TIMELESS / VYBZ KARTEL
[FATHER & SON / FSRL-0015]


あっという間にアルバムをリリース。今や完全に時の人。勢いを感じますねぇ。1枚目はベンデッタでしたが、これはジャミーズJr.、ベイビーGによるこのレーベル、ファーザー&サンからのリリース。つまりワード21のスクなどが関わった、ここ最近のジャミーズ系のサウンドです。1枚目同様、プロデューサーの持つ、尖った感性とカーテルの持ち味が上手く絡み合った作品。[輸入盤](鎌田和美)

MARVELLOUS / DONNA MARIE
[JET STAR / CRLP-3117]


本誌に載っていたマッド教授の話に、女性シンガーは恋愛等の問題で音楽活動が出来なくなる事も多くて…とあったけど、この人は順調に2枚目をリリース。押し付けがましいノリは全く無く、安易な言い方だけど、サラっと耳に入り込んでくる。何となく昔ながらのUKラヴァーズ風味なテイストが良い味を出してます。ジャケもそこはかとなくヴィンテイジなムード。[輸入盤](鎌田和美)

DUBZ FROM DI HIGHER REGIONZ / IRATON STEPPAS
[DUB HEAD / DBHD 033]

ロンドン・ハードコア・ダブ界の大御所、アイレイション・ステッパーズの約7年ぶりに放った待望の新作アルバムだが、相変わらずの重圧なダブを聴かせてくれる。特にガツンと来るリムのサウンドが脳みそに突き刺さるほど強烈。サウンドシステムの実況プレイ等もミックスし収録されている。その他、ダブプレートでお馴染みのチューンや、初耳の新曲など盛りだくさん。全15曲(ダブを含む)収録。[輸入盤](長井政一)

SPRING TIME / LIGHT MAN
[SEMI SOUNDS/SS2-003]

フィンランドのダブ・アーティスト、ライト・マンのアルバム。本作品は1998〜2003年にかけて地道に録音されたチューンを集めたもの。演奏は地元ミュージシャンによる生演奏+打ち込みによるもの。内容はロッカーズを思わせるオーガスタス・パブロ風のオール・インストゥルメンタル構成となっている。A・パブロとはまたひと味違った怪しいサウンドを聴かせてくれるニュー・ルーツ作品。[輸入盤](長井政一)

ダブ・フロム・クリエイション/クリエイション・レベル
[ビート/BRC-89]

On-Uの前身レーベルである“ヒット・ラン”から78年にリリースされたクリエーション・レベルのファースト。昨年再発された『スターシップ・アフリカ』はこのアルバムのリズム・トラックを差し換えて作られたもの。確かにリズムの安定感では『スターシップ〜』の方が上ではあるが、個人的には演奏の生々しさやグルーヴ感においてこちらの方が好きである。抑え目なダブ・ミックスもツボを心得ていて良い。(小池信一)

レベル・ヴァイブレーション/クリエイション・レベル
[ビート/BRC-90]

79年にリリースされたクリエイション・レベルのセカンドが世界初CD化。UKレゲエ黎明期の代表的な一枚としてルーツ・ファンの間でも人気の高いアイテム。今回は6曲のボーナス・トラックを追加しての再発。キンキンに張ったスタイル・スコットのスネアが打ちならされる中、音の隙間を縫う様な幽玄なメロディカの音色が心地良い。ダブ・ミックスも相当強力で、妖しげな効果音が前後左右から降り注いでくる。(小池信一)

COMBAT DUB / V.A.
[HAMMERBASS / BASSCD-018]

今年はたくさんのスペシャル音源が発掘されそうな予感。そんな中、ずばり「未発表やレア音源をクオリティの高いフォーマットでリリースする」ことを目的にロンドンで設立された新レーベルがAuralux。選曲を担当するのはあのデヴィット・カッツ、期待の高まる第1弾はキング・タビーのダブプレート音源を集めた未発表曲集。さすが、いい曲詰まってます。なお2枚組のLPは全世界限定1,000枚のみのリリース。(武田洋)

14ダブ・ブラックボード・ジャングル/アップセッターズ
[P-ヴァイン/PCD-3295]

これはスゴイ! これ迄のクロックタワー盤とは比べものにならない音質の抜群の良さと、曲順をがらりと入れ替えた(この順番が本当らしい)ところに選曲者デヴィット・カッツの拘りが。さらに今回はオリジナル14曲に加え未発表4曲をプラス、特に「Upsetting Rhythm」と名付けられた後半3曲が絶品。リー・ペリーらしい浮遊感もありつつのグルーヴィー・インストで、これはもうレゲエの壁を超えている!(武田洋)

ホリー・ウォー・ダブ/V.A.
[ルル/LULU-001]

