RISE TO THE OCCASION / SIZZLA
[GREENSLEEVES / DON CORLEON / GRELCD273]

これは、ちょっとした問題作。一聴すると全体的にジャズな雰囲気でインパクトは強いのだけど、一曲毎に聴くと多少インパクトに欠けて聞こえててしまうかも。しかし、新進気鋭のプロデューサー、ドノヴァン・ベンデッタ・ベネットの仕事は、好奇心や遊び心といった実験的要素を多分に含みつつ、真剣に音楽と接している姿勢を感じるはず。トータル的にはシズラのDJも含め、完成度は高い作品です。[輸入盤](鎌田和美)

VNO MORE HEARTACHES / SANCHEZ
[VP / VPCD1666]

全体的にゴスペルや60年代のR&Bのフレイヴァーが効いているし、カヴァー曲も多いので、ラヴァーズ・ファンは要チェックのサンチェスの新作。ジョー・フレイザーとキャノン(ディーン・フレイザー)のプロデュース作品がメインという構成の中、ビッグヤードからの作品も一曲。こうしたイメージの違う作品を何の違和感も無く聴かせる辺りは流石。あっさり聴ける割には、キャラは濃いです。[輸入盤](鎌田和美)

HAIL RASTAFARI DUB / GUSSIE P & SIP A CUP FAMILY
[SIP-A-CUP / SIP LP 03]

またもガシー・Pのレーベル、Sip-A−Cupからリリースされたダブ・アルバム。今まで10インチ・シングル等に収められていたマイケル・プロフェットのリディム等を起用したダブで、打ち込み、ヒューマン・トラックを巧みに使い分けている。アナログ盤のジャケは従来のリリースされていたものと同様、プロモ用の何とも安っちいデザインであるが、内容はとても素晴らしいダブだ。要チェックのアルバム。[輸入盤](長井政一)

DUB CLASH � / DUB CLASH
[DUBHEAD / DBHD 029CD]

UK発ダブヘッドからリリースされたダブ・クラッシュのニュー・アルバム。数々のコンピ盤への参加やシングルを数点リリースしているのでご存知の方もいるだろう。バリバリのニュー・ルーツとは異なり、本来のダブを再現しているのが特徴。生音と打ち込みの両方のスタイルで、どことなくトワイライト・サーカスを思わせる雰囲気も持ち合わせている。ワン・ドロップ、ステッパーとリディムも様々。[輸入盤](長井政一)

MAN AH WARRIOR/TAPPER ZUKIE
[TROJAN / TJACD135]

クレメント・ブシェイのプロデュースで73年にリリースされたロンドン録音の1stアルバム。血の気の多いタッパーの戦闘的なスタイルは、UKのジャマイカ移民と白人パンクスの両方に受け入れられ、怒りのこもったリリックスは後のパンク・ムーヴメントにも影響を与えた。ギター・カッティングが目立つシンプルなトラックに、ルーディーなトースティングをのせたタイトル曲がとにかく秀逸。ボートラ7曲付き。[輸入盤](武田洋)

TROJAN 35TH ANNIVERSARY BOX SET / V.A.
[TROJAN / TJETD130]

1968年のレーベル創設以来、レゲエ・ミュージックの発展と繁栄に貢献してきたUKインディ・レーベル、トロージャンが創立35周年を記念して3枚組ボックス・セットをリリース。70年前後位のアーリー・レゲエが中心の全50曲は、全て初CD化という事で相当マニアックな選曲ではあるのだが、ノリの良いチューンが多く聴き易い。ヒット曲の陰に埋もれ埃を被っていた至宝の数々が再び光を取り戻したのだ。[輸入盤](小池信一)

600% DYNAMITE / V.A.
[SOUL JAZZ/BRSJ-84]

聴くものに困ったらこの1枚。『500% Dynamite』のリリースから2年振り、終わりかと思ったこのシリーズがいよいよ復活。ネプチューンズ好きにオススメのアロゼイド「Under Me Sensi」から、名ヴォーカル・デュオのアース&ストーンによるステッパー・ルーツ「In Time To Come」まで17曲、ジャンルとレーベルを無視したボーダレスな選曲は相変わらずだ。このまま「1,000%」までいけるか!? [輸入盤](武田洋)

フラフラ・ダンス3〜サターン/ケンジ・ジャマー
[ウーツー / DDCU-2003]

肩肘を張らず、のんびりと好きな音楽を楽しんでいるかのようなケンジ・ジャマーの“フラフラ・ダンス”シリーズの第三弾は、奇才、K.U.D.O.を巻き込んだコラボ作品と言ってもいいだろう。K.U.D.O.が参加した事により、ビートは輪郭を持ち、音の深みが増し、空間も広がったのは事実。ただ、だからと言って、ケンジの本シリーズのコンセプトは崩れる事無く相変わらずユルユルで、心地よさは前作以上かも。(大場俊明)

