2003年7月号


Misty-In-Roots : Back In The Day
Greetings Friends,

大都市での銃犯罪の増加に伴い“The Gun Amnesty”(銃の恩赦。イギリスでの銃犯罪の増加が深刻な社会問題となり、銃を使った犯罪を未然に防ぐ為に一定期間中、違法に所持している銃を罪をとがめられずに警察に渡す事が出来る法律)が4月中旬に発令されたため、銃の不使用を訴えたコンサートが数多くあった。4月24日にはロンドンの10ヶ所でコンサートが開催され“武装解除”を叫ぶ観衆に幅広いジャンルの音楽を提供した。この中でレゲエが鳴り響いた会場はKentish Townで、Misty-In-Roots、Ras-Ites 、Macka Bが素晴らしいパフォーマンスを披露した。The Yout' Crewと知性派DJが、若者と“若者ではない”オーディエンスとのギャップをうまく橋渡しした。このイベントには最高の出演者ラインナップだっただろう。

4月にはもう一つ、商業的には成功しなかったが、音楽的には大成功を収めたイベントがHastingsであった。コンスタントに卓越したショーを披露するMichael ProphetがHenry 'Buttons' Tenyue率いるバンドのサポートを得て極上のセットを展開したのだ。主催者サイドにとってはクオリティだけではなく観客動員数も欲しかっただろうが。

Culture Promotions (www. culture promotions.com) は4月下旬にロンドンでBig Youth、Mikey DreadとGregory Isaacsを擁した公演を主催した。Mikey Dread(彼がジャマイカでDJを勤めたラジオ番組と20年前のヒット作『Dread at the Contorls』が有名)がロンドンのステージに上がるのは、本当に久しぶりだ。彼のトレード・マークのラップ・スタイルは健在。アメリカに活動のベースを移したMikey Dreadには今後も要注意だ。

ラジオDJ、David Rodiganは音楽活動25周年を粋な演出で祝った。Kiss FM(彼が10年以上も毎週番組を担当したFM局)が彼のフェイヴァリット・チューンをCD2枚組にして発売。更に毎週水曜日にSubterraneaで行なわれていた彼主催のイベントは、より集客力のあるCamdenのクラブ、Dingwalls'に移った。このイベントは国内はもとより国際的なアーティストがいつも新鮮なネタを提供することで定評がある。詳しくは彼のウェブ・サイトwww.rodigan.comでチェック。

ペプシUKの新しい宣伝役としてMs Dynamiteが選ばれた。彼女は貧困や保護下にある子供達に音楽界で活躍するチャンスを与える、という1万ポンドを費やすペプシのキャンペーンに様々な形で関与していくらしい。

Junior Kellyがまたニュー・アルバムらしきものをリリースした。Sizzlaとアルバムの数を競っているのか!? 20曲からなる『Bliss』は、純粋なアルバムではなく、7インチの音源を集めたものだ。アーティストが2ヶ月に一度のペースでアルバムをリリースすることを、リスナーが望んでいるのだろうか?

まだ聴いてはいないが、Ziggy Marleyが初のソロ・アルバムをBMGから6月にリリースする。『Dragonfly』と名付けられ、ロス・アンゼルスでレコーデイングされたアルバムは相当数のロック・アーティストをフィーチャーしている。その結果を良しとするかはリスナーが決めることだと思う。

Capletonが人気急上昇中のハコ、HackneyにあるOceansで公演予定。『Still Blazin'』でグラミー賞にノミネートされたCapletonのバックは、Evertonをベースに活躍するDJ&セレクターのLouie Cultureが務める。

Leicesterで開催される第3回ボブ・マーレー・デイのメイン・アクトはレゲエ界の巨人、Alton Ellisで、Derrick Morganと共にステージに立つようだ。このイベントには“マーレー講座”の一環として名門ブルーノートからもリリースがあるビブラフォン奏者のOrphy Robinsonが、彼の音楽についてレクチャーするらしい。非常に面白い試みだ。

1960年代に活躍した偉大なジャズ・ピアニスト、Andrew Hillが5月に数回、公演する予定。彼の演奏はいつも聴きやすく興味深い。これらの公演がキッカケで入手困難な彼のブルーノート音源のCD復刻があればいいのだが。

Gregory Isaacsのニュー・アルバムはRuff Cutt/Undivided RootsのTony 'Crucial' Phillipsのプロデュースの下、Jetstar's Cave Studioでレコーディングされた。彼にプロデュースを任したことは正解だと思う。いわゆる過去のヒット曲の二番煎じではない16曲からなる作品は、恐らく『Private Lesson』以来、最高の出来映えだろう。かつてのGregory色は薄れたが、プロデューサーは現在の彼から最大限のモノを引き出したと言えるだろう。
 'Til Next Time, Take Care......


(訳/Miyuki W. Myrthil)

Michael Prophet