LIGHT OF MY WORLD / SIZZLA
[JET STAR / CRCD3085]


何なにしろ出まくりのシズラ、しかもあの超名盤のデジB盤が出た直後だけに、また適当にお茶を濁すだけの事しか書けないじゃないかと思ったこの一枚でしたが、ホントカッコイイ! 凄いハードコアでエモーショナル! 「なんじゃそりゃ? カッコつけやがって」って思われてもそんな言葉を使ってまで嘘はつけません。正直言えば予想以上の大傑作って事だけど、「ノー・ペイン」好きな人なら絶対マスト![輸入盤](鎌田和美)

DIFFERENT THIMG / TURBULENCE
[MINOR7FLAT5 / EFA / 09CD]


2ndアルバムは何とドイツのレーベルから。正直なところシングルではいい感じのヒットがあるものの1stアルバムの時点ではあと一つって感じだったのですが、これは凄く良い! 全体的にシンプルだけど、タフなオケと耳に焼き付き離れない節回し。兄貴分のシズラに似てると言われるけど、それがどうした、文句でもあるか? 実際、やっと本作でこの人らしさが出たと思うが、良いモノは良い。傑作です。[輸入盤](鎌田和美)

STRAIGHT FROM THE ROOT / LMS
[VP / VPCD1650]

3枚目となる本作はエクスターミネーターから。全体的にアコースティックな音使いが印象的で、色彩豊かなモダンで洒落た音作りが、三者三様のアクの強さに見事にハマっている。しかもただ聴き易いだけとは違い、しっかりとしたコンシャスな仕上がりに。シングルでは昔、このアクの強さが微妙な結果になってた様に感じる事もあったけど、本作はそんなズレはなく、最高傑作と言っていいんじゃないかな。[輸入盤](鎌田和美)

OUTTA DE VAULT / HORACE ANDY
[PLUSH / PLS 005]


90年代前期から後期にかけて録音されたホレスのルーツ・アルバム。収録曲全てがジャマイカのブラック・スコーピオとミュージック・ワークス・スタジオで録られたもの。内容は「スカイラーキング」「カス・カス」「ラスタリブ」「ライト・マイ・ファイアー」「アマギデオン」「オール・フォー・ユー」他、打ち込みスタイルのハードなマイナー調リズム・トラック! ニュー・ルーツ・ファンにお勧めだ。[輸入盤](長井政一)

IN FINE STYLE / AUGUSTUS PABLO
[PRESSURE SOUNDS / PSCD-038]


いきなり永遠の超名曲「Far East」のヴァージョン違い4連発から始まる本作は、A・パブロが70年代に7インチや12インチでリリースした今となっては貴重な音源をコンパイルしたもの。僕の好きな「Pablo In Fine Style」や「Ras Menilik Congo」等のダブ・ヴァージョンに加え、更にRas Levi名義の曲(そのダブも)まで収録。パブロ関係の編集盤は数々出ているけど、本作は極上級の部類に入るだろう。[輸入盤](大場俊明)

KING OF THE DUBB ROCK / SIR COXSONE SOUND
[TRIBES MAN / TM-LP002]


ロンドン在住のジャマイカ系のレゲエ・プロデューサー、サー・コクソンの手掛けた幻のダブ・アルバムの復刻。音源は1975年当時にジャマイカで録音されたロッカーズ・スタイルのゲットー・サウンド。オーガスタス・パブロのメロディカ、トミー・マクックやボビー・エリスによるブラスホーン・セクション等をフィーチャーしたインストゥルメンタル・ダブ。ミックスはキング・タビー・スタジオ。[輸入盤](長井政一)

チョコレート・ファクトリー/R・ケリー
[ゾンバ/ZJCI-10146]


自己名義では約2年ぶりの5作目。先行シングル「Ignition」を始めとするレイドバックしたアップ群からは確かに往年のR&B的旨みを感じ取ることは可能。だが、その他の空々しいほどに穏やかなミッドが描く風景は、今の彼が置かれている状況もあってか、かなり荒涼とした雰囲気に包まれている印象も強い。でも、これが今の彼のリアル。そしてそれをR&Bとしてきっちり作品化してきた才能はやはり途轍もない。(石澤伸行)

シングス・ザット・ラヴァーズ・ドゥ/ケニー・ラティモア&シャンテ・ムーア
[BMG/BVCA-21124]


若きR&Bシンガー夫婦によるデュエットもののカヴァー集。「Close The Door」や「Make It Last Forever」といったクラシックを仲睦まじく歌い上げるという、一歩間違えれば迷惑でしかないベタ企画だが、総じて中味がイイんだから文句はいえない。因みにふたりからのメッセージもいい。「このアルバムを聴くと赤ちゃんができるかも。アルバムを作っただけで赤ちゃんが出来ちゃったから」だと。やってろ。(石澤伸行)

