●ベスト盤をリリースしようとしたきっかけは?
ECD:割とレコード会社の都合っていうか、もう一昨年位に『Season Off』を出す時にベスト盤でも出しませんか?っていう話があって。でも、考えてみたら最初のアルバム出してからもう10年経つし、ま、いいかなって。その時に選曲はすぐ、話がきた段階で思いついて、で、そのまんま、去年の今頃にベスト盤、最後に入っている新曲は録ってて、で、これまた会社の都合で、本当は去年の夏ぐらいに出す予定が、今年の2月になりましたって感じですね。
●すぐに選曲は思いついたっていうのは?
ECD:なんか、自分らしさとか拘りがあったりとかいう曲っていうよりは、とりあえず、誰かがDJでかけてくれたとか、すごく褒めてくれたとか、あの、人の評価をもとに選んであるっていう感じですね。
●具体的に例を挙げて貰えますか?
ECD:一番最初に入っている曲のインスト・ヴァージョンっていうのは、もともとアナログはインスト・ヴァージョンしかなくて、これを結構川辺(ヒロシ)君とかが(青山のクラブ)MIXでかけてくれたりしていて、多分人がかけてくれているのを聞いた自分の最初の曲だったのかな?あれが。うん。そんなのもあってわざわざインストで入れたりとか。
●褒められた曲とかは?
ECD:褒められた曲は「東京っていい街だなあ」は、ヤン(富田)さんがわざわざ電話かけてくれて、「これをアルバムの1曲目にしなくちゃだめだよ。今から変えられないの?」って言われた覚えがあって、あれは『Walk This Way』っていう2枚目のアルバムの曲なんですけど。そういうことがあったり。
●どうですか? 振り返ってみて?
ECD:聞いてみると自分で、10年がのしかかってくる感じはあるけど、後半にさしかかったりして、割とスペース・マウンテンに乗ってる感じ(笑)?
●判ります。僕たち大きなスペース・マウンテンに乗ってるんですよ、一緒に(笑)。
ECD:へへへ。そうそう。その感じはベスト盤だからこそ味わえる感じで、結構ひやひやする感じが出てて、ベスト盤なのにヒット曲らしい曲も入ってないし、これはこれで10年かかって作った感じ。うん。
●始めた頃の意識と今の意識と音楽とECDの関係っていうのは変わりましたか?
ECD:今の方がピュアかも、もしかして。今の方がライヴ中心で、ミュージシャンって感じがするけど、やっぱりラッパー始めた時の頃はミュージシャンって感じはなかったもんね。今よりは若干やっぱり一山当ててやろう感もあったし、うん。
●あの頃時代も混沌としていましたしね。
ECD:そうそうそう。ヒップホップもどうなるか判らなかったし。ベスト盤が出るのと同時位に、ついこの間やったライヴを録音したやつをブートでCD-Rにして…お店でも売ろうと思っていて。そっちも選曲的には、自分で選んだものとはまた違うベストっていう感じになっています。面白いかな、と。
●今はECDってどうカテゴライズしていますか?
ECD:カテゴライズは、プレ・ヒップホップ…ポスト・ヒップホップじゃなくて、プレ・ヒップホップって感じかな。ちょうど…簡単に言っちゃうと、ニューウェイヴ後期からヒップホップに移る時の感じ。
●それはECDが当時の音楽に影響を受けたこともあるんですよね?
ECD:そうそうそう。受けていながら、当時は自分では何も形に出来てなかったっていうのもあるから余計やりたいな、っていうのもあって。直接ヒップホップの影響を受ける前の、でもそれに向おうとしている音楽。日本の音楽界での役割は、とりあえず問題提起するような感じの人なんじゃないかな。宇多丸とかもそう思ってるんじゃないかな? うん。
●常に問題提起してきましたもんね。
ECD:「さんぴんCamp」の頃からね。ターニング・ポイントはなんだかんだいって「さんぴんCamp」やったことが大きいかな。
'Light Up The Fire〜FB:着火のテーマ〜'
[東芝 EMI / TOCT-4449]
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