富士山の麓から上質なスカを発信し続けてきたザ・サイドバーンズが、プロデューサーにミュート・ビートやケムリで活躍した増井朗人を迎えサード・アルバム『Tuff Road』をリリース。力みが抜け自由度が増した本作、さっそく増井朗人を交え彼らにインタビュー。 |
![]() 稲垣(以下I):ずっとパンク・バンドやってたんですけど、地元の飲み屋のマスターがツバキハウスの時代の人だったんで、店でスペシャルズとかかけてて。その時代とスカタライツの来日が丁度重なって。モヒカンで観に行って(笑)。で、そのマスターとこんなのやろうよって遊びで始めて。 ●パンクとスカの共通項って何だと思いますか? I:最初は単に遅えって思ったんだけど、好きになってからはパンクのラジカルなワー!っていう勢いと重なってると思った。あとルードボーイが普段の生活はつまんないんだけど、音楽を楽しんでるよ、っていうとことか。テンポは違うけど、同じくらいのスピード感はあると思う。 ●増井朗人さんとサイドバーンズの出会いは? 増井(以下M):僕はケムリでトースターズといっしょにアメリカ・ツアーしてたんですね。彼らのムーン・レコードで日本人のスカ・バンドを集めたのがあったんですよ。それ聴いたら「これは面白い事をやってるバンドだな」って気にしてたんですね。で、ある時、ケムリでオーセンティックなバンドだけを対バンにしてやった時があって、それなら!って僕が彼らに直接お願いして名古屋へ来てもらったんですよ。 ●そうした出会いがあって今回、増井さんにプロデュースを任せた理由は? I:実は最初のシングルのインスピレーションがミュート・ビートだったってのもあって。スカは好きだけど、もっとおかしいのとかにも魅かれるじゃないですか? でも僕らアカデミックに音楽を勉強した訳じゃないんで、なかなか具現化出来ないジレンマもあって。そういう部分で増井さんに力を借りたかったってのはあります。で、増井さんと会って話をしたら「スカの枠だけじゃなくて、もっと面白いことやろうよ」って言ってくれて。 ●確かに前作までは好きだからこそこうあらねばならぬ、って感じがあったけど、新作はそうしたものから解放された気がしますね。実際、音の表情も変ったし、一体感も断然違うし。 I:その通り(笑)! M:魔法をかけたからね(笑)。でもね、スカってチータッチーってドラムがやって、ベースが4つで刻んで、ギターが裏に入ればスカになるって訳じゃないよね。ゆっくりなんだけどスピード感を出すためにギターをちょっと突っ込ませるとか、レゲエの曲だったらハットをガシって踏んでみるだとか、チップで叩いてみるだとか…なるべく気持ちいいグルーヴが出るようにって。 I:前は限られた予算と時間で作りなさい的な雰囲気で作ったんですけど、今回はまあいいっすよ…みたいな、じゃあお言葉に甘えて…みたいな(笑)。それは僕的には良かったし。 M:実際、時間的にガーって詰めて出来なかったしね。予算詰めるために差し物とか被せ物とかは家で録ったり(笑)。逆に納得の行くものが録れたし、客観的に聴いて「これはいいソロだ」って思われるものを残してあげたいじゃないですか。 ●アルバム全体のテーマを設定して作ったの? I:トランス・ミュージックには全く興味がないんだけど、一昨年位からレイヴに行くようになって。やっぱ山の中で聴くのって気持ちいいなぁって。そういうナチュラルな部分を曲の中に盛り込みたかったってのはありますね。あと、静岡の海、山の環境を表したかったってのもあるし。曲順に関してもAMサイド、PMサイドと分けてあるんですよ。ま、日の出から真昼になって、夕暮れから深夜になるっていう…。 M:そうだったんだあ(笑)! なるほどね…。 ●アコースティックな旋律が美しい「Blue Boy Chant」は増井さんにトロンボーンを譲ってますね。 I:単純に増井さんのトロンボーンが聴きたかったから(笑)。あと増井さんのプランがあって、それをちょっとだけ取り入れてあげたかな(笑)。 ●リズム・チェンジが大胆な「4-4-1」、フレーズの雰囲気など、増井さんの色を意識したんですか? I:モロだね(笑)。 M:(笑)…これ、僕はタッチしてないですよ。作った人が知らず知らずのうちにミュート・ビートのイメージがあったんじゃないですかね。でもどの曲もアレンジは細かい修正だけで、あとはお任せだし。 ●最後にこれだけは言いたい事って。 I:売りたいですね。っていうか、こういう音楽が好きなら聴いてもらいたいですね。MDでコピーしてでもいいんで(笑)。それか中古屋の奴でもいいんで(笑)。 M:そんなこと言っちゃダメだって(笑)! ぜひ新品でお願いします(笑)。 |
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