「いつもそばで」が好評のMoominが、通算5作目、そしてレコード会社移籍第一弾となるニュー・アルバム『Rise Again』を遂に完成。Moominならではのスウィート・ヴォイスはそのままに、レゲエ・アーティストならではのタフな面も前面に押し出された逸品だ。早速、『Rise Again』の魅力をレゲエ・セレクター、Thunder Killaに解説して貰おう。
  のっけから、あんまり褒めるのもウサン臭い感じだけど、今度出るMoominのニュー・アルバム『Rise Again』はかなりイイぞ!と言い切ってしまおう! Islandレーベル移籍第一弾だとか、通算5枚目(スゲエ…)のオリジナル・アルバムだ、なんて事よりも、聞かせて貰った曲の一曲一曲のクオリティーの高さ、まさに捨て曲無しの出来映えなのだ。そして、主役のMoominの歌自体が、今までの優しくスウィートなだけじゃなく、より一層タフで男らしく(自身が父親になったことも影響してるのだろう)自信に満ちた歌声で僕達の前に "Rise Again" してくれたのである。


 盟友、Kamishiro制作によるシングル曲の「いつもそばで」、そしてカップリングのSteely , Clevie & EC社長(!)制作による「Don't Make Me Over」は別ヴァージョン(オケはよりハードにミックスされ、ゲストDJにあのLexxusをフィーチャーした、レゲエならではのタフな曲に仕上がっている)が収録されているが、この2曲に関しては、もう聞いた人も多いだろうから、ここではアルバムのリリースを心待ちにしてるみんなのために、一足早く聞かせて貰った僕が、全体の(とは言うものの手元にある資料はまだ制作途中のものだが)感じや流れを、つたなくも紹介して、アルバムへの期待感を高めて貰えれば、と思うわけです。
「Don't Make Me Over」でコンビネーシ
ョンしたLexxus。


 まずはこのアルバムの、もう一つの目玉曲と言えるのが、Moomin同様のスウィート・シンガー、Kashief Lindo作、ドラム・プログラミングやキーボードも担当している「魔法の罠(Where Do I Fit In)」だろう。ご存じの通りKashief Lindoは、昨年リリースされた自らのアルバムでMoomin & 三木道三作の「Music Is A Part Of Me」を英語にしてカヴァーして、その曲がVPの名シリーズ『Strictly The Best 30』の中にも、ショーン・ポールやベレス・ハモンドと並んで収録されており、今度はMoominが、その同名アルバムに収録されていた「Where Do I Fit In」をカヴァーのお返しをした形になる。歌詞はオリジナルを元にMoominによって日本語に書き直されているんだけど、これがMoominの全くのオリジナルかと思う位にハマった、切ない歌詞と共にラヴァーズ・ロックの名曲の誕生である。

 この共作の他に、ラッパ狩リヤからQを招いての重量級な組み合わせで、DJ Yutakaのユニットである813制作によるウェッサイ・フレイバーな「Look Around」や、美声シンガー、Zebra ManのDJ名義 、Torauma(なんとZebra / Tiger風!)とのコンビでの、アルバム・タイトル曲「RIse Again」と、これまでとはひと味違った組み合わせの曲でも、今までの“優しい”Moominに加えて、“タフな”一面を見せる“強さ”が、今度のアルバムからは、随所に感じられるのだ。

 そんな中でも、ライヴのパートナーであり、地元の仲間でもあるHome Grownとガッチリ組んで作られた「栽培したい〜世界中で〜」は、さすがのクオリティーとヴァイブスの高さ、メッセージ性に富んだハイ・テンションなリリックで(タイトルから想像するガ○ジャ・ソングじゃないよ)パワーみなぎる快作。これはこの夏のライヴで一番の盛り上がり曲になること間違いないでしょう。

 しかし、個人的に一番のお気に入り曲は、Moominの新境地とも言えるような、Little TempoのTicoと内田直之、そしてToikeを加えて制作されたラッツ&スターの名曲のカヴァー「星くずのダンスホール」だ。この、まるで70年代のStudio Oneサウンド、「No Man Is An Island」の頃のSound Dimensionを思わせる音にハマり過ぎの、いつもよりスモーキーなMoominの歌声で歌われる切なすぎる歌詞、と完璧! この一曲は「ムーンライト・ダンスホール」の頃よりちょっと大人になったダンスホール世代への素敵過ぎるプレゼントとも言える大傑作。是非、7インチでシンングル・カットを!

 ざっと、紹介しただけでもこの充実度満点な上に、Rocking Time等、日本のレゲエ・シーン全てに於て活躍中の森俊也を招いての好ロック・ステディ「にじんだ浜辺」や、ミュージシャンとして何度も来日し、自らも才能あるシンガー/トラック・メイカー、Benjy MyazとMoomin自らのプロデュース作である「I Have A Dream」等々、どれも眩いばかりだ。

 Moominは今、確実にミュージシャンとして充実しているし、乗りに乗ってる。期待を絶対に裏切らない『Rise Again』のリースは6月25日、もうちょっと待っててね。




"Rise Again"
[Island / UPCH-1260]
Moominのアイランド・レーベル移籍第一弾となる入魂の5thアルバム。スウィート&タフ!






"Music Is A Part Of Me"
Kashief Lindo
Moominのヒット曲「Music Is A Part Of Me」を英詞でカヴァー。





"Strictly The Best 30"
V.A.
VPの最新ヒット曲集シリーズ『STB 30』にも左の曲が収録された。

  【イベント情報】「Quattro Standards+」6/20(金)渋谷Club Quattro  
[出演]Moomin、H-Man、Home Grown[開演]20時[前売]¥3,990
[問]Club Quattro 03-3477-8750