VIRCUOUS WOMAN / WARRIOR KING
[VP / VPCD1648]

あの「シュバ・シュバ〜」のフレーズで一躍大注目となったWarrior King。遂に1stアルバムをリリース。勿論その「Virtuous Woman」も収録。他にもYoung Bloodから出た「Breath Of Fresh Air」等のヒット曲に、シングルでは出ていないけど凄くイイ曲がいっぱい。ミドル・テンポのリメイクだけでなく、メロウでスロウなR&Bなオケで唄ったりと結構な聴き応え。独特なシング・ジェイがやけに耳に残る名盤です。[輸入盤](鎌田和美)

MEK IT BUN / HORACE ANDY
[BMG FRANCE / 74321942682]

名シンガー、ホレス・アンディ約3年振りの新作。クリアーなハイ・トーン・ヴォイスは相変らずで年令による衰えなどは微塵も感じさせない。ガンジャ・チューン、グレゴリー・アイザックスのカヴァー、「サタ・マサ・ガナ」のカヴァー等、聴きどころも多く、ベテランらしい安定した仕上り。スラ・ロビ、ルーツ・ラディックス等によるヒューマン・トラックは重厚で切れ味鋭く、ダブ的な味付けもいい感じ。[輸入盤](小池信一)

TOE 2 TOE VOL.VI / LUCIANO & BUSH MAN
[CHARM / JET STAR / CALP3073]

割と声質が似た感じのコンシャスなシンガー二人のカップリング・アルバム。USのBig Jeans、JAのStone Coldなどヴァラエティに富んだサウンド・プロダクツながら実によくまとまった快作。Luci-anoは「Dance This Ya Festival」や「To The Foundation」のリメイク、大ネタ使いでドラマティックに決める。Bush Manは王道モダン・ルーツなノリで渋く決めている。両者似ている様で実は個性的と再確認。[輸入盤](鎌田和美)

TWILIGHT CIRCUS DUB SOUND SYSTEM / THE ESSENTIAL COLLECTION
[M Record / CD 220]

本誌“Dub No Dead”でも取り上げられたオランダを代表するダブ・クリエイター、トワイライト・サーカスのニュー・アルバム。内容は1995年から2002年までに録音されたチューンのベスト盤。アナログ・エフェクターを駆使した独特のサウンドは正に皆が求める“ダブ!”といった感じ。全曲オーヴァーダビングで作り上げたヒューマン・トラックも聞きもの。リバーヴ感やディレイの飛びは最高![輸入盤](長井政一)

PLAYS MENTO / STANLEY BECKFORD
[BARCLAY / 589873-2]

ジャマイカン・ポピュラー・ミュージックの源流と言える“メント”のアルバム。現在ではジャマイカ本国に於てもメントを演奏するグループは数少なくホテル等の箱バンとして幾つかある程度。ギター、バンジョー、ルンバ・ボックス等のアコースティックな響きを持つ楽器によって紡ぎ出される清涼感溢れるサウンドは、極上のアイランド・ミュージックとして美しい輝きを放っている。ボブのカヴァーも有り![輸入盤](小池信一)

NATURES DUB / BULLWACKIES ALL STARS
[WACKIE'S / WACKIES 306]

またもワッキーズからのダブのリイシュー盤がドイツのベイシック・チャンネル経由で登場。ワッキーズにはまだまだ実にたくさんの作品が眠っていることであろう。本作は80年代初期のリリースだが、70年代特有の音質を思わせる。リアルタイムで聴けばどうだか分らないが、その時代遅れのサウンドが逆に今はまたかっこいいのだ。高域、低域とダブならではの冷や冷や感が楽しめる好盤。[輸入盤](長井政一)

STRICTRY THE BEST 29 / V.A.
[VP / VPCD-1659]

VPの超人気シリーズ。今年下半期のヒット曲集だけど、こうして見ると物凄いリット・リディムの連発。上半期より引きずっている物もあるけど、"Buy Out" "X-5" "Diwali" "Nine Night" "G-Strings" 等々、これでもかって感じ。曲で言えばElephant Man「Higher Level」やWayne Marshall「Party Time」を筆頭に間違い無しの内容。もちろんシンガー編の『30』も同時発売で内容も激ヤバ。絶対チェック![輸入盤](鎌田和美)

STUDIO ONE SCORCHER / V.A.
[SOUL JAZZ / SJR CD67]

『100% Dynamite』シリーズを経てスタジオ・ワンに辿り着いたソウル・ジャズ・レーベルも、これでスタワン関連は5作目。いよいよヤバくなってきた。今作はインスト曲に焦点を当てた内容だがこれが半端じゃない。セドリック・ブルックスからニュー・エスタブリッシュメント、果てはカール・ブライアン&アフロカッツまで過積載。キラー・ステッパー、リベレーション・グループの「Nami-bia」は必聴![輸入盤](武田洋)