「Downbeat Uprising」シリーズの第2弾は、前作のメント集から打って変わってキング・タビーの未発表ダブ・コレクション。ジャケットには「USA」と書かれたロケットに赤で大きく×印、そして曲のタイトルは全部イラク戦争絡み。更にこのCDの売上はNPO「Crisis Aid特定災害支援」に寄付するという徹底具合。E・トンプソンとK・タビーのタッグによる生々しくて迫力たっぷりのダブばかりで肝心の音も文句ナシ!(武田洋)

ダンスホール・ハイ!!/V.A.
[フライングハイ/FLH-21]

「今現在の東京発のダンスホールを」。こうしたコンセプトのもと制作されたコンピ盤。東京を代表するトラック・メイカー、E-MuraとM.Kamishiroによるトラックに載るアーティストは、東京レゲエ・シーンを牽引し続けるRankin TaxiやChappieの他、Fly-T、Mal、Shiba-Yankee、Mama-Roy、Hibikiller等々。更にKrevaやUzi等、ヒップホップ・シーンからも参戦させる等、シーンの未来を感じさせる内容だ。(大場俊明)

ダンスホール・ソルジャー〜ジャパンレゲエ前線異常ナシ/V.A.
[ドクター・プロダクション/DRCD-001]

何故かBuju Bantonとも交流の深いDr.Muneと地道なレゲエ布教活動をしているFather-Ginによる新興レーベル、Dr.プロダクションからのコンピ第一弾。信頼印のFire House Crewによる "Duck Dance" と "Vanity" のリメイク・リディムに、Hibikiller、Bambu、Maguroman等、新鋭からベテラン、更にGeneral TreesやAbi Jah等ジャマイカ勢までが気を吐く。オマケのFire Linksによるミックス曲は流石の手捌き。(大場俊明)

シー・ロー・グリーン・イズ・ザ・ソウル・マシーン/シー・ロー
[BMG/BVCA-21144]

グッディ・モブの一員による2枚目のソロ作。ネプチューンズ、ティンバランド、プレミア、ジャジー・フェイら豪華布陣が提供するトラック上での彼の振る舞いは、艶かしく、野趣に溢れ、クレイジーだったりと様々だが、醸し出されるフィーリングは一様にまっ黒。かと思えば、エヴァーグリーンな情景描写でキュンとさせてくれたりも。濃厚なる歌とラップで描くブラックネスの見本市をとくとご堪能あれ!(石澤伸行)

レッツ・トーク・アバウト・イット/カール・トーマス
[ユニバーサル/UICU-1057]

待望の2作目。P・ディディらによるシングル「She Is」はまさにバッド・ボーイの真骨頂ともいうべき「仕掛け曲」だったが、アルバムはカールのメロウ流儀に則ったR&Bの旨みに溢れた楽曲のてんこ盛り。スティーヴィ・Jに加えジャスト・ブレイズまでが歌を中心に据えた美麗トラックを用意している。前作ヒットの大功労者マイク・シティ等、然るべき人々により全ての仕事がきっちりと遂行された作品集だ。(石澤伸行)

ソウルフル/ルーベン・スタッダード
[BMG/BVCP-24044]

オーディション番組をきっかけにデビューを果たした男性シンガー。声質自体がオールド・マナーに溢れるだけでなく、歌い手としての構えからして既に大御所感強し。ラフなトラックにがっぷり四つで立ち向かう様も頼もしい限りだが、ビージーズのカヴァでの雄大な歌唱には思わず目を細めることに。一方ルーサー・ヴァンドロスのカヴァでは聞き分け出来ない程のクリソツぶりだ。全編エラソーな歌いっぷりが最高。(石澤伸行)

キープ・ホープ・アライヴ/アンダーグラウンド・ダンス・アーティスツ・ユナイテッド・フォー・ライフ
[ビクター/VICP-62537]

ブレイズの声かけによりエイズ患者の支援を目的に設立されたプロジェクト。ウルトラ・ナテ、バイロン・スティンギリー、バーバラ・タッカー、ケニー・ボービアンといったクラブ・ピープルの有志によるパフォーマンスは、ブレイズが繰り出す生感覚いっぱいのトラックから力を授かるかのように瑞々しく躍動する。スタイリッシュだけど暖かくて優しいサウンドは、20年も前から変わらず大きな意味を持つのだ。(石澤伸行)

シンプリファイド/レジー・ワッツ
[ヴィレッジ・アゲイン/VIA-0018]

シアトルを拠点に活動するシンガーのデビュー作。オマー的唱法を見せたかと思えば、80年代ニュー・ウェーヴの香りを振り撒きながら骨太な質感を併せ持つあたりからはグレン・ルイスを彷彿させたりも。「七変化系のシンガー」との印象が強いだけでなく、自作自演派としての才能がいろいろなベクトルで花開くかのようで耳を飽きさせない。独特なメロディ展開や楽器群の配置などいちいちユニークな作品なり。(石澤伸行)

MAW・アンド・カッティング・エッジ・10イヤーズ・レイター/V.A.
[エイベックス/CTCR-14339]

