SERVE JAH / LUCIANO
[BLACKSCOPIO / VP / VPCD1657]

当代きっての名シンガー、ルシアーノだけに作品はいつも良いけど、正直ここ最近はいつも通り良いといった感じだった。でもこれは特別に良い! 実際それ程変化は無いけど、微妙な違いが絶妙にツボ突いてくる。ルーツなトラックからアコースティック・ギター弾き語りまで、全体的にシンプルだけどタフな音作りは、以前のエクスタミネーターとは違った味でありながら、ルシアーノとの相性はバッチリ。最高![輸入盤](鎌田和美)

DUETS / LUCIANO
[JET STAR / CRCD3084]

上記の新作『Serve Jah』はかなりグッとくる出来だったが、ルシアーノといえばやはりエクスターミネーターからの諸作が個人的には好きである。このアルバムはエクスターミネーター音源のデュエット物だけを収録したもので少し古めの曲ではあるが、「イン・ディス・トゥゲザー」、「ノー・ガボン」等、名曲が多数収録されている。現在は絶縁関係にあるルシアーノとファティスだが是非復縁を望む。[輸入盤](小池信一)

KEEP ON / TONY CURTIS
[STINGRAY / STINGLP 16]


今回は英国スティングレーからのリリース。全体通して透明感あり、繊細なアレンジの効いた、これぞ王道ラバーズって感じ。しかし一昔前の英国ラヴァーズと較べると随分センスの良い音作り。スウィートな歌い方の中で所々力んで声を出す感じが素晴らしいスパイスになっていて聴きやすいだけで終わってない。でもいつも通りと言えばそうなんだけど、良いのは確か、ラヴァーズ・ファンにはお薦めの逸品。[輸入盤](鎌田和美)

HORSEMOUTH IN DUB VOL.1 /HORSEMOUTH & RUFF EDGE CRUE
[JAMS PROMOTION / NO NUMBER]

『ロッカーズ』の主役でもあり名ドラマーのホースマウスによる作品が、20数年の年月を経て初めて世にリリースされた。77年頃にハリーJなどのスタジオで録されたセッションで、所々にアーネスト・ラングリンの秀逸なギターが見え隠れする。ドン・ドラモンドの「コンフューシャス」等の曲もカヴァーされている。全曲ブラスホーンによるインストゥルメンタル&ダブなのでダブ・ファンにもお勧め。[輸入盤](長井政一)

DUBS FROM THE VAULTS / V.A.
[DUB HEAD / DBHD 019DB]

コンシャス・サウンドが放つ2003年U.K.ダブの新作は、全15曲のインストゥルメンタル&ダブ。アナログ・エフェクターをふんだんに効かせた飛ばし系ダブで、打ち込み、生演奏、そしてダブ・ミックスと全てコンシャス・サウンド・スタジオでされたもの。リディムもハマリ系のワン・ドロップからイケイケのステッパーと様々。ゲストには来日間近のラブ・グローサーのホーン隊なども参加。[輸入盤](長井政一)

A PLACE CALLED JAMAICA / V.A.
[MAKASOUND / 322301]

一定の周期で忘れた頃にリリースされるデリック・ハリオットもの。それだけ良質な楽曲が多い証拠です。これは彼の一番魅力が詰まった時代、60'sと70'sにスポットを当て18曲を収録。ブラック・ムービーのラスト・ソングにぴったりな「Message From A Blackman」、切ない声で唄うデイヴ・ロビンソン「Native Woman」、男気炸裂キース&テックス「This Is My Song」に注目。フランス発、音質極上。[輸入盤](武田洋)

THE MAYTONES / THEIR GREATEST HITS
[HEARTBEAT / 11661-7575-2]

オレはメイトーンズが大好きである。『ロッカーズ』収録の「マネー・ウォリーズ」という名曲はあるが、特に際立った個性がある訳でもなく、コーラスが特別巧い訳でもない。じゃあ何故かというと、全体に流れる緩やかな空気、素朴で土臭い唄声、微妙な音程のコーラス・ワークなどが強くジャマイカを感じさせてくれるからである。彼らの活動拠点であるGG'sからの代表曲を網羅した本作、悪いハズが無い![輸入盤](小池信一)

IN THE SDUB ZONE / JA-MAN ALL STARS
[BLOOD AND FIRE / BAFCD 041]

70年代後半頃に稼働していたレーベル、ManzieとJa-Manのオーナーであるダッドリー・スワビーが残した2枚のダブ・アルバム『Ja-Man Dub』、『King's Of Dub』が2 in 1で再発。録音はチャンネル・ワン等でレヴォリューショナリーズがバックを担当。ノリの良いミリタントが中心の前者に対し、後者はスライのシンドラがアクセントになったワン・ドロップ物。DJスタイルとの対応を意識したラフなダブが満載![輸入盤](小池信一)

