![]() そしてこのアルバムを確かなものにしたもう一つの才能、それが井出によってチョイスされた世界中のミュージシャンだ。プロデューサーのオスランデに始まり、テン・シティーのメンバーだったバイロン・スティンギリ、パトリック・フォッジがディレクションを取るグループ、ダ・ラータのヴォーカリスト、リリアナ・チャチェン。更にU-ロイやケン・ブースといったレゲエ・サイドへもアプローチ。ファラオ・サンダースやロニー・リストン・スミスといた大御所ジャズ・プレイヤーが参加しているかと思えば、DJスピナや彼のプロデュースにより作品を発表しているラッパー、アニまでまさに多彩なゲストが顔を揃え、それぞれの持ち味を充分に生かしたパフォーマンスを魅せているのだ。 アルバム全体を彩るカラーの中心はジョー・クラウセルらに代表されるスピリチュアルなムードを持ったハウスだが、前述したファラオ・サンダースにロニー・リストン・スミス、DJスピナらがフィーチャーされたモーダルなジャズ・ブレイクを挟みながらリスナーを飽きさせることのない緩急をつけた展開をみせる。勿論、スピリチュアルなハウスとは言えど、彼らが挑んだそのヴァリエイションの多さは逞しい限り。そして今回はビル・ウィザースの「Ain't No Sunshine」とロース・ロイスの「Wishing On A Star」といった2曲のクラッシクをカヴァー・ナンバーとして取り上げており(「Ain't No...」は井出にとっては2度目)、これがまたアルバムのアクセントを作るのに一役かっている。このあたりの構成や選曲に長年シーンの前線で活躍してきた井出ならではのプロデュース手腕が感じられる。 しかしながらこの作品の最もリプリゼントすべきところは、単純に音楽として完成度が高いということに尽きる。純粋にグッド・ミュージックを追求した結果の到達点。それらを支えた何人もの類い希なる才能。いくつもの融合すべき創造性が重なり合って完成したエターナルな一枚となった。 |