レゲエ・ディスコ・ロッカーズのファースト・アルバム『Oasis』がリミックス・アルバムとして装いも新たにリリースされる。レゲエ・ディスコ・ロッカーズといえば、高宮紀徹に奥山みなこ、西内徹と太田靖雄で構成される国内屈指のロック・ステディ・バンドとして知られている。『Oasis』は結成から7年をかけて発表した彼らの活動のまさに集大成を記録したアルバムであり、シーンには大いなる歓迎を持って受けいられたことは『Riddim』読者なら常識だろう。さて、そんなアルバムのリコンストラクションと聞けば面白くないわけがない。既にリリースされていながらも現在では入手困難になっている音源から、本邦初登場のリミックス、さらに新曲としてトッド・ラングレンの名曲「I
Saw The Light」のメランコリックなロック・ステディ・カヴァーを収録し選曲にも抜け目無いのだ。 リミキサーとして参加したアーティストは小西康陽に砂原良徳、朝本浩文、内海イズル、DJ Nori & Su-Paka-Pooh、今井了介、Little Big Bee、山田マン(ラッパ我リヤ)、Banana-K & Takashi Asa、高宮永徹、Jazztronikといった面々。各アーティストのカラーが生きた仕上がりにレゲエ・ディスコ・ロッカーズのファンは新たな魅力を発見できるだろうし、このアルバムからレゲエ・ディスコ・ロッカーズの世界に足を踏み入れたリスナーは『Oasis』についても聴いてみたいという興味に駆られるだろう。小西康陽がラヴァーズ・テイストにカヴァーされたバート・バカラックのクラシック「A House Is Not A Home」を軽快なボッサ・ビートに仕上げれば、朝本浩文は氏の十八番ともいえるドラムンベース・リミックスを披露。またかつてのレゲエ・ディスコ・ロッカーズのメンバーであるMCファーザー・ギンをフィチャーしたラッパ我リヤの山田マンが本アルバム中最もヒート・アップしたパフォーマンスを見せれば、Jazztronikの野崎良太はウエスト・ロンドン・チームも真っ青のブロークン・ビーツ・スタイルでエキセントリックなセンスを覗かせる。さらにレーベル・オーナーでもある高宮永徹はソロと彼の別プロジェクトであるLittle Big Bee名義で参戦。と、そんなカラフルな本作の中でも砂原良徳によるタイトル曲「Oasis」のリミックスは白眉だ。彼が発表した非常にタイトなアルバム『Lovebeat』とベクトルを共にするサウンド・プロダクションと奥山みなこのヴォーカルが実に有機的に絡み合い、まさしく都会の“オアシス”を描き出すことに成功している。 こういったリミックス・アルバムを聴いていつも思うこと。それは、オリジナルの個性がしっかりしているものは、それが形を変えてもしっかりとオリジナルの良さが残っている、ということに尽きる。まるで彩り鮮やかに完成された料理の中でしっかかりと自己主張するそれぞれ素材なようだ。言い換えれば、素材の良さがより完成度を高めているのだろうし、ここでは素材として用いられたレゲエ・ディスコ・ロッカーズのフレッシュでエヴァー・グリーンな持ち味が極めて重要なエッセンスになっており、それだ最大の魅力でもあるわけだ。 |