男の個性は普通じゃない。N.E.R.Dや50セントといったステージをシェアした人間も驚いたその独自のラップ・スタイルと、UKガラージを通過したオリジナルなサウンド・プロダクションは“必聴”と言うしかない。
7. Kazi / The Plague(P-Vine)


マッドリブのグループ、ルートパックのEpisodesや、ストーンズ・スロウからのE.P.のリリースで知られる西の知られざる哲人カジのキャリア初のアルバムが到着。全曲のトラックをマッドリブの実弟オーノが手掛けていることでも話題の本作は、いい感じでタフなヴォイスを持ち、武骨なライミングを聴かせる“主役の立ち具合”こそが聴きドコロ。4つのステージに分けられた構成も秀逸なら、ディクレイムやメダファーの配置も◎。カンキックによるポップなアートワークも良い。 
8. V.A. / R&B/Hip Hop Party presents South Beatz
(Cutting Edge)


AV8のパーティ・トラックス音源を中心とした盛り上げ番長的CDの新たなる番外編が登場。今度は“サウス編”。NYのN・スムーヴとサージ・スナイパーがお手製のトラックス(「Roc-A-Way」「Freak Wit It」他)を引っ提げてミックスするはリル・ジョンのクランク・サウンドを中心としたとにかくアッパーなサウス物のニュー・クラシックばかり(例によって少し反則技も?)。『Blow』誌とのタイアップだから言う訳じゃないが、これは本当“車”向けの一枚。
9. V.A. / Shock To The Future -7th Anniversary-(Future Shock)


この号が並ぶ頃にはクラブチッタで“7周年”のアニバーサリー・イベントが行われている筈の、日本語ラップのトップ・レーベル、フューチャー・ショック。そのアニバーサリー“盤”の方は、ここ1〜2年のベスト・トラック10曲(セレクションはB-Yas)に、ロメロSPと妄走族のメンバーがバラでコラボレーションした新曲5曲(ソウスクの2MCも)、そしてレーベル初の10MCリレー曲とそのリミックス、という濃ゆい17曲入り。同レーベルが何故ここまで支持されるのか手に取るように分る逸品。

10. Nitro Microphone Underground / Straigt From The Underground(Colombia)


オリンピック・ユニット(!?)、ニトロの約4年ぶりの2nd。マッカチン、DJヴィブラム、Mr.イタガキ、カシ・ダ・ハンサム、トシキ・ダ・ハードバップ、DJハヂメ、DJワタライ、アクエリアス、そしてムロというプロデューサー陣の繰り出す緩急の効いた“ニトロ用”ビートで様々なフォーメーションを見せる、という点では“ニトロらしさ全開”と言える。それが前作からどれだけ進化したか、がポイント。世間の期待なんぞに平々と応じないのが彼らの長所だけに(?)今回もやらかしてくれている。
11. V.A. / 32 Block Party Hosted By Muro(Cutting Edge)

“渋谷発、渋谷オリジナル・サウンド”を提唱するムロが、盟友P.H、アクエリアスのヤッコと共にプロデュースする32ブロック=渋谷発のアップカマー・ショウケース・アルバム。まるで一夜のパーティーの如く、ムロのマイクでしょうかいされるのは、ブラバス、C.T、トップ・ブロウ、ミクリス、タッズA.C、アキラ(M.O.S.A.D)他の血気盛んなMCたち。“一曲一曲が本気のケンカ”であることを弁えたその熱いセッションはオーラスで“22人のフリースタイル”という形で昇華する…。続編を求む!

12. I-Dea / Self-Expression(P-Vine)


地元大阪から東京へ進出したロマンクルーの新作。ライヴではスタンドマイクを前に古のソウル・ジャズ・グループのセッション感覚を見せてくれるその異色ぶりは勿論音源でも発揮されている。圧倒的に“あたたかい”ヴァイブス。紡がれた言葉の詩的なフレッシュさ。マイルドだが下味のしっかりしたガンボ的サウンド。そして“ファミリーを大切にする”堅い結び付き。そうしたフレーズに引っ掛かる人は是非手に取って頂きたい。ロマンクルー、注目株である。