![]() Barry Brown |
Greetings Friends,
●ゆく年に別れを告げる様なエキサイティングなショウも無いままに2002年がのろのろと過ぎ去ってしまった。2年前に公開された『Third World Cop』をビデオで観たが、率直に言って当時騒がれた程のものでもなかった。香港のJohn Woo監督の名作の様な“流血ヒーローもの”的影響をまともに受けた筋書きも悪くないし、Paul Campbell、 Audrey Reid、Carl Bradshawの演じるキャラクターも尤もらしいのだが、ジャマイカにありがちな低予算Vシネマものと然程変わらない。 『Rockers』、『Countryman』、『The Lunatic』や『Dancehall Queen』の様な制作理念や本物らしさは一体どうなってしまったのか? 両島国からの才能やジャマイカの人々の協力が結集した『Third World Cop』は、本来ならばクラシックたるべき作品なのだ。しかし本作はそうではない。 ●以前このコラムで予言した様にBarry Brownはかなり破滅的状況にあるらしい。私の友人がMidlandsで行われた彼のギグで確認したことには、Mr. Brownは過去のヒット曲を歌うことはおろか、理解可能な文章を口にすることも出来なかった様だ。 ●世に驚きの種は尽きないものだ。現在のSoul Jazzとの関係が成功していることをClement "Coxsone" Doddが喜んでいるらしいが、加えてHeartbeatともそういう展開になりそうだ。彼らはMr.Doddを数分間以上もカメラの前に引き付けることに成功している。Soul Jazzからの最新作『The Studio One Story』はDVDとCDのダブル・セット。聞くところによると内容はDodd本人による伝説のアーティスト達の暴露話だったり、Studio OneやErnest Ranglin、Jackie Mittoo、 Marcia Griffiths、 Count Ossie、そして The Skatalites等の英雄達についての記録映像らしい。筆者は未見であるが、Soul Jazzの『Studio One Rockers』のぶ厚いブックレットよりは有益で知的なことを願う…分った、分った、認めよう、見たくてたまらない! ●有り難いことに昨年は例年に比べて死亡記事を目にすることが少なかったが、それでも全く惜しい人を失ってしまった。年の始めに他界した元AkabuとSistahのシンガー、Vyris Edgehillのことである。彼女がその作品の全てで渾身の力と信念を込めて歌っていたし、UKのフィーメール・レゲエ・ムーヴメントの真のインスピレーション源であり、原動力であったからだ。彼女を核とした先述の2つのバンドは、ジャマイカでもUKでも、どんな男性の競争相手にもたじろぐことは無かった。遥か昔、Akabuのライヴを初めて観た時はそのパワーに度胆を抜かされたものだ。彼女達は絶頂期のThe Wailersの様に音楽的にタイトでまとまっていながらも個性があり、タフな個性的な音源を制作していた。ミリタントな女性達が集結したSistahにしても同様だった。寛大で愛情のこもった彼女のスピリットがこれからも生き続け、バンドやその家族達の励みとなります様に。彼ら皆に愛を。 ●イギリス政府は目下、Birminghamで元日に起きた10代のアフロ・カリビアン系の少女2人が死亡した残忍な発砲事件を受けて、その様な傷害事件とラップ、ガラージの歌詞との関連性について論争の渦中にある。政府は非難の対象を探しているのだが、内務大臣は今後銃器の使用を煽動すると思われる楽曲を検閲する可能性さえほのめかしている。先週は槍玉にあげられたジャンルのアーティストやプロデューサー達がラジオに出演し、反対意見を述べている。Blak TwangがBBCラジオ4の早朝の看板ニュース番組『Today』に出演とは、全く誰も予想しなかっただろう。現在銃の不法所持に対しては最低5年の禁固刑とされている。しかしこの騒ぎに焚き付けられ、この問題の議論は続いていくはずだ。暴力的なラップが煽動的だと言うのなら、映画やコンピューター・ゲーム、それから本だってそうじゃないだろうか? それに、エア・ガンや銃器のレプリカだって本物の弾丸が入っているかどうかだけの違いじゃないか? また次回まで、そしてもっと活気のあるニュースをお伝えできることを願いつつ…Take care…。 (訳/Miyuki W. Myrthil) |
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