MIX TAPE
1. DJ Ameken / Tomi-E 勘冩 On Slow Burning(えん突つ)

DJアメケンの人気シリーズ "Slow Burning" の第五弾。今回もシャープなスクラッチ、2枚使いで聴かせる確かな内容である事に違いないが、ご存知Tomi-Eのヴィデオ作品『感謝』とリンクしたスペシャル版になっている点も嬉しい。えん突つ、雷家族、妄走族、DJ Hondaの音源を中心に、ホストMCではフィーチュアリング仕事でも今一番オイシイ存在=D.Oが要点要点で入り、どこを斬ってもオリジナルな内容に。雷再降臨が待ちきれない人も是非!


ALBUMS
2.Gangstarr / The Ownerz (Toshiba EMI)

何よりも大切なのが“スキル”だと改めて説いた「Skillz」に、ジェイダキッスを交えリアル・ヒップホップの成り立ちを描いた「Rite Where U Stand」といった力の入ったシングルに続く、実に5年ぶりとなる最新作。ビッグ・シェグ、フレディ・フォックスとの「Militia」第三弾、スヌープとの「In This Life」、ファット・ジョー、M.O.Pとの「Who Got Gunz」といった絡み曲もスジが通っているし、ギャング・スターとしての視点に少しも揺らぎはない。DJプレミアの渾身のトラックの数々に、テーマ展開のハッキリしたグールーのラップ。やっぱりギャング・スター最高!と誰もが思うハズ。
3. ith Murray / He's (Def Jam)

出所後発のアルバムにしてデフ・ジャム移籍第一弾(通算4作目)。ブランクこそあるが、その技術は鈍るどころか益々アガっている、という点に驚かされる。意外にも親分エリック・サーモンの制作曲は少なく、ジャスト・ブレイズ、ジャジー・フェイ、クラーク・ケントらもトラックを提供。パーティ・チューンからドープなストリート・シットまで彼のバランス感覚も十二分に発揮されたプロダクションとなっている。ゲストはデフ・スクワッド、L.O.D関係にバスタ・ライムス。また「スキャット」の制作をあのジェイミー・フォックスが手掛けているのもポイント。
4. Black Eyed Peas / Elehunk(Universal)

新たに女性Vo.をメンバーに加え4人組となったBEPの三作目。今回もウィリアム独特のセンスが光るトラックと、ヴォーカリゼイションの合わせ技が眩しい仕上がりだが、コンセプトが“像の歩くテンポのファンク”である点にも彼らのユニークさが表出している、と思う。JB'sを独自に解釈した「Labor」を始め、フレッシュな楽曲ばかりで思わずニヤリ。P.O.Dやジャスティン・ティンバーレイクとのコラボレーションも意外な程ハマっている。期待を裏切らない快作!
5. People Under The Stairs / Or Stay Tuned... (KSR)

西海岸アンダーグラウンド・シーンの良心と呼ばれて久しい彼らの3.5枚目にあたる変則的新作。膨大なネタ盤とMPC3000とアナログ・レコーダーでの制作というベッドルーム・サウンドも不変。ただ、彼らにしては大胆なネタ使いの「Yie Id」には意表を突かれる人も多いのでは…。傑作『O.S.T』収録曲「O.S.T」や「S.F.Knights」のリミックスに未発表新曲がインタールード込でトータル15曲で聴けるオイシイ一枚。正にB-Boyの為のB-Boyミュージック。この“あったかさ”が良いのだ。
6. ラッパ我リヤ / RG A.I.R. 4th(Victor)

ひたすら我が道を進み活動10周年の時を迎えた我リヤの通算4作目。オモシロイのにカッコイイという我リヤの世界観は変わらず、より“フロア向き”な構成になっているところがまず“新しい”。制作陣もDJハジメ、D-オリジヌー、DJユタカ、ヒロシマ、ファーストクラスといった走馬党外部のプロデューサーを導入し(DJセロリとの相性の良さは言う迄もナシ!)、ウヂに、ソウスク、イル・ボスティーノといったゲストとの絡みも楽しめる。また「あやまち」の様な我リヤならではの社会派リリックも。突き抜けてカッコいいアルバム。
7. V.A. / FRESH!(Toshiba EMI)

