2002年11月号


Tippa Irie

Greetings Friends,
 休暇で1ヵ月程イギリスを離れていたのだが、留守中に是非観ておきたかったようなエキサイティングなショーは少なかったようだ。

3日間開催予定だった「ジャマイカ独立40周年記念イベント」が2日間に縮小され、特に2日目は、ほぼ全日カットされてしまったらしい。イベント自体はそれなりの成功を収めたらしいが、3日間通しチケットの購入者は払い戻しのために長蛇の列に並ぶハメになっただろう。

ロンドンで開催予定だった一大イベント「Essential Festival」は、ブリストルで今年行った同名イベントが大赤字だったのと、Hackneyカウンシルの猛反対によって中止に追い込まれた。拡大の一途を辿りつつあったこのイベントの運営が難しかったらしいので、この中止決定にはそれほど驚きもしなかった。複雑に配置されたテントやフェンスの中に、できるだけ多くの観客を押し込もうとする運営側の姿勢や、厳重過ぎる警備体制による不快感と同じくらいのレベルに高騰した入場料など不安材料は多々あった。そろそろこのイベントもアブナイと思っていた矢先の出来事だった。

作家、歴史研究家、そしてDJでもあるPenny Reelが最近また皿回しを始めた。彼は決して膨大な知識の上にあぐらをかこうとはしない、真の素晴らしいレゲエDJのひとりだ。彼とDJパートナーのDave Cozmic(オーセンテイック・スカ・バンドのThe Cozmicsとトランス&ダブ系のZion Trainでトランペット奏者だった)は、東ロンドンから東欧まで(特にオランダで人気があるらしい)幅広く活躍するDJとして名を馳せている。そして稀に彼ら所有のレアな7インチをプレイすることがある。Glastonburyでのプレイの後、Penny Reelはジャマイカ独立40周年を彼らしい選曲で東ロンドンにある彼の家の近くのクラブで祝ったのだった。方やDave Cozmicの方は先月、Brockwell Parkで行われた「One Love One Style」という小規模なフェスティバルでDelgado、Tippa Irie、Johnny Clarke、Michael ProphetやMacka Bらと共にLove Grocerというダブ・バンドのメンバーとして出演した。

エリザベス女王の誕生日に、現在人気を博しているBarry Brownがロンドンで一度だけのショーを行ったらしい。どんなステージだったか非常に興味部深い。次のレポートまでには調べておきたいと思っている。彼は10年ほど前には僕の家のすぐ近くに住んでいたこともあったらしい。

10年ほど前に意外と人気があった『Play Studio One Hits』をプロデュースしたSteely & Clevieが、Joe Gibbs作品をリメイクした『Old To the New』を手掛けたが、この作品は既に聴いただろうか? この作品はVPのA&R、Murray Elias(以前はProfileで働いていた)の忍耐がなければ実現しなかっただろう。このアルバムの素晴らしいところはJ.C. Lodge、Culture、The Mighty Diamonds、Beres Hammond、Luciano、Freddie McGregorらのレゲエ・グレイツ達が参加し、Dennis Brownのヒットを熱唱していることだ。まだこのアルバムを“愛聴”するには至っていないが、Studio Oneのレコードのように聴けば聴くほど惹かれていくような魅力を持った一枚だと思う。

今年の初頭にリリース予定だったLevi Rootsの娘であるJo-Anne Ceezaのデビュー7インチは、(Leviの息子が現在住んでいる)アメリカから彼女をデビューさせるという“戦略上”の理由からやっと発売が決定した。彼女のファースト・シングルはこの状況を反映したのか「Been So Long」(長い間待たせてしまいました)というタイトルがつけられている。あえて競争の激しいR&Bやヒップホップ市場を外し、ダンスホール・リスナーをターゲットにしたこのシングルはLeviの“Serpent Killer”リディムを使っている。このリディムはJunior Reidの最新7インチ「Buzzrock Worrior」にも使われており、彼女の曲のラジオ・プレイに拍車をかけることになるだろう。
 Till Next Time, Take Care..... (訳/大塚正昭)


(The Original) Culture