BLUNTED IN BOMB SHELTER MIX / MADLIB
[ANTIDOTE / ANTCD102]

ロレゲエ・ファンには馴染みが薄い人物であろうMadlib(ヒップ・ホップ・グループ、ルートパックのトラック・メーカー。熱心なレゲエ・コレクターとしても有名)がミックスしたレゲエ・クラッシクスのオムニバス。音源は全てトロージャン所有のもので、名曲からかなりマニアックなチューンまで、センスの良いセレクションが楽しめる。唄モノ、DJ、ダブがバランス良く配置されているので聴きやすい。[輸入盤](小池信一)

ムード・フォー・ロッキングタイム/
ロッキングタイム
[トイズファクトリー/TFCC 89048]

3rdアルバム『Rocking Time』発売時の本誌インタビューでも予告していた冬用のミニ・アルバム。世間的にはロマンティックになりやすいこの季節らしくいつも以上に優しく胸キュン度の高いメロディと声を聞かせる「鮮やかな光」や「The Cristmas Song」といったずばりクリスマス・ソング(F.マクレガー参加ヴァージョンも有)などと季節限定っぽいが、好きな人といっしょに聴けば、心に残る一枚になるだろう。(大場俊明)

ファースト・タイム/アイ・コンティニュアリー
[アイ・コンティユアリー・サウンズ/001]

「ソウル・レベル2002」で予告もなく出演し、その爽やかなパフォーマンスでイベント後に問い合わせが多かったアイ・コンティニュアリー。ライヴではホーム・グロウンを従えての登場だったが、実はれっきとしたバンド。その爽やかな歌声とレゲエを消化した軽やかな演奏とが相まって、レゲエならではの普遍的なメッセージがすんなりと伝わってくる。まだ未整理の部分もあるのでフルアルバムに期待。(大場俊明)

フラッシング・エコー・イン・ダブ1970-80 / V.A.
[P-ヴァイン/PCD-816/7]

2枚組で全41曲。のっけからトロージャンらしいアーリー・レゲエの傑作が連発。アンディ・キャップ「Pop A Top」を“ダブ”と呼んでいいか分からないが、この曲をトップに制作年代順に聴いていくと、70年から80年までの10年間でダブのどの部分が進化したか、更にはずっと変わらないダブの本質までもが見えてくるかもしれない。隙間的存在のダブも多く収録。聴きどころだらけのフルヴォリュームなコンピ盤。(武田洋)

フー・ニーズ・ラヴ/インコグニート
[ポニーキャニオン/PCCY-01624]

古巣トーキン・ラウドを離れての再出発作。タイトル曲から聞こえてくるのはブラジルの重鎮エヂ・モッタによる摩訶不思議ヴォイス。別曲にはポール・ウェラーのクレジットもみえる。女性ヴォーカルに乗せて、ジャズ、ファンク、ハウス、ブラジリアンといった異なるジャンルを手際よく束ねていくプロセスは、単なる音楽のリサイクルにあらず。完璧なるクリエイター、ブルーイの目は常に“前”を向いているのだ。(石澤伸行)

レット・イット・レイン/トレイシー・チャップマン
[イーストウェスト/AMCY-10056]

2年ぶりの6作目。ジョン・パリッシュとの共同プロデュースにより織り成される世界観は至ってドライかつシンプル。これといったゲストを招くこともせず、自らの爪弾きだけを頼りに朗々と綴るかのような穏やかな音像の数々は、けたたましいビート・ミュージックが闊歩する現行シーンにおいてなお、くっきりとした輪郭を伴って輝く。等身大な表現だからこそのリリックの説得力も「Fast Car」の頃そのままだ。(石澤伸行)

3D/TLC
BMGBVCA-21130]

「Quickie」ではダラス・オースティンの高速ビート技が炸裂し、「Turntable」ではロドニー・ジャキンスが柄にもなくアコギ主体の爽やか路線で臨む。その他ネプチューンズやティンバランド、ベイビーフェイスらシーンの主役たちがそれぞれのやり方でイノヴェイティヴな姿勢を提示する様は感動的ですらある。でも特筆すべきはここにある3人の声が「立って」いること。これは正真正銘3人によるアルバムだ。(石澤伸行)

エモーショナル/K-Ci &ジョジョ
[ユニバーサル/UICC-1070]

2年ぶりの4作目。何といっても強力なのは先行シングルの「It's Me」。ロドニー・ジャーキンスが提供した粘度の高いファンキー・トラック上で好き勝手に暴れまくるふたりには手のつけようもない。しかしながら、他においては美しきお約束路線を踏襲。ベイビーフェイスらによる哀感ミッドや劇的スロウが並ぶが、時にマイルドにそして時に湯気が立つほどの熱唱を披露する様には、期待通りのテンションと濃度が。(石澤伸行)

