約2年ぶりに発表されたオリジナル・アルバム『Pieces』を引っさげてのソロ・ライヴ・ツアーのオーラスは、Shibuya-AXにて行われた。この日のライヴに対する期待の大きさは、フロアを埋め尽くした大観衆の熱気からもヒシと伝わってくる。そしていよいよ……ニュー・アルバム『Pieces』と同じく冒頭を飾る「Bank Job〜Mi Deh Yah〜」が流れ、ショーははじまった。PUSHIMが勢いよくステージに飛び出すと、いきなりのキラ-「DANCEHALLIC」で一気に場の空気をかっさらう。「さぁ踊ろ／朝まで」の大合唱が起こった「Until Da Morning」、そして「Greetings!」とたたみ掛け、冒頭4曲にしてまるでライヴ終盤のような大きな盛り上がりをみせる。

　今回もサウンドをガッチリと支えるのは、Home Grown Green Special Band！（Home Grownのメンバーを中心にギターにウンチャカのNodatin、キーボードに渡辺貴浩が参加）。そしてAsatoとMegの恐山Crewのコーラスと、気心の知れた仲間たちによるプレイの安定ぶりは、PUSHIMの歌声をより伸びやかなものへと導いている。

ニュー・アルバムのキーとなる曲「らくだ〜歌の歌〜」、前作『COLORS』収録の「Lyrical Feelng」をしっとりと歌い上げたところで、登場したのはMOOMIN。二人の記念すべきナンバー「過ぎ行く時間の中で」が予定外に披露され、続いて最新共演曲「The One Song」で息のあったところを聴かせてくれた。 名曲「Colors」、インスト「Zimboo Zim」を挟んで、真っ赤なドレスに着替えたPUSHIM。ここからはグッとオンナっぽく迫る曲を連発。ブルージーなラヴ・ソング「my 王子」に続いて、タンゴ調のリズムにあわせてPAPA Bが登場！　「雨のバンドネオン」で妖しい絡みをみせてくれた。さらに「I Wanna Know You」では、シングルのカップリングのみで聴けたDABOとのコラボが実現。これにはフロアも大いに沸いた。そして……前半の山場は、なんと言っても「Strong Woman」の情感あふれる熱唱。彼女のレパートリーのなかでも、ヴォーカルのスキルが一段と際立つ曲であるが、この日の歌いっぷりは圧巻の一言。すべての観衆が息を飲んだ、あの一瞬の静寂は、いつまでも忘れることができないだろう。

　バラードで魅了したと思えば、今度はグリーンのタンクトップに着替え、アッパーに責めまくる後半戦へと突入。ふたたびDABOを招き入れた「ここにTouch!」から、「Burn Fire」「Music Is Mystic」「Set Me Free」「It's Goin On」と『COLORS』の収録曲、さらには「Brand New Day」までを一気に歌い上げるなんとも贅沢なメドレーを披露。そして、男気三人衆＝Jumbo Maatch、Takafin、Boxer Kidをステージに呼び込むと、会場の興奮はマックスに！　強力なダンス・チューン「Which Is Your Flavor?」でノックアウト！　そしてそして、満を持して歌われたのが「P.U.S.H.I'm a T.O.P」。ここまで凄まじいステージングを見せつけられれば、そのタイトルに異論ijouを余地はない……そんな誰もが感じた思いを、会場中を巻き込んだハンドクラップが物語っているようだった。いよいよ訪れた本編のラストは、『Pieces』でも最後に収められたポジティヴ・ナンバー「And Ever」で締めくくられた。

　しかし、勿論ここで終わるワケがない。永遠に続きそうな大きなアンコールに応え、ふたたびステージに登場したPUSHIM。アンコール1曲めに歓声とともに招き入れたのはRyo the Skywalker！　Ryoの楽曲にPUSHIMが客演した「From Distance」が披露された。そしていよいよ大トリ。MOOMINもコーラスに加わった「FOREVER」！　ミラーボールが回り、シャボン玉が舞い踊る夢のような時間が流れるなか、多くの人が大満足の笑顔を浮かべている。会場中がひとつになって歌われたこの曲で、大団円を迎えた。手元の時計をみれば2時間半以上にわたてショーが続いていたことに気付く。PUSHIMのこれまでのキャリアのなかでも、間違いなく最高のステージだ。アンコールに登場したRyo the Skywalkerが大声で叫んだ、シンプルにして最大級の賛辞を心を込めて引用しよう……PUSHIMはスゴイ！