バック・トゥ・ザ・ストーンド・エイジ/
オーディオ・アクティヴ
[ビート / BRC-75]

なんと今年結成10周年を迎えるという彼らの、約3年ぶり、通算6枚目となるセルフ・プロデュース作。彼らは新作を出す度に必ず、いい意味でファンを裏切り続けてきたが、今作も多くのファンを裏切る事になるだろう。それだけ自分たちの音を追及し続けている訳で、彼らのファンならば今回もその点を聴き逃してはならない。予定調和を拒み続け、進化/深化し続けてきた彼らの現時点での最高傑作。(大場俊明)

ブレイジング・ホーンズ/テナー・イン・ルーツ/トミー・マクック
[ビート / ブラッド&ファイヤー / BRBF-044]

70年代に録音された2枚のアルバムを1枚にまとめた初CD化音源集。1枚は79年、グローブ・ミュージックからリリースされたボビー・エイリスとの共作アルバムで、ヤビー・ユーが制作。もう1枚は当時サンプル盤まで完成したもののリリースには至らなかったグレン・ブラウン制作による貴重な音源。ところどころに戦闘的なエッセンスが垣間見えるものの、全体的にはメディテーション度の高い仕上がり。(小池信一)

アイ・リメンバー/ローネイ
[ユニバーサル/UICE-1066]
もともと根っこが繋がっているのだから、今さらレゲエとヒップホップの相性の良さをくどくど説明する必要はないだろう。本作は出るべくして出たヒップホップ・サイドが先導して作った両ジャンルを代表するアーティストがこぞって参加したコラボ作。サウンドはTony Kelly、Dave Kelly、Matt Stein等が制作し、どの曲もDJ又はレゲエ・シンガーとラッパーが凌ぎを削る。是非ともシリーズ化して欲しい。(大場俊明)

ワールドワイド・アンダーグラウンド/エリカ・バドゥ
[ユニバーサル/UICT-1023]

2年ぶりの3作目。収録曲の多くを手掛けるはラシャド・スミスとジェイムス・ポイザーの意外なタッグだが、実際のところ“メイン・ストリームのキラビやかさ”と“ネオ・フィリーな生感覚”がケンカせず同居しているのが面白い。前半は彼女の“奔放”が表出したかジャムっぽいアプローチが目に付くが、後半は一転して豪華ゲストを招き賑々しく立ち回る。自らの才に従って軽〜く作っちゃった作品集って感じ。(石澤伸行)

ノディーシャ/ノディーシャ
[BMG/BVCA-24013]

ジャム&ルイスが立ち上げたレーベルが送り出す第1弾アーティスト。ブリブリと踊りながらの歌唱はウィスパリング風で、どこかジャネットを彷彿させたりも。先行シングル「Get It While It's Hot」に加え、ジャーメイン・デュプリやダラス・オースティンらが提供するアップが売りのようだが、その甘い声質は切なさ満点のスロウでも映える。単なるアイドルじゃないことは、この“玄人っぽい顔つき”が物語る!?(石澤伸行)

ハヴィエアー/ハヴィエアー
[東芝EMI/TOCP-66230]

ボストン出身25歳の男声シンガーによるデビュー作。先行シングル「Crazy」でお披露目済みのしなやかで端正な歌唱が、アルバムではアップにスロウにと様々なアングルで味わうことができる。クエスト・ラヴ、ロイ・ハーグローヴ、ラリー・ゴールドら豪華でフィリーなゲストの参加にも、頼っているようなフシは一切見当たらず、逆に際立つのは何にも影響されない芯ある存在感だ。蒼くて暖かいヴォーカル集なり。(石澤伸行)

コンフォート・ウーマン/ミッシェル・ンデゲオチェロ
[ワーナー/WPCR-11731]

1年半ぶりの5作目。のっけのルーツ・レゲエ的アプローチを始めジャズ、ロックとサウンドの意匠の振り幅は相当に激しいものの、彼女の鋼の如きファンク・スピリッツは全ての楽曲に例外なく貫かれている。一方で彼女の歌いっぷりからはいつになく明るい表情が汲み取れ、場合によってはメロウネスやらキュートネスまでが振り撒かれたり。でも、そんな柄にもない風情も含めこの世界観は相変わらず唯一無二だ。(石澤伸行)

スティル・アライヴ/FONS
[Pヴァイン/PCD-25013]

コンテンポラリー・ゴスペルのグループ、スピリチュアル・ピーシズでリードを張っていたシンガーがデビュー。ここでのサウンドのラインナップはグループと同様、ネオ・ソウル流儀の生感覚が横溢、そこに彼の包容力たっぷりの歌が乗り、特に前半のミッド群には黙ってトロけるしかないし、中盤のタイトなアップ攻勢にも相当に打ちのめされるハズ。この研ぎ澄まされた漆黒の世界を神のものだけにする手はないゾ!(石澤伸行)

