MY MEDITATION / BUSHMAN
[CHARM/CRCD3105]

コンシャス・シーンの中核を担うラスタ・シンガーの5作目。制作はルーツ系やラヴァーズに強いUKのレーベル、スティングレー。トラックは全て生演奏であり、ルーツ&カルチャーに根差した重めのチューンが並ぶ。ヴォーカル・スタイルはかなり土くさく、いなたい印象を受けるが、言葉ひとつひとつを噛みしめながら唄う様はラスタとしての真摯な姿勢を強く感じさせる。70sルーツ好きにもオススメ![輸入盤](小池信一)

YUTES DEM HUSTLIN' / SAVANA
[JET STAR / CRLP-3104]

J・ロペスの「All I Have」等のカヴァー曲が話題になったUK期待の新星。意外にもそうした路線を推し進めた物ではなく、敢えて真っ向からダンスホール・アルバムを作りました、と言う感じが逆に気持ちがいい。“ヒンドゥ・ストーム”や“ディワリ”をアレンジし直したリディムからドン・キャンベルと組んだラヴァーズ路線、ジュニア・ケリーとのコンビ等、音の幅も広くなかなか楽しいアルバムです。[輸入盤](鎌田和美)

DREAMS TO REMEMBER / LLOYD BROWN
[JOE FRASIER / VP / VPCD-2238]

ゴスペルっぽいアカペラのインストからリトル・ロイの名曲カヴァーで始まる本作品。ここでまず何かやるなって感じでニヤリ。全体的にソウルのカヴァーが多く、甘い声が活かされたオールディーズ、R&Bフレイヴァーたっぷりのラヴァーズ作品。日本では今一つの知名度だけどラヴァーズ系好きにはお薦め。声質は違うけどサンチェスやドン・キャンベル等が好きな人まで気に入ってもらえると思います。[輸入盤](鎌田和美)

GI ME DE MUSIC� / KENNY KNOTS MEETS DE BUSH CHEMISTS
[CONSCIOUS SOUNDS / CSCD-01]

ロンドンのコンシャス・サウンドからの新作は、ヴォーカル・アーティスト、ケニー・ノーツのフル・アルバム&ダブワイズ。ブッシュ・ケミストならではの打ち込みスタイルに生のナイヤビンギやアコースティック・ギターを導入など、手の込んだ物から、いつもながらのステッパー・サウンドもあったりと、内容もルーツながらバラエティーに富んでいる。各曲それぞれにダブ・ヴァージョンがついている。[輸入盤](長井政一)

BOOK OF DUB VOL.1-ROOTS WITH QUALITY / GUSSIE-P MEETS MAFIA & FLUXY
[DUB WAX / LP 01]
相変わらずリリース・ラッシュが続くガシー・Pの、2003年後半にリリースされたニュー・ダブ・アルバム。収録されているほとんどのチューンが馴染みのあるリズム・トラックで、演奏はマフィア&フラクシーが担当。彼らの打ち込みを基本とした100%ルーツ・リディムだ。それにホーンをプラスし花を添えている。スカタライツの「Exodus」のリメイク・ダブも収録されているのが嬉しい。[輸入盤](長井政一)

"MAD SICK HEAD NAH GOOD" MIX / BOBBY KONDERS
[GREENSLEEVES/GRELCD276]

通なダンスホール好きの間で人気のアイテム、Massive Bのミックス・テープ。大都会NYを拠点とするレーベルならではのオリジナリティ溢れる斬新なミックスがこのカセットの魅力。最新ヒッツを中心にダブやリミックスをガンガンつないでいくハードコアなスタイルは相当ヤバイ! そのミックス・テープのノリをまんまCDとしてパッケージしたのがこのアルバム。刺激的なサウンドをお探しならコレ![輸入盤](小池信一)

FOUNDATION ROCKERS / TWILIGHT CIRCUS DUB SOUND SYSTEM
[M RECORDS / CD-250]

オランダから深みのある独特なダブ・ミュージックを発信しているトワイライト・サーカス。今迄はインストで勝負してきた彼だが、昨年、ビッグ・ユースやルチアーノをフィーチャリングしたキラーなシングルをリリース。今作はそれらの曲に、新たにランキン・ジョーやマイケル・ローズ等の作品も加え完成させたショウケース。いつも以上にルーツ色が濃厚で、演奏もミックスも熱がこもった気合いの一枚。[輸入盤](大場俊明)

SKA DOWN JAMAICA WAY VOL.2 / V.A.
[WARNER MUSIC UK/5046 65474-2]

スカの名門レーベル、トップ・デック音源がここへ来て大量に復刻。プロデューサーのジャスティン・フィリップ・ヤップは30年の間保管していたマスターテープの封印をついに解いた。当時のジャマイカのプロデューサーとしては珍しく、望みどおりの音ができるまでに何テイクも録音した、それら貴重なお蔵入りチューンがまとめて聴けるこのコンピレーション・シリーズ、スカ・ファンは聴き逃し厳禁。[輸入盤](武田洋)

