ショーン・ポールをはじめ、外国進出を果たしたアーティストが多かった2002年。BETチャンネルにジャマイカ人アーティストが出るとなったら、ちょっと前ならニュース記事になったもんだが、今や毎日だもんね。BETヒット・チャート1位なんてたいしたもんだよ、ショーン・ポール。2002年のNew Craze Dancehall Man! 大物はますます大物に。でも、今年は新人の活躍が少なかった年じゃないかな。

パティの有名チェーン店テイスティが主催する「テイスティ・タレントコンテスト」をはじめ、レッドレーベル・ワインなど、ジャマイカのドリンク・メーカーやテレビ局がタレント・コンテストを開催し、テレビで放映したりするが、それによって大スターが出たのは昔の話。どうもこの手のタレントコンテストは、DJ登竜門というよりも、町内の人気者を仲間うちで応援して賞金を稼いで和気藹々、で終わりがち。

 レゲエ業界の伝統的な売り込み方法は、スタジオにたむろしてプロデューサーやレコード関係者、ダブプレートをとりに来るサウンド関係者に自分を直接プロモートする方法。しかし最近この手の手合いが減った、いや少なくともふえていないと思いません? スタジオ前でたむろするのは以前からの常連組がほとんど。ビッグ・アーティストがプライベート・スタジオで仕事をするようになり、スタジオ自体がプライベート化しているから、たむろする場も人も減ったのだろう。

 ビッグネームに人気が集中する傾向はサウンド・システムも同じで、地域に密着したサウンドが少なくなり、サウンドから出てくるアーティストも少なくなって久しい。名前のあるアーティストのレコードの方が断然売れるから、プロデューサーが新人を育てなくなる。最近は、ニュー・アーティストが出にくい土壌となって、新人の苦悩はつづく。それでも新人不況の土壌の中で出てくるアーティストは、ハイ・レベル、ハイアー・レベルのはずで、期待度高し。

 2002年後半は選挙で、エンターテイメントがダルかったのが、レゲエ界に際立った動きが少なかった一番の理由だろう。キングストンを中心とした犯罪の多発で、ジャマイカ人の夜遊びヴァイブスが下がっていたようだ。この記事を書く12月初期、Champagneと爆竹が風物のこれからが、エンターテイメント書き入れ時だ。同時に、新たな流行やニュー・アクトが発生しやすい時期で、アウトスタンディングなアーティストが出るか、アサシンやヴァイブス・カーテルなどニュー・アクトが伸びをみせるか、新年スプラッシュ・アウト! 2003年のFire Starterとなるのは誰だ。

●ニュー・スポット
 キングストンでクラブといえばアサイラム、5周年を迎えた現在も、毎夜超満員だ。選挙の時期さえ女のコの入りがよかったくらい。もうひとつ、夜遊びヴァイブスが下がった時期に、妙に人気の出たアップタウンのクラブがある。キングストンのリガニー地区、ショッピングエリアに今年新しくできたクラブで、早い時間帯でも飲みながら、食べながらおしゃべりができる、大人なスポット。人気サウンドが来る夜もあり。

Village Cafe…
Orchid Village Plaza 2F
20 Bargican Road, Kingston6
Tel 977-4745
5:00PMオープン