NYは独立記念日のセレブレイションなど、テロのターゲットになる催しが多かったのですが、幸いか、報道規制でこれといった騒ぎは無かったです。LAXでのシュート・アウトは疑問が多いし、アメリカならでのパラノイアか、でっち上げという噂も流れています?

●今月のレコード・ディール
 もうモノポリーの道をまっしぐらのデフ・ジャムが、ゴースト・フェイス・キラーを獲得した模様。本人のレーベル契約ということで、なんとスタークス・エンターテイメントなる会社で、デフ・ジャム配給となるらしい。第1弾は、既に制作中の本人のアルバムになる模様。他の契約アーティストは、ウータンというよりも、GFK周辺のアーティストになる模様で、それらのラッパーをフィーチャーしたコンピレイションがフォローするという形になるという話。レイザー・シャープも確か、GFKのレーベルだった気がするのですが、ウータンの不仲説も流れ、リアル・ヒップホップ、どうなる?

●今月のビーフ
 本人によると、ジェイZに気を使って、本来スケジュールされていたラジオ局、ホット97の毎年恒例のコンサート、「サマージャム」からのライン・アップから土壇場で外されたナズが、怒りをぶちまけている。同じくホット97のパーソナリティ、ステフ・ラヴの番組でのインタヴューで、この内情が一般にばらされたが、半分脅迫も入り、このインタヴューがその問題の局で行われたという異常な事態となった。内容は、同局のバトル番組で、ジェイ相手に勝利を収めたナズが、フレックス、クルーなどが、散々拝み倒して番組に出演してやったのに、結局ジェイに政治的に気を使い、ナズを外したというのが概要。脅迫は、それをファンに説明するために、他局の毒舌番組に出演するというナズ側のコメントがそれ。フレックス、クルーへの不満、彼らは、もはやストリートに根ざした音楽をかけていないというコメントは、グラス・ルーツを代弁していて、痛快だった。
 そのナズ、今後、ホット97には協力をしないと言っているが、どうやらマーダー・インクとサインするという噂も出ている。ジェイとの関係も強いマーダー・インク行きは信じ難いが、ソニーがブラック・アーティストを冷遇してきたという、マイケル・ジャクソン、アル・シャープトン、ジョニー・コクランらによるボイコット運動が、タイムリーに始まっている。尚、マーダー・インクには、ナズがゴミと呼んだアルバムを出したキャムロンがいる?
 

●今月のベテラン
 なんとドッグ・パウンドとサインしたという噂が流れていたスペシャル・エドが、自身のレーベルからアルバムを9月にドロップする。タイトルは、『Still Got It Made』で、ドッグ・パウンドも全くの無関係ではなく、スヌープ・プロデュースのオール・スター・アルバムで、「Don't Make A Wrong Move」という曲で、スヌープに客演している模様?

●今月のビーフ2
 実は、先月からはじまっていたのだが、そのバカさ加減に信じられなく、裏をとってなかったんだけど、今回、KRSが反撃を始めた。ナイキや、スプライトのCMに出演したKRS-1を偽善者とネリーが各ヒップホップ雑誌のインタヴューでコメントした事に、KRSは「歴史と事実を知らないバカが、誰を偽善者と呼べよう」と7/8、多くのインターネットを通じて声明。中でも事実、チャックDとハンク・ショックリーがナイキのCMを監督したこと=革命、歴史・KRSが「クリミナル・マインデッド」で、「俺はナイキを履いている」というリリックスを書いている、という下りは最高だった。本当に、ネリーの無知振りなだけで、どうしようもない話でした?

沼田 充司
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DJ/プロデューサー。
レーベル<ブダフェスト>主宰。
雑誌『ブラスト』でも執筆中。
ニューヨーク在住。
(Photo by Tiger)