デクステリティ/ジュリー・デクスター
[Pヴァイン/PCD-23300]

根っこにあるのはUKソウルか。それが、ジャズ、レゲエ、ブレイク・ビーツあたりの栄養分をたっぷりと吸って、オーガニック・ソウルというお天道様の下で綺麗に花開いた、とでも言おうか。彼女の涼やかなヴォーカルは様々な意匠のサウンドの波間を気持ち良さそうに泳ぐかのようであり、その清新な振る舞いは聴いているこちらの耳と心をも豊かに満たしてくれる。ファータイル・グラウンドとの共演も大納得。(石澤伸行)

チャプター2:ザ・ヴォイス/セリーナ・ジョンソン
[ゾンバ/ZJCI-10107]

シカゴ出身の女性シンガーの2作目。父親はシル・ジョンソン。ジャズやゴスペルは大学での学びの中で会得したようだが、そのヴォーカルの響きは時にナスティな魅力も含んでいる。バスタ「Put Your Hands〜」をサンプル、本人までをも招いて縦横無尽に駆け巡る先行シングルも良いが、前作に引き続いての参加となった同郷のR.ケリー、ハイ・テックやカルヴィン・ハギンスらによる音仕事も充実の注目作だ。(石澤伸行)

ア・ラヴ・ストーリー/ヴィヴィアン・グリーン
[ソニー/SICP-279]

隆盛極めるフィラデルフィア・シーンからまたもや新人女性シンガーがデビュー。ジル・スコットやマクスウェルらとも共演済みの彼女は、本作ですべての曲のソングライトを担当。用意されたサウンドはビートの鳴りもクリスピーなアップから、生一本なジャズ・チューンまでと様々だが、そのヴォーカルはジェイムズ・ポイザーやラリー・ゴールドらネオ・フィリーの雄による豊かな音世界の中で可憐に舞うかのよう。(石澤伸行)

サンタ・フックト・ミー・アップ/B2K
[エピック/EICP-152]

デビュー作『B2K』の成功を受けて早くもリリースされるクリスマス・アルバム。アイドル然りとしたルックスからは想像できないほどの本格派ぶりを見せつけていた彼らだが、本作では定番の聖夜歌をストリートっぽく解釈して、少年らしいハジケっぶりも披露。かと思えばオリジナルのスロウ曲では兄弟グループIMXと共にしめやかにキメてみせたりと、今にも黄色い歓声が聞こえてきそうな場面のテンコ盛りだ。(石澤伸行)

エネミー・オブ・ザ・エネミー /エイジアン・ダブ・ファウンデーション
[東芝EMIVJCP-68462]

DJとしても正にベテランと呼ぶに相応しい内海イズルが遂にファースト・アルバムを完成させた。本作の為に制作された5曲と彼がこれまでに手掛けた3曲のリミックスを収録。ジャズやブラジルにワールド・ミュージック、そしてテクノから音響と様々な音楽の要素がセンス良くブレンドされたタイトで現代的なプログレッシヴ・ミュージックとなった。なかでもアンビエンス・タッチの楽曲が秀逸の出来映え。(高橋晋一郎)

ボーズ・オブ・カナダ/トゥーイズム
[ビートインク/BRC-65]

元Cokeberryのヴォーカル他を担当するMimaとインストゥルメンタルを担当する森本直樹によるユニット、ドレイコのファースト・アルバムが届いた。既に英米でも評価を得ている彼らだが、日本でもやっとこれで正式に作品が聴けることになった。楽曲の良さもさることながら、音の隙間をうまく聴かせる独特の間の作り方は、Mimaの唄をより引き立てているようだ。タイトル曲には柏原譲とHakase-Sunも参加。(大場俊明)

フロム・ザ・バンカー/アンドリュー・ウェザオール
[ビートインク/BRC-66]

セイバーズ・オブ・パラダイスやトゥー・ロン・スォーズメンといった人気プロジェクトのみならず、先日の来日時のDJプレイでもそのスキルの高さを見せつけたアーティストにしてプロデューサーのアンドリュー・ウェザオールがミックスCDをドロップ。使用された音源は彼自身が主宰するレーベル、ロッターズ・ゴルフ・クラブのものでレディオアクティヴ・マンら17曲をタイトにミックス。12月の来日も期待が募る。(高橋晋一郎)

ブレス・オブ・チェイン/V.A.
[オーディオ・スートラ/ ASR002CD]

いよいよ本腰を入れた活動を始めたレーベル、オーディオ・スートラが初のコンピ盤をリリース。コンパイラーはDJダブサップ。収録されたのは同レーベルを代表するユニット、フリーマンのライヴ音源を始めネクサスにソフト、キー・オブ・ナリッジといった新進気鋭のアーティストに加え、ニューカマーの作品までをフォロウ。じわじわと何かが始まっていくような覚醒を予感させるテンションの楽曲が並んでいる。(高橋晋一郎)