2004年3月号


Ken Boothe


Greetings Friends,
テクノロジーの進化が著しいこのご時世に、Coxsone Doddは究極の海賊盤防止方法をスタジオ・ワンがリリースする新譜に採用した。リリースをアナログのみに限定したのだ! Winston Jarrettの『Crucial』、 The Jaysの『The Right Solution』、 Errol Dunkleyの『Love Is Amazing』、 The Ethiopiansの 『Mystic Man』、Lone Rangerの『The Class』、そして、The Wailing Soulsの『Square Deal』などのタイトルの輩出をもって音楽業界生活50周年のDodd氏が業界に復帰するわけだ。最近のスタジオ・ワンからリリースされるモノをみている読者の方には想像がつくと思うが、これらの新譜は昔のリズム・トラックに頼るものが多く、その中の殆どのものが使い古されたものばかりだ。勿論、オリジナルの素晴らしい曲も点在するが、それらを探すのには一苦労しそう。そして、これらのニュー・リリースも最近のスタジオ・ワンのジャケットの例にもれず、お世辞にも褒めることができないアートワークで飾られている。

『Tree Of Satta』という面白いアルバムが近々リリースされる。Abyssinians の“Satta Amassagana”リディムにCapleton、Natural Black、Yami Boloなどのシンガーがチューンをのせ、プロデューサーとしてBernard Collinsが統括したこのプロジェクトについては長いこと様々な噂が飛び交っていたのだ。「このリディムは聴き飽きた」と感じているリスナーに是非聴いてもらいたい一枚だ。

Jetstarレーベルがイギリスで割合とおとなしいことを最近、このリポートにも書いたが、フランスでは、Next Musicとタッグを組んでレゲエ・シーンを盛り上げているらしい。Luciano、Morgan Heritage、Garnett Silk、Dennis Brown、そして、Chakademus & Pliersなどの旧タイトルが立て続けにバジェット・プライスでリリースされ、フランスのレゲエ雑誌にJetstarの発展と成長がカラー見開き6ページで特集されたりと、破竹の勢いだ。もしかたら、JeststarはVPレーベルがアメリカでやってきた偉業をフランスで成し得ようとしているのだろうか。

VPの話が出たのでついでにと言ってはなんだが、レーベルの看板男、Sean Paulの快進撃はまだまだ続いている。アンダーグランドだろうが、メジャーだろうが、彼のチューンは殆どのR&B/Hip-Hop/Urban/Raggaのコンピレーションに収まっている。

グラミー賞が、長い論議の結果、2005年度からレゲエのカテゴリーを“ダンスホール”と“ルーツ”の2つに分割することにしたらしい。

待望だったBeres Hammondのベスト盤が発売された。VPからリリースされた『Can't Stop A Man』というタイトルのアルバムは、彼の30年近くに及ぶキャリアの中で様々なレーベルからセレクトされた多様なスタイルの曲をCD2枚かアナログ3枚に収めた豪華盤だ。この中にはBig Youthとデュエットした「Dancehall Vibes」などの未発表曲も含まれている。自分のお気に入りの曲が入っていないと不満を漏らすファンもいるだろうが、膨大な数の曲があるので仕方がないと我慢すべきだ。

ジャマイカ・ミュージシャン連合とジャマイカ・サウンド・システム協会の両組織の会長であり、数多くのアーティスト達のマネージャーや「Champions In Action」などのイベント・オーガナイザーとして腕をならしてきたLouise Bennettが2003年10月10日に50歳でこの世を去った。イギリスで彼女の訃報記事を探すことは不可能で、この不幸なニュースもサウンドシステムのオペレーターである友人から聞いて初めて知ったことだ。

訃報続きだが、ジャマイカでのレコーディングのパイオニア、Ken Khouri が10月に86歳で亡くなった。彼はジャマイカで最初の録音スタジオ、「フェデラル」(後にTuff Gongスタジオとなる)を開設し、その時代のトップ・ミュージシャンと共にレコーディングを経験した。彼が関わったアーティストにはLarry Marshall、ヴォーカル・グループのThe Tartans (メンバーはDevon Russell、Prince Lincoln、Cedric Myton)などがある。彼が引退して相当な年月が経ったが、彼がジャマイカの音楽産業に果たした役割は相当なものだと思う。

Horace Andyがthe Jazz Cafeで4月1日〜4日に公演し、バービカン・センターではJazz Jamaica All-Starsが6月26日に出演する。2004年の前半にUKに行く予定の人には朗報だ。

Birminghamで12月に予定されている「Lovers Christmas Ball」というライヴは近年稀に見るほどの豪華なラヴァ−ズのスター達が集結するらしい。このイベントに初登場するのはThe Investigators、Sandra Cross、Trevor Hartley、Administrators、Rema、Mike Anthony、Leroy Simmonds、Michael Gordon、15-16-17、Winston Reedy、そして、Keith Douglsだ。スゴイ! 僕の友人でUKラヴァーズが大好きなリトル・テンポのTicoがその場にいたら、たいそう歓ぶに違いない。Birmingham公演ではKen Boothe、Errol Dunkley、Pat Kellyが、ロンドン公演ではThe Tamlinsがゲスト出演する。スゴすぎる!!  

Till Next Time, Take Care



(訳/Miyuki W. Myrthil)



Errol Dunkley