2003年4月号


Mauka B & His Boys at White River
Greetings Friends,

現在のレゲエ・チャートを制する男性ヴォーカリストを一人あげるとするならば、Beres Hammondを除いては他にいないだろう。それぞれに趣きの違った多様性のあるマテリアルの数々を同時にレゲエ・トップ50チャートに送り込めるようなシンガーはいない。矛盾したように聞こえるかもしれないが、彼がより広いコマーシャルな層への突破口を見つけきれていないことが彼を精進させ続けてきたのかもしれない。だが、彼が「より大きなマーケット」を目指すべきではない、ということでもないだろう。前置きが長くなってしまったが、ここで紹介したいのが「Dog Nyam Yu Supper」。彼と、ヴェテランのChaka Khanがフレッシュで爽快なコンビネーションを聴かせている。鋭い音楽的洞察力に溢れたClive HuntにSly&Robbieが参加した好チューン、これをラジオでかけない訳にはいかないだろう。同じ理由で「Much Clearer」「Come Down Father」「Come This Way Again」も忘れてはならない。Beresはこれからも頂点に君臨し続けるのだ!

そして年季の入ったもう一人のヴォーカリストと言えばFreddie McGregor。彼は定期的に渡英しているが、最近ライヴのために滞在していた間に、JetstarのCaveスタジオにて2、3曲録音している。この記事が世に出るまでには、ロンドンで行われる「聖バレンタイン・デー・バッシュ」にFrankie PaulやLouisa Markらと共に、Ruff Cutt Bandをバックに従えて登場する。そしてRuff Cutのメイン・ミュージシャン達が結成するUndivided Rootsが次のトピック…。

元Undivided Rootsのシンガー、Don Campbellは常により大きな成功を手にするかように見えていたし、彼自身もそのような発言をしてきた。しかし10年以上前にDJ General Saint(Eastwood & Saint)とタッグを組みながらも僅かなところでポップ・スターダムを逃して以来、彼は自分自身で道を耕し続けてきたのである。その彼の最新45吋盤である「Could It Be」のカヴァーはDwayne Burkeの賛助のもとCaveスタジオで録音されているが、ここでは彼のヴォーカル・スキルを余すところなく見せつけている。

傑作アルバム『Reality Check』そして『Zion Gates』以降、Morgan Heritage兄妹の年長組のサポート役として計り知れない活躍をしてきたLMSは、ようやく自分達自身のツアーを開始した。いいことじゃないか! 彼らはそれぞれに個性を持ち、ステージでの存在感も素晴らしく、多くのレーベルから様々の45吋盤を量産してきている。断言しよう、彼らは準備万端だ。

Mad Professorや彼のAriwaレーベルとリンクアップしてから早17年のMacka Bが自身のプロダクションに着手している。だからといってProfessorとMacka Bが今後共に活動しないということではなく、この温和なDJは自分のバンドを結成し、恒久的にグループとしての共同意識を持って自身の仕事に集中していく必要があると考えたのだ。その当然の結果として現れたのが彼の新作「By Royal Command」。彼の創作部隊となったRoyal Roots Bandと共に地元のスタジオで録音された。知恵とウィット、鋭い感性と端切れの良さを合わせもったそのスタイルが彼の才能を際立たせてきたし、これからもそれは彼の魅力であろう!

Jetstarから鳴りもの入りで登場したRas Itesが豪華なデジパック仕様の傑作デビュー・アルバムを引っ提げ、実に身のあるライヴ・ショウを見せてくれたのは、もう1年以上も前になる。しかしようやく彼らのシングル「Bundung」がCharmからリリースされた。どれだけの人間に知れ渡ることになるのかは判断し辛いところではあるが、最高級の出来である。 

                  
 Till Next Time...Take Care....(訳/Miyuki W. Myrthil)

LMS