Summer A Ripe. A Step Up Time! 夏のジャマイカは更にジャマイカ色が濃くなる。今年は、ジャメーカン・カラーやラスタ・カラーが注目されて、ジャマイカ当たり年。夏の一大イベント、サンフェスは、開催地モンティゴベイの観光産業をビッグに盛り上げて、Get A Good Forward。ダンスホールクイーン・コンテストもFully Loaded(今年はオチョリオスで開催)も大盛況。ビッグ・イベントは外タレも出演するので入場料は高くなるが、夏休みのティーン・スプラッシュなど、入場料の安いショーも多くある。中でもセントトーマスでのサウンド・フェスティバルは、毎年やってほしいところ。Forward. アップなパーティからゲットーでのストリートダンス、ビッグなショーにレギュラーダンスと、レゲエづくし、ジャムダウンの夏。

 MCの "Who Want To See" で声がかかるのは、エレファントマン、ビーニにボウンティも必至だが、今はやっぱりヴァイブス・カーテルとアサシン。島では。誰を見たいかという質問は、誰が今いちばんイケてるかと同義語である。Who Is Leading So Far. 近い未来にDJクラッシュはあり得るか。クラッシュといっても "Suck Dis, Suck Dat"、"Bxxxy Dis, Bxxy Dat"、"Shot Dis, Shot Dat" 的な悪口ごっこじゃなくって、DJスキルとオリジナリティ、Lyrically Activeな腕を競うクラッシュ。という餌には引っ掛からないだろう。Dem A Grow Up、ゆーのー。

 レギュラーダンスの一番の人気は今、月曜のホット・マンデイズ。場所をアサイラムに移してリンクス安住。It A Boom.

 火曜はダウンタウンで、クール・チューズデイ。マチューズレーンとビーストン・ストリートのコーナーで、リンクス(等)がプレイする。

 水曜はウェディウェディとパサパサ。ウェディウェディはストーンラヴHQにてストーンラヴが毎週プレイ。パサパサはティボリガーデンでSwatch Internationalがプレイする。どちらもゲストセレクターあり。パサパサのいいところは場所がリミットじゃないことで、ダンサーが右へ左へ前に後ろに、観衆の輪も広がる。サウンドじゃなくて、ダンスのクラッシュも見所。

 もうひとつダンスの醍醐味、家では聴けないヤードコア・チューンを存分に。たとえば…
Bxxxy Nuh Done. Carry Di Pxxxy Come. Nuh You Seh You Bad Gal. Weh Yu A Do Run? You Want Mi Plant Hickie. Pon Di Txxxy Till It Numb...

 この手のチューンは家でプレイするとボリューム下げたりカットしたり、居心地悪い思いをする。アップタウンでは食用に値しない。でも聴きたくないというわけではない。ラジオでもきわどいチューンもかかったりするけど、ヤードコア度の高いチューンを聴きたければこの手のダンスに行くべし。Dem Deh Tings Haffi Gwaan.

 近年、バッドワードを使った罪でDJに逮捕状が出たりしているが、最近は大きなショーではアーティストはむやみにカスワードを使わなくなってきた。どうしても使いたい欲求に耐えられないDJは、観客にマイクを向けて、観客に言わせている。N,nnn...それなら罪にはならない。Dem A Grow Up.

 こちらもレゲエ永遠の議論テーマ、ゲイ・バッシング。先日キングストンで、同性愛者人権団体代表であるゲイの活動家が自宅で刺殺され、先進国の人権保護団体からプレッシャーを受けるジャマイカ政府とレゲエ・アーティストたち。

 サンフェスのステージでこの問題に触れたビーニ・マン。「英国には来るなって言われてるけど、Next Week Mi A Go Back Deh. Mek Dem Stop De Plane No(くやしかったら飛行機止めてみな)」と豪語。しかしその後、イギリスBBCのウェブサイト上で、ビーニが謝罪したというニュースが流れた。スター紙の見出しは大きく「Beenie Bow」。この謝罪は、本人もショッキング・ヴァイブスも知らないところで発表されたとしているが…。

 ジャマイカの外と内、うまい立ち回りを見せているのはレゲエ・アーティストばかりではない。困っているのは政治家も同じ。何度も書いているけど、ジャマイカでの同性愛行為は違法である。行為が見つかったら、マジで逮捕されてしまう。世界の風潮に反したこの法律、現政府が改正するなどまず、あり得ない。Dem A Grow Up. この法律の改定案を出す勇敢な政治家は、ジャマイカに現れるだろうか。

 Bless Up Jamaica. More Time!


Text and Illustration by Reiko NAGASE SMITH
ext and Illustration by Reiko NAGASE SMITH
Ricoのジャマイカ★ArtLifehttp://www.ricoart.com
協力/
アイランドツアーhttp://www.islandtour.jp

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