グレイテスト・リミキシーズ+1/ブラックストリート
[ユニバーサル/DCT-1136]


新作『Level U』のリリースに合わせる形で実現した日本独自企画。ビートに対する求道師であると同時に類稀なるメロディ・メイカーでもあるテディの飽くなき創造力を体現した秀逸な仕事がズラリ。中でもデバージをカヴァーした「I Like It」のCD化は世界初の快挙だ。オリジナル・ヴァージョンを聴くのみではテディの醍醐味を満喫したことにはならない、とするならばこれは必聴かと。タワー・レコード独占発売。(石澤伸行)

ウォーター・ノーツ/キーコ
[東芝EMI/TOCT-24945]


産後休暇もそこそこに発表された新作。“夕焼け感”とでも言うべき“泣き”の要素を含んだソウルネスは相も変わらず濃厚。その一方で美麗な情景を描いた「波紋」では新機軸を感じさせ、ダブ処理を施した“パパパパーン”も良いアクセントに。“我ここに在り”を高らかに宣言するかのような歌声は唯一無二な響きを湛え、その力強さはもはやレゲエやR&Bといったキーワードさえも必要とはしていないかのようだ。(石澤伸行)

ユー・ターン/ブライアン・マックナイト
[ユニバーサル/UICT-1021]


2年振り6枚目。ネリーやファボラスとの共演ではタイトなビートに跨りご満悦な一方、「Good Enough」ではジョー、カール・トーマス、タイリース、タンクを伴いコロンの香りにむせそうなパフォーマンスを披露したりと見せ場は多い。でも彼の引きの美学を堪能するならアンダードッグス手掛ける「Shulda, Woulda, Coulda」あたりか。穏やかな佇まいの中で繰り出される絹声にはやはり抗し難い魅力がある。(石澤伸行)

ソウル・エッセンシャルズ5/V.A.
[エイベックス/CTCR-13181]


欧州を中心に12インチのみで流通する音源等を集めた人気コンピのシリーズ第5弾。フロアへの訴求度、そしてリスニングにも耐えうる楽曲・パフォーマンスのクオリティといった、字面で見るより遥かに高いバーを常にクリアし続けている本シリーズだが、今回も一切妥協なし。日本産のコンピに世界中の好事家が泣いて喜んでいるというのにも合点が行くというものだ。希望はひとつ! 「今後も続けてください」。(石澤伸行)

THE RHYME KING / KING JAMMY'S
[MAXIMUM PRESSURE / MP003CD]


「生演奏からコンピューターライズドへ」レゲエ・シーンに大革命を巻き起こした重要人物、キング・ジャミーの音源を収録したオムニバス。彼のプロダクションによって制作された“スレンテン”というリディムが現在のダンスホール・スタイルの基礎となっている。本作は80年代後半、ジャミーズ全盛期のヒット・チューンを収録したもの。完成度の高いトラック・メイキングで今聴いても充分に楽しめる。[輸入盤](小池信一)

IMPACT! / V.A.
[UNIVERSAL SOUND / USCD18]


パブロの名曲「Java」をはじめ、70年代に数多くのシングルをリリースしていたクライヴ・チンのレーベル、インパクト。アーリー・レゲエ調のものからドロくさいルーツ・ナンバー、はたまたソウル・マナーなチューン等々、サウンドのバリエーションはかなり豊か。今では聴く事の出来ないレア・ナンバーを多数収録した本作品、アルバム単位でのリリースが少ないレーベルだけに実に聴きごたえがある。[輸入盤](小池信一)

WACKIES SAMPLER VOL.1 / V.A.
[WACKIES / S-01]


リイシューの勢い止まらず、遂にはサンプラー盤が登場。ずっと追い掛けている熱心なワッキーズ・ファンには必要ないだろうけど、これまでワッキーズのサウンドに触れたことがない人には是非この1枚をプッシュ、買いの1枚です。選曲のバランスが絶妙で、どの曲をとってもディープなワッキーズの世界を堪能できるキラー・チューンばかり。このCDでずっぽりハマってください。奥は相当深いですよ〜![輸入盤](武田洋)

WE ARE GETTING BAD / V.A.
[MOTION / FASTCD013]


ミキシング・ラブのオーナーであるロイ・フランシスが70年代後半に興していたレーベル、フェイズ・ワンのコンピ。リリースされた作品の量はかなり少なく、あまり知られていないアーティストのものばかりなのだが、音の方は相当良い。チャンネル・ワン、ジョー・キブスで録音されたトラックはスライの切味鋭いミリタントが中心。DJにおいての迫力あるダブワイズ・ミックスには脳天を打ち砕かれる。[輸入盤](小池信一)

TROJAN REGGAE BROTHERS BOX SET / V.A.
[TOROJAN/TJETD072]