NINEY THE OBSERVER PRESENTS KING TUBBY IN DUB / V.A.
[HEARTBEAT / 11661-7757-2]

キング・タビーのクローゼットに眠っていた、ナイニ−・レーベルの未発表ダブ9曲を中心に編集した強力ダブ・アルバム。タビーはプロデューサーからマスターを受取ると、この様に依頼されたものとは別に、密かに自分のセットのための別ミックスを制作していたという。そしてそれらを夜毎サウンド・システムでプレイし、Uロイを始めとしたDeeJayがトークオーバーして観客を沸せていたのだ。必聴の1枚。[輸入盤](武田洋)

DOCKING SEQUENCE / V.A.
[BSI CAMPAIG / BSI 015-2]

U.S.レーベルBSI Campaigからのコンピレーション盤。幻想的なアンビエントに対し、ビートを強調したイルビエントとレゲエ系ダブを取り合せた選曲だ。アルファ&オメガ、ジャー・ウォリアー、ルーツマン、ダブ・クリエイター、ダブトロニック・サイエンス、バダウィ、DJスプーキー、フェイズ・セレクター・サウンド、サウンド・セレクション等、英米アーティスト取り混ぜて構成されている。[輸入盤](長井政一)

ハイ・ナンバーズ/東京スカパラダイスオーケストラ[カッティングエッジ / CTCR-14242]

最近のスカパラは自らの肉体に染み渡っているスカのビートや精神を自然に放出しているかの様に映る。勿論、各メンバーの引出は多く、中にはあらゆるものが詰まっているので、本作でもそうしたアイデアは豊富だが、頭で捻り出したというよりもスルっと出てきた感じで嫌らしい計算は感じない。デビュー当時の肉体派のイメージが戻ってきたとも思えるし、スカパラ・ミュージックが完成したとも言えるだろう。(大場俊明)

ヴォイス・オブ・ラヴ/カルチベーター
[フライングハイ/FLHI-17]

ジャマイカに於ける70年代から80年代初頭のルーツ・レゲエとダブは太い線で繋がった関係であって、その基本的精神は同一のものである。その音楽と精神をここ日本で実直に引き継ぐ彼らの初作品集。“重戦車”というコピーは決して誇張ではなく、鉄壁のリズムとツボを心得たメロディ楽器群、そしてそれらを更に強力にするダブ、全てが絡み合った重量級の音塊がミゾオチに攻めてくる。コンセプチャルな構成も吉と出た。(大場俊明)

レヴェル II/ブラックストリート
[ユニバーサル/UICW-1029]

テディが再始動! しかもチャウンシーやデイヴ・ホリスターらツワモノ・シンガーを再び呼び寄せて! “Don't Touch”や“Wizzy Wow”といったアップ群ではテディのビート職人としての気合いが炸裂。でも、本作で圧倒的に耳を奪うのはミッド曲で構築された重層的なメロディの方だ。ファンクを奏でつつ、「天才」との賞賛の裏で壮絶なまでにサヴァイヴせんとするテディの「シブとさ」が漲る超注目作なり。(石澤伸行)

ライヴ/キース・スウェット
[ワーナー/WPCR-11514]

ワシントンDCでのライヴ。90’s前半のレパートリーを中心にシルクやLSGの楽曲を加えた演目は、まさに往年のファンにとって堪らないものがあるハズ。増してや、リル・G、アテナ・ケイジ、ジョニー・ギル、ジェラルド・リヴァートらのゲスト付きとくれば「落涙止まず」といった状況になること間違いなし! 生バンドをバックにしたキースの歌がいつになく熱く躍動感に満ちていることも新しい発見となろう。(石澤伸行)

カラー・オブ・マイ・ソウル/フル・フレイヴァ
[Pヴァイン/PVCP-8766]

英国Domeレーベルを通じ良質なR&B作品を量産するプロジェクトのフル・アルバム。曲毎にフィーチャリング・シンガーを別立てする形式に、アーリー90’s のUKソウルやハウス畑を華やかに彩ったディーヴァたちが集結。中でもカーリーン・アンダーソンによる存在感の塊のようなヴォーカルや、アリソン・リメリックが描くメランコリックな風景、そしてシー・シー・ペニストンの凛とした振る舞いが心に沁みる。(石澤伸行)

エンジェルズ・ウィズ・ダーティ・フェイセズ/シュガーベイブス
[ユニバーサル/UICI-1022]

UKが誇るハイパー娘3人組のセカンド作。ロドニー・ジャーキンス風あり、大ネタ使いありと現行R&Bのトレンドへの目配せも忘れないが、彼女たちの強みは、どんな音を前にしても物怖じしないヴォーカルにある。世界中の黒めな音楽を取り込みヴィヴィッドな色合いに染め直してしまう力。そんな頼もしいまでのミクスチュア感覚にはUKシーンの逞しさをも感じた次第。これでスパイス娘の背中も見えてきた?(石澤伸行)