TREE OF SATTA / THE ABYSSINIANS AND FRIENDS
[BLOOD & FIRE / BAFCD-045]

エチオピア語で「Give Thanks」の意味にあたる「Satta Massa Gana」をタイトルにしたアビシニアンズの名曲。このレゲエ史上もっとも有名なトラックのひとつである「Satta」のワンウェイがブラッド&ファイアから登場。バラエティに富んだ新旧アーティストの20曲のうち、U・ロイ、アーネスト・ラングリンの渋いテイクが際立つ。プローデュースは全曲アビシニアンズのバーナード・コリンズ。[輸入盤](武田洋)

馬鹿話/H-マン
[オーバーヒート/OVE-0090]


良いですね〜。独特なのは当り前。そして今作はより毒の方も効く、ときた! リメイク・リディムもいちいちハマってるしとにかく濃い話芸が最高。ランキン、ムーミン、マミー・Dとのコラボ曲もポイントになり、トゥーツ「Dog War」を焼直した「スキャバ!!」やルーツ・ラディックスのバッキングもナイスな「馬鹿な話」、定番のあの曲のパート3も有。ホーム・Gの作品で聴けたアレとアレも押さえた、正にテンコ盛りの一枚。(二木崇)

テイスティ/ケリス
[東芝EMI/VJCP-68579]

2年ぶりの3作目。盟友ネプチューンズに加えダラス・オースティンやロックワイルダーらが提供するビートは、「新しみ」に対するシーンの厳しい要求にも余裕で応えるもの。特にダラスによる入魂のトラック捌きには改めて脱帽だ。アウトキャストのアンドレ3000によるテクノ・ポップな意匠も極めて刺激的で、ケリスという稀有なキャラクターに新たな展開を促している。主役の歌唱も相変わらずカラフル。(石澤伸行)

ソウルスター/ミュージック
[ユニバーサル/UICD-6081]

1年半ぶりとなる3作目。ビラルやアーリーズらご当地陣営でまとめあげられた本作が、ネオ・フィリー的な旨みに満ちているのは至極当然なのだろうが、キンドレッド夫妻とシー・ローを1曲の中に招き涼しい顔をして対応したかと思えば、極めつけストーンズ「Miss You」をカヴァしたりと、試みの方向性は様々ながら眼前に広がる情景はどこまで行ってもやっぱりフィリーというのが本作のスゴイところ。(石澤伸行)

ヒア・アイ・アム/ロン・アイズレー&バート・バカラック
[ユニバーサル/UICW-1046]


バカラックが生んだクラシックの数々をロンが歌うという企画盤。勿論ここにはアーニーによるギュウィンギュウィンなギターも聞こえなければ、たゆたうようなビートが醸すいつものねっとりワールドも見当たらない。しかし、だからこそ浮き彫りとなったロンのピュアな歌ゴコロをこそ有り難く味わうべきだろう。中ジャケでバカラックの肩にロンが腕をまわすという微笑ましい光景がこの盤の全てを物語っている。(石澤伸行)

ドゥ・ユー・ノウ/ミッシェル・ウィリアムス
[ソニー/SICP-493]

デスチャのメンバーによるソロ2作目。クラプトンの「Change The World」を書いたトミー・シムスが全編を仕切る他、ドーキンス&ドーキンスが参加する等、前作同様ゴスペル・テイストがそこかしこに散りばめられた内容となっている。決してストロング・タイプではない彼女の歌唱だが、逆に彼女のけれんみのないキャラクターみたいなものがうまく切り取られている点で実に好感度の高い仕上がりとなった。(石澤伸行)

ソウル・セッションズ/ジョス・ストーン
[東芝EMI/VJCP-68619]

UK発白人女性シンガーのデビュー作…と聞いて侮るなかれ、少なくともこの衝撃的なまでのソウルネスを体感するまでは。ゲストに招かれたベティ・ライト、ティミー・トーマス、リトル・ビーヴァー、ラティモアといった御大たちに支えられて、深く濃い歌唱をぶちまけるジョス嬢の勇ましいこと! イマの音なんざぁ気持ちよくシャット・アウトされた本作は、ある意味UKからしか生まれ得ない問題作なのかも。(石澤伸行)

2:35PM/カルヴァン・リチャードソン
[エイベックス/CTCW-53056]

およそ4年ぶりとなる2作目。のっけはサム・クック調、お次のラファエル・サディーク提供曲ではボビー・ウーマック張りのディープネスを放出。R・ケリーが憑依したかと思いきや、ディアンジェロ風情たっぷりの歌が飛び出したりと、前半は世の歌好きに身悶えを強要するかのような嬉しい七変化振りだ。が、後半はサザン風味溢れるイイ楽曲に囲まれ自らの立ち位置を確定。イマとのリンクも担保された良盤なり。(石澤伸行)