手前ミソながら筆者が監修、選曲し、エディット及びマスタリングをアズーロが担当したコンピをご紹介。ブルーノート、EMIからのリリースなので当然ながらギャング・スターやダイレイテッドも押さえつつ、ここだけでしか聴けないPhat feat.ファーサイドや、DJハセベの新曲(リミックス)、ロニー・ジョーダンのBLリミックスも収録。お題は "Fresh!" という事で日本人アーティスト/クリエイターの音源も意識的に盛り込んだので是非聴いてみて下さい。ムーミンfeat.デヴ・ラージ「Big City」のロード・フィネス・リミックスも久々に…。
8. S-Word / Star Ill Warz(Def Jam)

待望の2ndフル・アルバム。ビースティのリメイク「Fight For Your Right」、藤原ヒロシ制作曲「Wrap Muzik」という先の読めない“動き”を見せてきた活動家スウォードの集大成となる本作は、ニトロ全員集合の冒頭曲「Big Bangz」から、ムロをフィーチュアしたマイクロフォン・ペイジャーのリメイクを企てた「THA Legend And Tha Next」、またジャスト・ブレイズやラシャッド・スミスら海外プロデューサーによるフロア・チューンにダブルとの二度目の共演曲(制作はDJワタライ)とキー・トラックだらけで彼の“進化”がよく見える会心作。
9. DJ Shin / World Famous(T.T.E)

シンゴ2、S.B.Sやワード・スウィンガーズとの活動で知られる関西屈指のターンテーブリスト=DJシンの初となるソロ・アルバムは、全28曲のCD2枚組、という大作に。コスリ物のインタールードはもちろんのこと、地元大阪の濃ゆいキャラクターのMC陣(RY-ダブル、Mr. O.K.1、シンゴ西成、4WD、Ko-g等々 )に注目の女性シンガー=ViVi、そして盟友シンゴ2に、クラウン・シティ・ロッカーズ(旧名、ミッション)を始めとする西海岸のMCたちに韓国のサイドB、という独自の人脈が生きたバラエティ豊かなアルバムとなった。ポテンシャルの高さにヤラレて下さい。海外リリース希望。
10. Loop Junction / Turkey(Sony)


“3枚目のストライク”という意味で『Turkey』と名付けられたセカンド・フル・アルバム。東京・町田を拠点に“ライヴ”で魅せる活動を続けてきたバンドだけに、今回もそのアンサンブルのタイトさと、山仁のラップ、ポエトリーを含めた独自のヴォーカリゼイションや、数々のライヴ・セッションの成果(フレックスライフの青木リエやMCマイラ、Qイルらも参加)も見え、そのジャンルを軽く横断してしまうグルーヴのカッコ良さにも更に磨きがかかった印象。グッときます!


SINGLES

11. Zeebra / Perfect Queen(Future Shock)

ファーストクラスとしてはこの夏に、Exile、Hi-Dとこのシブラのブランニューで合計3枚のシングル・プロデュース、とスーパー・ビジーなジブラ。で、この曲はロジャーの「I Wanna Be Your Man」を下敷きにした夏っぽいラヴ・チューンに。とは言え、いわゆるワンナイト・スタンド物とは違い“君は永遠の人生のサントラ”というフレーズも飛び出すウェディング・バンガーで、この先“結婚式”の披露宴の定番になること必至、なパーフェクトな出来。カップリングのグリーンピース制作曲「The System」もヤバイ音とフロウが出てる!
12. 般若 / 神輿(Future Shock Foundation)

妄想族の一番鬼こと般若の久々のソロ・チューンは、“フューチャー・ショック”が新たに興こしたインディ・レーベル“フューチャー・ショック・ファウンデーション”からの第一弾リリース。ガスクラッカーズの制作によるマル妄印の表題曲「神輿」は、熱い奴等の気持ちを確かめる般若らしい本気一本勝負のチューン。カップリングにはサブゼロによる展開多いダイナミックなトラックの上で、新たにG.K.マーヤン、ウヂ、565が絡み、フックのメロも生まれ変わったリミックス(8/15のビッグ・イヴェント「神輿」のテーマ・ソングでもある)。まじりっ気ナシの濃ゆい日本語ラップ最前線がここに。