ジャマイカン・ミュージック史上、最上級と言える物凄いコラボレーション作品『True Love』がリリースされる。なぜ最上級かと言えば、主役はToots & The Maytals、脇役がKeith Richards、Eric Clapton、Ryan Adams、No Doubt等なのだから。音楽は決して終わらない。 |
例えばローリング・ストーンズであったり、リンダ・ロンシュタットであったり、ザ・フーのピート・タウンシェンドであったり、と彼=トゥーツ・ヒバートがライヴ・ステージをシェアしたり、一緒にカメラのフレームに収まったロック・ミュージシャンは多い。やれクロスオーヴァーだのという言葉が流布される前から彼は“開いてた”。何せ、自らのルーツを遡ってリズム&ブルースの聖地=メンフィスへ向かいアルバムを制作したような男、である。そういった事実を踏まえるとこの全曲リメイク/コラボレーションによる“新作”の聴き方も変ってくるのではないだろうか。 「音楽は終わらないものだと分かったよ。それどころか、形を変えて、更に大きくもなれる。今回、様々なアーティストとコラボレーションしたけれど、みんな本当に仲の良い友達なんだ。一緒にやることで彼等のスピリットを感じることが出来た。若い世代のヤツらは俺達のスピリットを感じることが出来たと思う。彼等が歌を歌う時、俺の歌から何かを得ることが出来るだろう。逆にキース・リチャーズやボニー・レイット、ウィリー・ネルソンからも何かを得ることが出来た筈さ」 このアルバム『True Love』の面白いところは、上はウィリー・ネルソン(70代)から下はライアン・アダムスやレイチェル・ヤマガタ(20代)までと、ジェネレーションもジャンルもバラバラのコラボ相手を選んでいるところにある。順を追ってみてゆくと……「Still Is Still Moving To Me」ではその曲のオリジネーター=ウィリー・ネルソンが登場し、「True Love Is Hard To Find」では“グラミー・クイーン”ボニー・レイットがスライド・ギターとヴォーカルで魅せてくれる。 「ヴァーモントのスタジオでセッションしたんだけど、連中(フィッシュ)はみんな俺と似ていたんだ。気取らないし、ヤツらはヤツらのままでいるだけだから。本当に良い環境だったね、あそこは。ジャマイカの空気に近かったから。今じゃあ沢山のフィッシュのファンも俺のライヴにくるよ」 後半は、P-ファンクのビッグマン=ブーツィー・コリンズと、ザ・ルーツとのセッションによる「Funky Kingston」から。続く「Reggae Got Soul」ではケン・ブース&マーシャ・グリフィスが助太刀し、「Never Grow Old」ではスカタライツ、U-ロイ、そしてテリー・ホール(!)という凄まじい組み合わせが実現(ベスト・トラックなのでは?)。また「Taka A Trip」ではトゥーツの曲をリメイクしていたこともあるバニー・ウェイラーが自然に歌い出し、「Love Gonna Walk Out On Me」ではベン・ハーパー(映画『永遠のモータウン』は観た?)がプロデュースの方でも尽力。 最後に一言。ソウルフルでブルージーなトゥーツのヴォーカルの凄さ、それこそがこのアルバムの最大の聴きドコロ、なのでお間違いなきよう。」 |
![]() "True Love" Toots & The Maytals [V2 / V2CP-189] |