ID./唐沢美帆
[ポニーキャニオン/PCCA-01987]
フル・アルバムとしては2枚目となる新作。テイ・トウワ、福富幸宏そしてアジャパイらによるエッジィなサウンドを易々と乗りこなす逞しき姿は、彼女が単なるクール・ビューティでないことを示しているかのようだし、藤本和則や春川仁志らによる楽曲提供のもと、等身大の恋愛模様を描く際の感情表現もすこぶるリッチ。ポップ・ミュージックとして胸を張っている様が実に潔い、あくまで“歌が主役”の作品集だ。(石澤伸行)

トータル・リコール/テリー・キャリアー
[コロムビア/COCB-53162]

90年代に入ってからの再評価後、活動を再開、'98年には18年ぶりとなるアルバムをリリースし、大いなる賞賛を持ってシーンに受け入れられたテリー・キャリアー。この最新作では前作『Speak Your Peace』に収録された楽曲のニュー・ヴァージョンに加え、代表曲「Ordinary Joe」などのライヴ・テイクも5曲収められている。昔と何ら変わることの無いその歌声に感動せずにはいられない正真正銘のリアル・ソウル。(高橋晋一郎)

トーキー・ウォーキー/エール
[東芝EMI/VJCP-68622]

メランコリックでメロウな曲調とタイトなブレイクビーツの噛み合わせのセンスにおいてデビュー当時から突出した存在だったフレンチ・デュオ、エール。『Moon Safari』、『10,000 Hz. Legend』に続くサード・アルバムが完成した。ゲスト・ミュージシャンを迎えることもなく制作されあた為か、美しくも退廃的なムードが繊細にちりばめられた初期エール的世界観が円熟味を増したバック・トゥ・ルーツ的な一枚。(高橋晋一郎)

アプロパット/サヴァス&サヴァラス
[ビートインク/BRC-91]

プレフューズ73として絶大な人気を誇るスコット・ヘレンが、プレフューズを始める以前から始動させていたプロジェクト、サヴァス&サヴァラスのニュー・アルバムの登場。今回はプレフューズの連動性からかワープからのリリースとなっている。スペインに住み、女性シンガーソングライター、エヴァ・プエロ・ムンズを迎え、ジョン・マッケンタイアと共にミックスを行った、アコースティックで幻想的な新境地。(高橋晋一郎)

七色/ジャズトロニック
[徳間ジャパン/TKCA-72639]

数多くのプロデュース、リミックスを手掛ける日本発世界向けアーティストのひとり、野崎良太。彼のセルフ・プロジェクトとなるジャズトロニックの新作が完成した。昨年はアルバムとミニ・アルバムをほぼ同時といっても過言ではないタイミングでリリースするなど、溢れるアイディアを次次々に形にしているまさしく現在進行形、ノンストップの勢い。リスニング重視なアルバム構成で更に広くアピールする内容に。(高橋晋一郎)

ライヴ・タイフーン/ケムリ
[ユニバーサル / UPCH-1323]

印象的なホーン・アレンジを担当していたトランペッター、森村亮介が志し半ばで逝ってしまい、現在活動休止状態のケムリから届いたライヴ盤。2003年9月20日、クラブチッタで開催された音源、つまり森村が元気にラッパを吹いていた音源がぎっしり詰まっている。彼らは単に音楽を奏でるだけの楽団ではないのだから、この先もきっと歩を刻み続けるに違いない。だから今後の展開も期待出来るのだ。DVDも同時発売。(大場俊明)

F.E.E.L. 3/V.A.
[フラワー / FLRC-023]

フラワー・レコード・プレゼンツによる“極東のイージーリスニング”をテーマに編集されたコンピの第三弾。イージーリスニングと言ってもそれはダンス・ミュージックのもう一つの側面であるチル・サイドにフォーカスしたもの。もはやこのシリーズのリード・アーティストとなったジャズトロニックはもちろん、レゲエ・ディスコ・ロッカーズの奥山みなこによるソロ楽曲など全て新曲で構成された春を呼ぶ一枚。(高橋晋一郎)

サウンド・コンサージュ 401〜ドゥ・ノット・ディスターブ/V.A.
[カッティングエッジ / CTCR-14292]

"For Your Lonely Midnight"。帯のコピーに思わず苦笑。とは言っても選曲&ミックス担当はファンタスティック・プラスティック・マシーン、切なくもあるが、ニヤリとさせられる心憎い選曲と心地よい流れを作り出している。意表を突かれたカールトン&ザ・シューズ(来日決定!)の「Love To Share」も、この流れの中では聞こえ方がガラリと変わってしまうから不思議。安いラジカセで小さな音で聴くも良し。(大場俊明)