![]() Junior Reid |
Greetings Folks,
●ここイギリスも依然として西ヨーロッパ全域を被う不快な空に包まれており、深夜のパーティーの出足も停滞気味であるが、クリスマス前の静けさの中にも息づく浮き足立った気分だけは押さえきれないものである。 ●先月のこのコラムでも触れたとおり、かなりの期間に渡って自身のスタジオを持っていなかったRuff Cuttクルーであるが、ノース・ロンドンの一団を引き連れたギタリスト兼シンガーのTony 'Crucial' Phillipsはここ最近JetstarのCaveスタジオの専属プロデューサーの一人としてかつてないほど忙しい日々を送っている。最新のリリースにはBurning Spearの「Christopher Columbus」のリメイク・リズムに乗せたFreddie McGregor、 Marcia Griffiths、Lloyd Brown、そしてDonna Marieなどの作品が挙げられる。これらの作品やスタジオのもう一人の古株、Danny Rayよる新しいプロダクションは全てJetstarより発売中。 ●Brian & Tony Goldは今何をしているんだろうと思っていた人のために報告。1980年代後半にJammy'sそしてGussie Clarkeのスタジオで研鑽を積んだ奇跡のヴォーカル・デュオ(彼らのアルバムはMikey BennettのTwo Friendsレーベルからの1枚きり、それもUKでは未発表である)はBig Yard周辺、つまりShaggy一派のバックアップ・シンガーとして暗躍しているのである。不面目にも然るべき脚光を浴びて来ることのなかったGoldブラザーが既にその制作を終えた新アルバムから、7インチ盤カットされた「Irresistable」は、ShaggyとRik Rokがプロデュース、アルバムの中では断然コマーシャルな風合いを持つ曲であり、聴く者は何故今まで彼らがメジャーと契約することがなかったのかと首を傾げたくなるだろう。彼らほどのハーモニーを持つグループは当時どこにも存在しなかったし、ハーモナイズすることが再びファッショナブルとされるはるか前からこのスタイルを貫いてきた彼らの、その磨き抜かれた技術が少しも錆ついていないことはこの「Irresistable」が証言している。 ●ジャマイカ、マイアミ、そしてロンドンを股にかけて活躍中のCutty Ranks(特に最近ではロンドンを拠点にしているが)がMasterlockから最新プロダクションを意欲的にリリース、7インチ・シングルにビッグ・ネームを集結させ自身のレーベルのテコ入れを図っている。Cutty本人の他にはLukie D、Sizzla、そしてBounty Killer等の名前が候補に上がっている。 ●Blak Twangの「So Rotton」の成功、そしてThe Stanton Warriorsの「Blazing」(どちらもレゲエと言うよりはむしろアーバン・ヒットと呼ぶに相応しいが)での客演が好評だったJah Maliの株が急上昇中、既にR&Bやヒップホップ畑からカメオの客演に声がかかっているようだ。既存の音楽業界や殆どのジャマイカのプロデューサー達のビジネス慣習に飽き足らないこの進歩的な若者は、現在とてもユニークでオリジナルな音楽をレコーディング中。幸運を祈る! ●ここイギリスでStudio Oneの音源を再発するに当り、きちんとCoxsone Doddからの承認を取ったSoul Jazzには拍手を贈るが、そのリリースの包括範囲がやや狭かったのが悔やまれる。彼らのStudio Oneコレクションはどれもみな(CDもヴァイナルも)紛れもないクラシックスを収録していることは事実であるが、我々が長年の間待ち焦がれてきたレア盤や未発表曲などは一体どこに? 彼らの最新のリリース『Studio One Scorcher』などは初心者にはうってつけではあるが、筆者のような貪欲なStudio Oneファンにはちょっと物足りないのである。 ●新作『Rasta Government』をプロモート中ではあるものの、やはりBlack Uhuruや他のヒット曲を歌わざるを得ない目に遭っているJunior ReidのUK公演が11月に3度行われた。UKでの彼のライヴは本当に久しぶりであり、ステージ上の彼は昔ほどの元気は無かったにせよ(Lucianoのアクロバティックなパフォーマンスに食われてしまったのかもしれないが)彼の存在感は未だに見るものを圧倒する。 ●『Log On』で成功したElephant Manの最新アルバム『Higher Level』はGreensleevesから(ある種のレゲエ・チャートだけを見れば現在活動している唯一のレーベルがここだと思ってしまうだろう!)。MOBOアワードも受賞したし同レーベルで最も売れているアーティストであるにも関わらず、筆者には彼に対する巷の大騒ぎにはどうもピンとこないものがあるのだが、君はどう思う? ●アルバム『Half-Way Tree』でグラミーを受賞したDamian 'Junior Gong' MarleyがBounty Killerと組んだ「Educated Fools」のリミックスがダンスホールを賑わせている。Ghetto Youths Uniteクルー(基本的にはマーリー家の子孫で構成されているが)はシングル用に他のアーティストとのレコーディングも重ねているが、その中にはBuju Banton、Capleton、そしてDetermineが名を連ねている。KymaniとJulianも忘れないように! ●Joe Gibbs制作の「Someone Loves You Honey」で名を上げー財を成し(と言うべきかどうか)、Gussie Clarke、Tommy Boy、 RAS、その他のレーベルを転々としてきたJC Lodgeが復活! Londonで生まれ家族でJamaicaに移住した彼女であるが、子供向けテレビ放送により深く携わるために夫でありマネージャーのErrolと共にUKに引っ越している。大衆の目からは遠ざかっていたここ数年は多岐に渡る数々の作品でヴォーカル参加を重ね、本人はカントリー・ミュージックの大ファンではないものの、Jetstarのプロデューサー、Danny Rayの指揮下の下、Caveスタジオにて『Reggae Country』と名付けられたアルバムを制作した。率直な感想ではその成果は筆者自身の趣味ではないのだが、同レーベルの“ポップ・レゲエ”的なコンセプトが好きな向きには興味深いかもしれない。JCがまだまだ現役だと確認出来るだけでもいいのだ。 Till Next Time, Take Care....(訳/Miyuki W. Myrthil) |
![]() ![]() Lukie D |
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