シングル、コンピレーション盤への参加、他アーティスト名義作品へのフィーチャリング、そして現場などで相変わらず巧みな話芸をブチカマシ続けるレゲエ伝道師=ブギー・マンが、久々にまとまった形で作品をリリース。タイトルはズバリ『ミュージカル・ディーラー』。久しぶりに会ったブギー・マンに、このミニ・アルバムについて話しを聞いた。
●まず今回の作品は全てジャマイカのトラック・メイカーによるものだけど?
Boogie Man(以下B): 録音は全部ミュージック・ワークスかな。やっぱりジャマイカは仕事が早いというのもあるし、こっちが求めてる音とか、こう一瞬のホンマに微妙なとこやねんけど、口で言わんでも分かるというか。

●シングル既発曲でアルバムを出したということについては、やはり現在のブギー・マン自身のスタンスみたいなのを意識して?
B:その辺は逆に意識して、というかCDやからとかメジャーやからとかそういうのをはもう抜きにして、いわゆる一般の普段7インチを買わへんリスナーやレゲエ・ファンにそういう(ダンスの現場の)色とか匂いみたいなんを伝えたかったというのはある。

●録り直しとかはしてるよね?
B:そうやね。歌い直したものもあるし、ミックスをし直した曲もあるし。さっき言ったように現場での勢いみたいな部分も重要やけど、アルバムとかCDではキチンと聴かすということも必要やからね。

●例えば「Musical Dealer」は'00年にリリースされた曲だけど、ダブプレートではそれよりかなり前からプレイされてた曲だよね?
B:そうやな、これと「Step Up〜ゆらりゆられて」もかな? リズムも求めてるのがやっとあったっていう感じかな。

●ミンミとの「I Don't Wanna Be Your Friend」の歌詞は2人で共同で仕上げたの?
B:こっちで俺が殆ど書き上げたものがあって、で、向こうでミンミの歌を入れようってなって、彼女のパートは自分で書いてもらった。このリズムはスライ&レンキーやったかな? リズムの仕上げはレンキーの家兼スタジオみたいな所でやったな。

●他の曲についてもブギー・マン自身からのコメントが欲しいんだけど。
B:「Intro (Equal Right Ver.2002)」で "Diwili" のクラップだけ使ったのはジュニアのアイデアで、俺は何が来るのか全然知らんかって。「Equal Rights」のPt.2を作ろうということで、イントロっぽくできるだけ短く自分の言いたいことを、っていう挑戦みたいなのもあった。「Buss Wi Buss」は(シルヴァー・キングとヴェイダーと)3人のタイミングがジャマイカで合うて、細かい部分も含めて皆で作りあげた曲。「音の鳴る方」はマイティ・ジャム・ロックのテープに収録する用にリズムを貰ってて。最初は短い曲の予定やったけど、どうせやったらというので(MJRの)キャラがジャマイカに来た時にスタジオでレコーディングした。

●アルバム全体を通して一番伝えたいことは?
B:“ミュージカル・ディーラーとしての自分”、と言うか“いちミュージカル・ディーラーとしての自分”と言うか、まあ色々なテーマの曲があるし、あんまし普段自分が言わへん(歌えへん)「Buss Wi Buss」みたいなんもあるし。

●現在の日本のレゲエ・シーンで、ブギー・マン自身はどんな位置にいると思う? リーダー的な存在、と意識したり気負う部分はある?
B:いや、無いな、それは。ていうかまだ(日本の)ダンスホールなんてメッチャデカいとこちゃうやん。でもその中でやってる限りノンビリ気を許したら置いていかれる。そういう世界やし…。新しい曲やサウンドとかも聴いて自分の中で新しい言葉/リリックもいつも作っていってるし、只それを続けてる。好きで続けてるだけであって、どの場におるとかそういうのは自分でも判ってないし…。色々な人が一緒になって回してる、レゲエなんてそんなもんやし、その中の一人として自分がおる、それだけのことやし。

●今日はどうもありがとう。

 このインタビューは引っ越したばかりのカエルスタジオで行われた。このスタジオから生まれる今後の作品にこれからも期待したい。アサオ君ありがとう。