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ピーター・フィリップスは、ジャマイカの中では実行力のある政治家だと私は思う。彼が運輸大臣だった時代、キングストンを中心に、ジャマイカ全島の交通機関システムがリニューアルされた。当初、あのジャマイカ独自のミニバスが1台2台と消え始め、白くて大きな優等生バスが主流になっていくのを、どこかで淋しく感じていたのだけど。 ヤガヤガバスは、ダンスホールがんがん、それも曜日や時間帯によって絶妙な選曲ときている。バスにはそれぞれフロントガラスに名前が書いてあって、音と速さと悪さで他のバスと競い合う。ダクタ(車掌)といえば女子学生というほど、ダクタは女子学生にモテる羨ましい職業のようで、彼らのやりとりをのぞき見するのも楽しかった。タラップに溢れんばかりの血気盛んなヤードマンたち。降りるときは、バスにブザーもないので「バス・ストップ!」と大声で知らせるあの照れ臭さ。運動神経に自信のある人だけは、飛び乗り飛び降りなんでもありー。しかしあの愉しいヤガヤガバスは、圧倒的に犯罪が多かった。 現在キングストンを中心に走る白い大きなバスは、JUTCという会社が運営している。このバスが導入されたとき、ヤガヤガ君が大人しく乗っている光景には、どうも違和感があったものだ。JUTCが導入された当初は、リストラされたバスの関係者から嫌がらせがあったり、JUTCのバス・ドライバーはバティマンだとか、チチバスという不名誉な名称でよばれたり、色々あったけど、このバス会社が大変な赤字を抱えているということ以外は、バスの事件は減り、便利で安全になって、結果的にはよかったねー。犯罪は、環境を改善することで、少なくなるという見本かな。ダウンタウンよりアップタウンの方が、ゴミのポイ捨てが少ないのと同じ効果かね。ヤガヤガバスも、ハーフウエイツリー・ロードを中心に、今だ健在。しかし、最近は規則罰金が厳しいので、ヤガヤガも、以前よりかなり改良されています。 ということで、別段おすすめするわけではないけれど、最近はバスに乗りやすくなりました。JUTCのバスは、後部ドアから乗り込み、車掌にJ$20を払い、白いチケットをもらう。このチケットはレシートとなり、何か事故でもあった場合に保険の引き換えとなるので、バスを降りるまでチケットを捨てないよう。ときにはチケットが懸賞つきとなる期間もあるし。賞金はJ$2,000と、宝くじのようには多くないけど。いらなくなったチケットは、ゴミ箱に。バス代は一区間がJ$20。市内を周遊してもJ$20。ポートモアやストーニーヒルなど郊外へはJ$30。バスは庶民の味方です。 バスを降りるときは赤いボタンを押して知らせる。それだけ。ただし、日本のように、「次はー○○」と次の停留先を教えてはくれないし、バス停には名前もないのでご注意を。バスに乗れるのは土地勘のある人だけ、と思ってください。降りる場所がわからないときは、車掌さんか親切そうな乗客に、「○○に着いたらおしえてくれ」とお願いすれば、そういうときには妙に責任感を発揮するのがジャマイカ人、必ず親切にしてくれます。バスやタクシーを止めるときは、片手を40度ほどあげますが、まずはジャマイカ人を見て真似してみてね。しつこいけど、バスに乗れるのは、土地勘とジャマ勘のある人だけ。間違っても、USドルをちらつかせたりしないよう。 日本人の皆さんが多く宿泊するハーフウエイツリー・ロード界隈やハーフウエイツリー北地区(コンスタント・スプリング・ロード)は、特にバスに乗りやすい地区。暑い日にクロスロードからハーフウエイツリーまで歩いたら、倒れます。是非バスに乗ってみましょう。イーストキングスハウス・ロード界隈に滞在の方は、ホープロードまで歩くのは大変だけど、ホープロードのバスは便利で安全度が高いのでおすすめ。夜の住宅街を歩くのはかなり危ないので、バスに乗るのは明るいうちに。平日の朝や夕方は、ラッシュで混むので避けましょう。 このバスは、特別な設備は何も備えていないけど、身体の不自由な人にとてもやさしい乗り物だ。たとえば、目の不自由な人はバス停以外の場所でも下ろしてもらえ、さらに目的地に無事着くまで、運転手とバスの乗客全員に見守ってもらえる。赤ちゃんを抱えているお母さんや妊娠中の女性は、必ず席を譲ってもらえる。重い荷物のある人は、暗黙の了解で、席にすわっている人に荷物を持ってもらっている。バス代を払えないけど運動能力に自信のある人(大抵はストリート・キッズ)が、バスの後ろや横にしがみついての無銭乗車も、見逃してもらえる。自転車の人も、バスの後ろにつかまって、坂道など(キングストンは、なだらかな坂が多い)危険な楽をさせてもらっている。 Pon De BusでEnjoy Jamaica! 田舎行きの長距離バスやロボットタクシーの話はまた次の機会に。 ※ウェブサイトを開設しました。 「Ricoのジャマイカ、Art Life」 http://members2.tsukaeru.net/smithrico Reiko NAGASE SMITH (協力/アイランドツアー:http://www.nabra.co.jp/island/) |