2003年1月号


Prince Malachi
Greetings Friends,
Jimmy CliffのMOBOアードで観せたライヴを観て余りにも興奮してしまい、紹介するのをすっかり忘れてしまったのだが、彼のニュー・アルバムのタイトルは『Fantastic Plastic People』とのこと。ところで、Jimmyがいかにメディアの寵児となったかを示す好例なのだが、先日彼は人気長寿TVゲーム・ショウ「Never Mind The Buzzcocks」に参加、ホストのMark Lamarrは彼を天からの使徒かの様に手厚くもてなしていた。

トロンボーン奏者/プロデューサーのHenry “Buttons”Tenyueと彼の友人、Sophiaが創設したEarshotは、故郷のEast SussexのHastingsにてマンスリー・イベントの開催に乗出した。初日の公演はMC President Sasの言葉を借りて言えば“レゲエ・スペクタキュラー”(豪華なレゲエ)だった。イングランド南部の片田舎でのギグとしては、相当の出来と言えるだろう。Vincent Napp、Winsten Francis、 Little Royの様なキャストに加え、いぶし銀のセレクター、Festus率いるCoxsone Outanationalがサウンド担当と来れば、これ以上の夜を求める輩など何処にいよう?

TVはあまり観ないのだが、UKの一般大衆は下らないドラマに釘付けのようだ。しかし日曜午後のティーン向け音楽雑誌番組「T4」に出演していたブリット・ヒップホッパーのBlak Twangと一緒に歌っていたアーティストについて意見しなければまずいだろう。そのアーティストとはJah Mali、名盤『El Shaddai』のハイライト曲、「Politics」のコーラスをチャントしていたのだ。『So Rotten』と題された彼の新作はWall Of Soundからリリース予定。

2年も前にPrince MalachiのXterminatorからのアルバム用の写真を送っていたのだが、今になってMalachiはもう彼らとは活動を共にしていないためその作品はお蔵入りになってしまった事に気付いた。筆者にとってはバッド・ニュース!であるが、彼の他に類を見ないルーツ・スタイルを愛好する輩にとっては嬉しいことに、新作『Running From Slavery』がロンドン北西部にあるレーベル、Stingrayから近々リリースだそう。Stingrayはここ10年の間に、ジャマイカ作品をライセンスするところから始まって、今ではUKとジャマイカ両国において、Freddie McGregor、Peter Hunnigale等の良質な作品を産み出すにまで成長した。またMalachiはLutonにある自宅スタジオで新人アーティスト達とのセッシンを重ねているが、その成果はジャマイカからのマテリアルのお株を奪うほどにタフで上々の仕上がり。

Levi Rootsは自身のSoundboxからリリース予定の新作の制作途中で1年間の休養を宣言した。現在4人編成のガール・バンド、Love Childのフロントを務め、メジャー・レーベルとの契約も秒読みと言われる愛娘Jo-Ann Ceezaのキャリアを開花させることに集中するためである。それでも彼はMafia & Fluxyと共に都合のつく時にレコーディングする等、自分の音源に取りかかる時間は設けている様だ。そのMafia & Fluxyも、Gregory IsaacsやSugara Minott等と共にレコード箱がはち切れそうなほど意欲的に新作を制作中。

読者の多くが既にMaximum PressureのXterminatorコレクション『Rough Inna Town』を買いに走ったと思うが、この原稿を読む頃には同レーベルからJammy'sの80年代の音源を集めた編集盤が発表されている頃だろう。収録アーティストとしてHorace Andy、Home T、Brian and Tony Gold、Frankie Paul、Wailing SoulsそしてAdmiral Bailey等の名前が挙がっている。

我が国が誇るホーム・グロウンR&Bスターでレゲエからの影響も顕著なMs Dynamiteは、デビュー・アルバム『A Little Deeper』からKymani MarleyやBarrington Levyをフィーチャーしたヒット曲で既に幾つもの賞を受賞している。このヤング・レディは意味深く思考を刺激するような歌詞とスタイル、情熱、そして機知を併せ持ち、その賞賛に十分に価する存在だ。UKの大衆層、とりわけ若者向けの飽和したマーケットを狙った大量生産のシロモノとは格が違う。Check Her Out! 彼女を見過ごしてはならない!

 Till Next Time...Take Care....(訳/Miyuki W. Myrthil)


Brian Tonygold