バイ・デイ・バイ・ナイト/リズ・フィールズ
[Pヴァイン/PCD-23464]
ジル・スコットらを輩出した登竜門「ブラック・リリー」に出演、ルーツらとも共演済みのシンガーのデビュー作。ジャジー&メロウなフィリー風味たっぷりのサウンドの上を歌い舞う姿等、一連のパフォーマンスからは「自分の見せ方」に対する意識が強く感じられ、その姿は高校の同窓アメール・ラリューを彷彿させる。後半のオルタナな展開においても、彼女は自らを見失うどころか妖しい輝きを増すかのようだ。(石澤伸行)

ザ・フリーク・ショウ/ルナ
[リルブーティ/ LBRC-1001]

アポロシアターの「アマチュアナイト」に出演し大きな評価を得た後、今年の「Bボーイ・パーク」にも参加していた女性アーティストのデビュー作。歌とラップの両方を駆使するスタイルは時にミッシー・エリオットを思わせるが、それは単なる「型」ではなく、彼女の堂々たるマイク捌きに音のハイパー係数が乗じられた結果出てくるラージな存在感に因るものだ。このふてぶてしさには何かを動かす力が宿っている。(石澤伸行)

マッチ・モア・ザン・マッチ・ラヴ/フィンリー・クウェイ
[ソニー/EICP275]

97年の『Maverick A Strike』でレゲエ・ファンも唸らせたフィンリーのサード・アルバム。セカンド以降、表面的なレゲエ色は薄まったが、その代わりサウンドコラージュは巧みになり、音に深みが増している。とは言ってもサウンドだけに頼るだけではなく、ソングライターとしての才能も別の引き出しを開いたとも思える程、良質なメロディの曲がめじろ押しだ。将来、名盤と呼ばれるであろう逸品。(大場俊明)

ヨセフH/ルーク・ヴァイバート
[ビートインク/BRC-83]

ワゴン・クライストやプラグ、そして本名と名義を使い分け、ニンジャ・チューンやリフレックス、そしてモ・ワックスなどその筋の主要レーベルから作品を発表しているルーク・ヴァイバートが今回は満を持してワープからアルバムをリリース。中毒性の高いアシッディーなサウンドがレイドバックすることなく斬新に鳴り響き、最新型のルークのキャラクターを浮き彫りに。流石ベテラン、濃密で過激な音デザイン。(高橋晋一郎)

サーモ/スピードメーター
[フェリシティ/MTCD-1026]

藤井寺市在住のスピードメーターこと高山純のプロジェクトによる通算5枚めとなるアルバムがリリース。今回は奇才モニュニジモを始め3人のラッパーそしてヴォーカリストをフィーチャー。心地良くてメランコリック、ノスタルジーまで感じさせながらもどこか〈毒〉を感じさせる独特のブレイクビーツを主体とした制作タイルが、本作ではより顕著に。カヴァーとしてマッドハニーの「Touch Me I'm Sick」も収録。(高橋晋一郎)

カーニバル・フォー・エーデルワイシス・アンサンブル/ミルキー・チュー
[ロムズ/EMZ-009]

ワールズ・エンド・ガールフレンドの前田勝彦の実弟、竜馬によるプロジェクト、ミルキー・チュウによる新作アルバムがロムズより発表。ポップで非常に毒舌な匂いのするおもちゃ箱をひっくり返したようなサウンド。パンキッシュでどこまでも乱暴なのに時折覗かせる繊細なメロディー・ラインに泣かされたかと思えば、コミカルな仕掛けに笑わされてしまうどこまでもブラックでマッドなミュージック・ジャーニー。(高橋晋一郎)

ネオ・クラシックス/クボタタケシ
[カッティングエッジ/CTCR-14277]

遂にリリースされてしまったクボタタケシによるミックスCD。伝説となったグループ、キミドリの活動以降カセットテープでリリースされてきた『クボタ・クラシックス』がめでたくオフィシャル化という事でこれはやはり事件とでも呼ぶべき出来事。ジャンルレスな音楽本来の楽しみ方、もしくは音楽との本来の付き合い方を教えてくれる様な至高の一枚。アルバム全体を包み込むアナログ・ライクな雰囲気も最高。(高橋晋一郎)

プログレッシヴ・ファンク/トシユキ・ゴトウ
[カッティングエッジ/CTCR-14273]

過去にフラワーから素晴らしいコンピ盤『Sunday Afternoon』をリリースしたトシユキ・ゴトウのこれが初となる待望のミックスCDが登場。現場を良く知る彼ならではの“ダンス”に焦点を当てた抜群の構成と、ミックスすることで発せられるエネルギーの凄まじさはまさしくプロフェッショナル。さらにヴォーカリストとしてミナコ・オクムラをフィーチャーした自身のオリジナル「Where Love Goes」も収録。(高橋晋一郎)