まだまだ続きます。女性シンガーばかりを集めた『Reggae Sisters』が好評のトロージャン・ボックスから、今度は男性編がリリース。ドビー・ドブソン、ケン・ブース、グレン・ブラウンなど、67年から77年までのヴィンテージ・レゲエが50曲。この時代らしくカヴァー曲も多く、ボリス・ガーディナー「A Groovy Kind Of Love」がほのぼの系でオススメ。このシリーズは値段が安いので曲買い、試し買い推奨。[輸入盤](武田洋

ジャパレゲ・クラシックス/V.A.
[スティング・ミュージック/STCD-003]


90年代半ば以降のジャパニーズ・レゲエ・アーティスト達を支えた続けたレーベル、JAPJam、Mixini、空手、爆音Syndicate(全てB.P.絡み)の音源から、レゲエ・ファンならいまだに心に焼き付いているであろうベスト・チューン18曲をより抜いてコンパイルした、タイトル通りのクラシックス集。現在確立されたと言われるこのシーンだが、これらの熱き曲達がその礎を築いたとも言えるだろう。(大場俊明)

フリー・ソウル〜ザ・クラシック・オブ・ホット・ワックス&インヴィクタス/V.A.
[Pヴァイン/BSCP-30081]


今回はモータウン以降のデトロイトをレペゼンするノーザン・ソウルの逸品をどっさりと。躍動する演奏をバックに披露される、フリーダ・ペイン、ローラ・リー、ハニー・コーンら女性陣の瑞々しいパフォーマンスに魅せられる一方で、チェアメン達の熱い歌唱や初期パーラメントの怪演に思わず拳を握ったり。元ネタや激レア曲満載の色気に負けてしまわずに、まずは各曲が放つ煌めくようなソウルネスを堪能せよ!(石澤伸行)

コンセプション〜スティーヴィ・ワンダー・トリビュート/V.A.
[ユニバーサル/UICT-1020]


御大をリスペクトするアーティストが、R&Bのみならずロックやラテン、レゲエといった様々な畑から集結し彼のクラシックをカヴァー。地声からして彼に似てるグレン・ルイスがイキイキとしたパフォーマンスをみせる一方で、ジョーは似せて歌うことで敬愛を表明。中でもキャロン・ウィラーやアンジー・ストーンが築く独自の世界は出色の出来だ。スティーヴン・マーリーが「Master Blaster」に挑戦してます。(石澤伸行)

ダブル・スタンダード/スナガ・T・エクスペリエンス
[レディメイド/RMCA-1010]


1stアルバム『Crouka』から2年の月日を経て発表される、須永辰緒によるソロ・プロジェクト、スナガ・ティー・エクスペリエンスのセカンド・アルバム。山下達郎の「Futari」、Pat Metheny「Slip Away」などをカヴァーし、一十三十一やトヨノら総勢8名ものヴォーカリストをフィーチャーするなどカラフルな内容。その多彩な作風を一枚のアルバムとしてまとめあげパッケージする相変わらずのセンスの良さは流石。(高橋晋一郎)

サマー・サン/ヨ・ラ・テンゴ
[P-ヴァイン/PVCP-8212]


待っていたファンも多かっただろう、ヨ・ラ・テンゴが10枚目となるアルバムを発表。ジョージア・ハブリー、アイラ・カプラン、ジェイムス・マクニューによって奏でられる彼らのサウンドはいつだって素晴らしく、程度にポップでドリーミーでいて暖かく懐の深い音楽性は、昨今のプログラミングされた音楽を聞き慣れた耳には新鮮に響いてくる。全てのバンドがこうなる必要は全く無いけど、やはり彼らは特別。(高橋晋一郎)

セット・フリー/ジャズトロニク
[フラワー/FLRC-0160]


ジャズトロニックこと野崎良太がディレクションするプロジェクトが4年ぶりに2枚目となる本作を発表。海外でもリリースされた1stアルバム『Numero Uno』も高く評価されていたが、今作は更に上回るスケールでジャズやラテン、ブラジルにアフリカン・ミュージックとハウスやテクノ、ブレイクビーツ等のエッセンスがジャズトロニック流儀でブレンドされ渾然一体となって迫る意欲作だ。(高橋晋一郎)

エンシエント・フューチャー/カーム・フィーチャリング・ムーンエイジ・エレクトリック・アンサンブル
[ラストラム/ LACD-55]


遂にリリースされるカームの最新作。スピリチュアルなムードが全編を覆いつつも決して難解になることなく、さらに洗練された世界を確立した傑作。流行云々とは関係ない音楽としての強度も抜群。密かに話題を集めているツキノワのヴォーカリスト、フミノスケをフィーチャーした「Utopia&Visions」やセルフ・カヴァーとなる「Light Years (Longer Than Our Mind)」、カーム節が満開の「Peace」などクラシック入りは確実。(高橋晋一郎)