●まずは“BUSH HUNTER MUSIC”というレーベルについて教えていただけますか?
RYO:BUSH HUNTER MUSICっていうレーベル自体は以前から存在してたんですよ。今までは、自分がメジャーから出したCDのチューンを、現場用にアナログで出すって感じで始めたレーベルで。そろそろダンスホール・レーベルらしくちゃんと動けたらオモロイなぁってところでコンピレーションを出せることになって。
●今回リリースされる『HOW TO HUNT IN THE BUSH』は、いろんなアーティストが揃ったセグメントですね。
RYO:ソロの作品でも世話になってきた、スライ&ロビー、ボビー・ディジタル、スティーリィ&クリーヴィの3組のリズムメイカーによる3ウェイにしたら面白いんちゃうかな?っていうんで、まず考えて。2月にジャマイカ行って録音したんですけど、今回はゼロの状態からイメージだけでリディムを作ってもらって。参加してくれるみんなと同じような立場で、自分もそれを聴いて歌を作るっていうことにしようと思って。
●なるほど。その3つのリディムをもとに、BOOGIE MAN、BOXER KID、VADER、Spinna B-ill、NG HEADなどなどたくさんの面子が参加してるわけですが、その中から今回は湘南乃風に誌面へ登場いただいた、と。
RYO:湘南とは現場でちょこちょこ会う様になったのが最初だったけど、ジャマイカに俺が古巣にしてる安宿があって、そこで若旦那とHAN-KUNに会ったよね?
若旦那:あれは確か、RYOくんのファーストを作ってた時期で。レコーディングの現場に連れてってもらって、こういうふうに作るんだ?って、すげぇ勉強になって。
●湘南乃風の皆さんは、RYOさんの活動はどんな風に見てたんですか?
HAN-KUN:いろんな意味で突破口になったのがRyoくんって存在だと思ってましたね。
若旦那:俺らは、RYOくんの歌を聴いてた世代だから、こうして仕事できるのはすげぇうれしかった。
●湘南乃風が今回参加したのが、スライ&ロビーの“Rumble Inna Jungle”というリディムによる「We did it」ですが。
RYO:自分のチューンもそうなんですけど、このトラックの名前のとおり、ジャングルとか、都会のジャングルみたいなテーマにしたチューンが多かったけど、湘南のだけが銀行強盗のテーマで。
HAN-KUN:ジャングルと全然関係ないっていう(笑)。
RYO:でも、関係なく見えて、実はハマってる部分があって。“BUSH HUNTER”自体が、銀行強盗なんですよ。ネッド・ケリーっていう、オーストラリアのねずみ小僧みたいな義賊の英雄がいて。“BUSH HUNTER”が、その実在の人物を指す言葉で…。
HAN-KUN:俺らは、リリックを書くときにそれを全然知らなくて(笑)。音を聴いてたまたま、この雰囲気は銀行強盗だ!なんつって作ったら、あとからその話を聞いて驚いて。
RYO:湘南が作ってくれたそのチューンが現代版BUSH HUNTERみたいな感じに仕上がって……セグメントで湘南のチューンが入れられたことで、アルバム全体のイメージがより“BUSH HUNTER”に近付いた。
●湘南乃風としては、『HOW TO HUNT IN THE BUSH』に参加して印象に残ってることはありますか?
若旦那:新しい風をもらいに行ったような感じかな。RYOくんのアドバイスとかも、俺らには出てこない技術とかヴァイブスの作り方とか、そういうのを勉強できたし。
Shock Eye:リリックに関してもそうだけど、俺らが思ってたこととRYOくんが思ってたことが合わさったから、そこで通じたぶん、スムーズに気持ち良く作業ができたし……とにかくいい刺激になりましたね。
RYO:湘南はアイディアいっぱい出してくれるし、それが面白いもんだったから。凝縮されてる感じで、すごくいいのができたなって…感謝してます!
●RYOさんは、湘南乃風のデビュー・アルバムにも参加してるんですよね。
RYO:はい。今回は、HAN-KUNとのチューンって感じで参加させてもらってます。
HAN-KUN:こっちのレコーディングのほうが先にあったんですけど、一度は一緒にやってみたいって思ってたしいろいろ勉強したくて、それで僕からお願いして。
Red Rice:RYOくんはもちろん、今回はBOOGIE MANやNG HEADや、自分が始めたころに一線で活躍してた人が僕らのアルバムにも参加してくれて。自分が好きだった人たちのヴァイブスをいっぱい感じられて、ホント勉強になりました。
●デビュ−・アルバムの手ごたえは?
若旦那:手ごたえは……正直言って、結構あるんですよねぇ(笑)。すげぇ時間かけたから。最後の最後、マスタリングでもケンカまでしてエンジニアさんに迷惑かけっちゃったり。でも、それぐらい妥協は一切しなかったから。RYOくんが言ってくれたハチャメチャな俺らの無限にあるやりたいことを、絞りに絞ってぶち込んだ感じです。
●それにしても、湘南乃風もそうだと思いますが、RYOさんがやってきたことを見てきた人たちが、同じ土俵にあがってきてますよね? その状況はどんな風に感じてるんですか?
RYO:嬉しいような怖いような(笑)…たとえばランキンさんとかブギーさんとか、お手本がない時代に手探りでやってきたことも、音源になったものを聴くだけで、後から続く人はそこまで追いつけるわけじゃないですか? 今、自分が下の子らに聴かれるようになって、それを思い出すんです。
下の子らは俺のを聴くだけでそこまで来るし、そこからプラス・アルファでいつでも抜ける。だから自分もうかうかしてられへんなっていう…でも言うたら、今度は湘南を聴いた中学生ぐらいの子らがマイク握って出てくるやろうし、出てきてほしい部分もありつつ。まぁ、自分のスタイルなんかが“クッサイなぁ”とか言われんように、いつも磨いてたいと思いますよね。そういう気分を忘れへんかったら、ブギーさん見ててもわかるけど、絶対いつまでも新鮮やし…そういう風になりたいですよね。!
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