NYのみならず今や世界的規模で活躍を続ける大御所DJ/プロデューサー・チームのMAWが、自らの代表曲やレア・トラック等をノン・ストップでミックス。四つ打ちという正確なビートの刻みに、ジャズやラテンやゴスペルの黒々とした根っこが絡みつく様からは、その強靭なまでの音楽性をダイレクトに感じることができる。止むことのない冒険心と至極まっとうな日々の活動の継続に最大限のリスペクトを。(石澤伸行)

ソウル・エッセンシャルズ・DJミックス・チャプター2/V.A.
[エイベックス/CTCR-13185]

お馴染みコンピ・シリーズの人気曲を並べ繋げたミックス仕様盤。インディー産ながらクラブの支持を得ている作品たちだけあって、スムースな流れの中フロアの臨場感がきっちり再現されている。本コンピがリリースされる度に世の歌好きを唸らせているのは、歌とビートの「拮抗」で聞かせる今のご時世にあって、これらを「整合」させた楽曲が集められた結果ではないかと。「ストーリー」を感じさせる構成も秀逸。(石澤伸行)

セレクション3-トライド&テステド/モア・ロッカーズ
[ラッシュ!/ACCR-10006]

ドラムンベースは(勿論)死せず。日本でのまさしく流行な盛り上がりとは別にどっしりと地に足の着いたシーンを持つUKでは今夜もドラムとベースが爆音を上げていると…。そんな中、フロム・ブリストルの重鎮、モア・ロッカーズによる新作が登場。太く思いながらも快楽を誘うベース・ライン、アーシーなメロディ・ラインと、余分なものを削ぎ落としたシンプルで豪快な一枚。毎回“定番”なグッド・クオリティ。(高橋晋一郎)

デヴィン・ダズル&ザ・ネオン・フィーヴァー/フィリックス・ダ・ハウスキャット
[ビート/BRC-93]

マドンナやニュー・オーダーに到るまで数々のリミックスを手掛け、昨年のエレクトラグライドではDJとして来日したベテランのニュー・アルバムがリリース。DFAのジェームス・マーフィーをゲスト・ヴォーカルに起用するなど、エレクトロクラッシュ的なムードをカラフルな内容構成でクリエイトされたダンス・ミュージック。レイドバックした雰囲気の中で新しさを感じさせるセンスの良さに納得。(高橋晋一郎)

II/フォース・オブ・ネイチャー
[リバイアス/LMCD-002]

KzaとKentによるお馴染みのユニットによる待望のセカンド・アルバムが登場。サンプリングのみでサウンド・メイクするというシンプルなアイデンティティーは、世界トップ・レベルのネタ・ハンターであり、ジャンルを越えてクラブ・ミュージックに精通したものでは成せぬ技。まるでオリジナルな楽曲として成立させてしまうアイディアの巧みさは今作で完全に名人の域に達したかに思えるほど。別格。(高橋晋一郎)

ザ・コウダリーボーイ・エイントスタンドアローン/カーム feat. ムーンエイジ・エレクトリック・ビッグバンド
[ラストラム/LACD-0065-66]

カームが、昨年9月22日に恵比寿のガーデンホールで総勢20名を越えるミュージシャンを率いて行ったライヴ模様を完全収録した2枚組作品。美しい「Light Years」に始まり、代表曲の一つ「Journey To The Shadow Of The Earth」を経て、躍動的な「Simple Chords Again」に到るまで叙情的でグルーヴィーなカーム・ワールドが満載で、あの日その場にいた人はもちろん、いかなった人も存分に楽しめる至福の夜の記録。(高橋晋一郎)

ワールド・スタンダード.03/V.A.
[フラワー/FLRC-024]

つい先日、一家に一冊とも言うべきDJ御用達ガイド・ブック『Double Standard』を監修したばかりのDJ番長、須永辰緒による好評ミックスCDシリーズの最新盤が到着。今回のお題は“リヴィング・ジャズ”とのことで、ジャズ、ボサノバ、そしてハウスを彼なりの視点で料理。しかし、そんじょそこらに出回っている、“ただ単にキレイ”な音をキレイに繋いだだけでは無いところが、如何にも彼らしい。(大場俊明)

エッセンシャル・エイジアン・フレイヴァス/V.A.
[ラ・メッカ/MECCA-001]

UKにレゲエが根づいていると同様、南アジアや中央アジア系の音楽も地元にきっちりと根づいている。そうした移民を祖先に持つ者達がイギリスの地で独自に育んできたダンス・ミュージックのコンピレーション盤。最近ヒット曲も出したPanjabi MCやDef Jam UKと契約したPunjabi Hit Squad、日本でも人気のNitin Sawhney等による剥き出しのサウンドの数々。化粧っ気なしの剥き出しのダンス・ミュージックばかりだ。(大場俊明)