![]() Brushy One-String |
Greetings Friends,
●夏真っ盛りの今、私はフランス北西部でこのコラムを書いている。ちゃんとした休暇はずいぶん久しぶりなのだが、これは自分の人生の新しいステージの幕開けでもある。何ヶ月もの間、自分には到底払えないような値段の家を物色していたのだが、イギリスでは今や50年、100年もののローンなんてごく普通のことらしい。ようやく見つかったのはサウス・ブリタニーの大きな家は、かなりの手直しが必要となる。今後はフランスとイギリスを行き来することになるだろう。フランス、とりわけパリにはカラーでつやつやした紙質のレゲエ雑誌が4誌あるが、レゲエ以外だけでなくどの音楽も注目度は高いようだ。筆者のもうひとつの音楽的情熱であるジャズもまた人気沸騰中だ。 ●ジャマイカ独立40周年を記念した、3日間に渡る大イベントを見逃すことになるというのが、今回の休暇のまず最初のツケ。しかし何というラインアップ! 大の大人を男泣きさせるほどに豪華なのだ。Phyllis Dillon、 Derrick Morgan、Gaylads、 Dennis Alcapone、 Lorna Bennett、Ken Boothe、 Bob Andy、 Big Youth、 Freddie McGregor、 Bushman、 Sugar Minott、 Frankie Paul、 Mighty Diamonds、 Wayne Wonder、 Assassin、 Nadine Sutherland、 Frisco Kid、 Tony Curtis、 Admiral Bailey、そしてCobra。そして驚くべき特別出演(思い浮かべただけでも涙目になってしまうのだが)鶏小屋で生活しているのを目撃されたのが最後だというのがもっぱらの噂の、スカ、ロック・ステディ往年のスター、Eric 'Monty' Morris! ●BBCラジオ2で6回に渡って放送されたジャマイカン・ミュージックの変遷を追った特集が大成功に終わり、ホスト役として登場したAswadの元フロントマン、Brinsley Fordeは次にBBCのデジタル・ラジオ・ステーションであるBB6 Musicにてレゲエ・シリーズの司会を務めている。同社の主なラジオ・ネットワークの他にもインターネットで聴取可能だそうだ。毎週BrinsleyがクラシックLPをフィーチャーし(Jimmy Cliff、 Peter ToshとThe Diamondsがこれまで取り上げられた)、またRas-ItesやQueen Omegaなどのニュー・アクトを紹介する。内部事情に詳しい人間の視点で作られた有益な番組なので、是非チェックを。 ●デジタル・ラジオの話題といえば、デジタル・ネットワークにあまりにも沢山のサーヴィスを詰め込み過ぎだとして、BBCに非難の声が上がっている。新サーヴィスを紹介している主要局における電子情報処理能力のビット数の低下がその苦情の主なものであるが、新しいデジタル・ラジオの反応が、ゆくゆくは政府が廃止しようと目論んでいる旧式のアナログ・サーヴィスよりも芳しくないというのが実情であろう。そんな見込みなんてあるものか! ●90年代初期にProfessor Larry Silveraがジャマイカへ戻ってしまって以来、イギリスにはエキセントリックな個性を放つベース・プレイヤーが不在だったが、筆者は遂に発見した。その名をDub Judah、かつてのパートナーScratchyと共にダブやプロデュース業をしていた彼は、ここ数年The Twinkle Brothersのベースマンであったが、そのうちスタイルや存在感を身につけ今やTwinkle'sのフロントマン、目立ちたがりのNorman Grant並みの注目度を誇る。Judahの新しいソロ・アルバム『Too Much Innocent Blood』はルーツに根差した自身の音楽性を反映する18曲が収められている。彼の激しいライヴ・パフォーマンスとの比較は避けられないものの、充分に価値のある作品集だ。詳細はwww.dubjockey.co.ukをチェック。 ●Intensifiedはここ最近フランスで精力的にライヴ・パフォーマンスを行っているが、彼らのそのような姿勢は現在のヨーロッパにおける本物志向のスカ、ロック・ステディの継承者達のひとつの指標となって行くことだろう。長年のドラマー、Terryを失ったことによって彼らは一時的に活動を休止することを余儀無くされたが、新メンバーのBruce Allenがどっかりと腰を据えて参加したことでようやく活動再開、似た方向性を持ち何かと比較されてきたHepcatsやDr Ring DingのAll Starsもなき今、競争も僅か。 ●Trojanの3枚入りCDのボックス・セットのどれかを買おうとしているのなら、迷わず『Revive Box Set』を選ぶことをお勧めする。キラー・チューンと60年代後期のレア曲が満載のこのセットは文句なしのマスト・アイテム。彼らがあれだけのヴィンテージ・チューン全ての販売権を所有していることが信じられないほどである。売り切れてしまう前に入手しよう。 ●Brushy One String(やはりRoof Internationalからのダンスホール・クラシック「Chicken In The Corn」、そして故Freddie McKayの息子として最も記憶されているだろう)がUKに長期滞在中。ここで新作を完成し、うまく行けばライヴ・パフォーマンスも期待したいところだ。日本のParcoから90年半ばに出たアルバム『Question Sign : Do You Really Want Me?』は他の地域では未発表のはずなので(誰か余分に持っていたら是非譲って欲しい!)、BrushyはUKでは殆ど知られていない存在なのである。彼についての情報はまたすぐに。 ●Virgin Frontlineからのリイシュー企画が遂に終了したが、君が初期のシリーズからの好盤を既に入手済みと仮定した上で、Diamondsの『Deeper Roots:Back To The Channel』、それからThe Gladiatorsの『Proverbial Reggae』は何としてでも手に入れるように。生命力が満ちあふれたこの両盤、レゲエ愛好家を名乗るなら必携である。 Till Next Time, Take Care....(訳/Miyuki W. Myrthil) |
![]() ![]() Dub Judah |
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