リミックスド&アンプラグド・イン・A・マイナー/アリシア・キーズ
[BMG/BVCP-27043]

大ヒットしたデビュー・アルバムからのリミックス・ヴァージョンとライヴ音源を集めた企画盤。ラッパーとの共演やハウスへの挑戦のみならず、オルタナなアプローチにも見事対応してみせる際の彼女の立ち回りにあらためて「賢さ」を思う一方で、ステージ上でのピアノだけを伴った逞しくも大らかな歌いっぷりに惹き付けられる。「ルックスありき」との言い掛かりを軽く吹き飛ばして余りある彼女の魅力が満載だ。(石澤伸行)

フリー・ソウル〜ザ・クラシック・オブ・スタックス/V.A.
[ビクター/VICP-62194]

60〜70’sのソウル・クラシックをこれでもかと盛り込んだお馴染みのコンピ。現行R&Bやヒップホップの元ネタ確認に勤しめる一方で、この時代特有の「匂い」を有した楽曲のエヴァーグリーンな魅力に再会できるのが嬉しい。しかもこんなにイイ音でかつお手軽に! 日々のフィールド・ワークに資する一級のガイドであると同時に、本コンピに通底する「昔からそこにある音楽の新たな力」をがっちり堪能できる。(石澤伸行)

ネヴァー・トラスト・ア・ヒッピー/エイドリアン・シャーウッド
[東芝EMI/VJCP-68426]

エイドリアン・シャーウッドが20年にも渡る音楽活動の中で初めてのソロ・アルバムを完成。革新的なレーベルOn-Uの主宰者として、また一人のダブ・マスターとして独自のスタンスを築き上げてきた彼。空間を自在に飛び回る音で組み上げられ、多角的なサウンドアプローチも新鮮な本作はまさしくダブという手法が今もなお全く色あせることなく現在進行形で音に息吹きを与えていることを立証する頼もしい作品。(高橋晋一郎)

アーバン・エヴァキュエーション/アップ・バッスル&アウト
[エンジェルズ・エッグ/AECD010LP]

かつてはニンジャ・チューンにも在籍していたアップ・バッスル&アウトの最新作。マッシヴ・アタックやロニ・サイズら同様ブリストルを拠点として活動する彼ららしくダブやレゲエ、そしてブレイクビーツの要素に、これまでのサウンド・カラーであるラテン・フレイヴァを織り交ぜつつクロスオーヴァーというよりもまさにオリジナルというべき音楽性を披露している。ゲストとしてニティン・サウニーも参加。(高橋晋一郎)

26 ミックスズ・フォー・キャッシュ/エイフェックス・ツイン
[ビート/BRC69]

90年より今に至るまでエイフェックス・ツインが手掛けたリミックスをコンパイルした作品集。ナイン・インチ・ネイルズ、ミート・ビート・マニフェストやワゴン・クライストらの楽曲をリッチー・カラーに染め上げた数々の楽曲を聴くと改めて薄めることの出来ない個性の強さが伝わってくる。存在自体がポップ・アイコンとなった彼でしかありえない無垢に音と戯れているようなャラクター性がやはり魅力。(高橋晋一郎)

ザ・アンナイテッド・ネーションズ/ラサ
[サウンドスケープ/RECD006]

『Irradiation』『Inner Film』という2枚の傑作アルバムをリリースしているBayakaの二人によるニュー・プロジェクト、Rasaが始動。Bayakaが宇宙から地球を眺めている浮遊感にも似た感覚とすれば、Rasaは一気に地球の地中深く潜り込んで本質を探ろうとしているかの様だ。つまり聴く者の精神の奥深くに潜り込み心のヒダに細かい傷を残していく、それほど緊張感に溢れた濃度の高い作品である。(大場俊明)

レベル・ファミリア/レベル・ファミリア
[ポジティブプロダクション/HMS-0038]

鋼のような意志に貫かれたシングル「Stand Alone」がリリースされたのが去年の春。その後、精力的なライヴ活動を経て遂に彼らのファースト・アルバムが到着した。「如何にレベルを持てるか、それが音に込められているか」という彼らのテーマは本作でも終始一貫しているのは確か。予定調和的なもの、形骸化してしまったものにツバを吐き叩きのめすかのような狂暴なサウンドは唯々圧巻。(大場俊明)

ブルー/大友良英
[ウェザー/ WEATHER 015 / HEADZ 4]

映画化された魚喃キリコのコミック、『Blue』のサウンドトラック。手掛けたは大友良英。栗コーダー・カルテットの栗原正巳、Rovoやデート・コース・ペンタゴン・ロイヤル・ガーデンなどで知られるドラマー、芳垣安洋、更にNovo-Tonoの江藤直子らが参加した本作は大友が持たれているアヴァンギャルドなイメージの音とは対照的なメロディアスで繊細ながらも存在感のある作風で原作とリンクする内容だ。(高橋晋一郎)