「日本一のダンスホール・レゲエ・バンドは?」と問えば、100人中100人がその名をあげるホーム・グロウンが、念願のバンド名義のアルバムを7月17日、遂にリリース。例えいまやビッグ・ネームになったダンスホール・アーティストでさえ、彼らなくしては現在はあり得ないと言っても誰も文句は言わないだろう。豪華アーティストが結集した本作、かなり濃い傑作だ。 |
![]() 本誌2001年6月号の写真(小林Taxi氏によるもの)は今でも忘れ難いものがある。何と言うか、あの“笑顔”は、彼らの放する音楽から受けるVibesそのもの、だったからだ。それはまるで“大仕事”をやりとげた後に見せる男や女たちの顔そのもの、である。 Home Grownといえば、“仕事師集団”というイメージを抱いている人も少なくないだろう。大部隊のバックバンドとして、またリディム・メーカーとして、彼らの恩敬を受けてきたアーティストは数知れず。葉山の海の家オアシスを拠点地として(その前身は言わずもがな、のOasis Band)、97〜98年辺りからは数々のバンドショウを支え、また録音物では三木道三「明日の風」、Pushim「Greetings」、Ryo The Skywalker「ふたりワンマン」、Takafin「Hightest Mountain」、Papa-B「Son Son Son Song」、H-Man「Si Dung Pon Riddim」、Kaana feat. Criss「Life Goes Around」等々、他にも数えればきりがないほどの作品に、バンドとして尽力してきた彼らの高密度な“仕事ぶり”は、現在のジャパニーズ・レゲエ・シーンの“質的向上/充実”に大きくKon Ken、いや貢献しているのだから。 そんな彼らが、今度は“アーティストとしてのアルバムを作るなら”というテーマで挑んだ(のかどうかは知らないが、そう写ったのは事実)のが、この『Home Grown』、である。ご存知の通り、Home GrownはシンガーやDee Jayを擁するバンドではない(MPC担当のKon Kenは別として)。それだけに、インストゥルメンタルと、フィーチュアリングの両面でどれだけ聴かせてくれるか、がポイントとなる訳だが、筆者的には“全ての面でバランスの良いレゲエ・アルバム”と受けとめられた。 うたうたいを“立てる”、つまり仕事人集団としての側面はやはり強いように思われるかも知れないが、言うまでもなく、これはかれら=Home Grownのアルバムなのだから、その“フィーチュアリング・アーティスト”のキャスティング一つとってもHome Grownらしくない筈がない。それは、オープニング・トラックのPushim、Moomin、Papa-U-Gee、Ryo The Skywalker、Fire Ball、Keyco、Papa-Bによるオアシス・アンセムからも十二分に伝わってくるだろう。 その他、コンビネーション物では、KickのKrevaとNG Head、Boogie ManとMika Arisaka、H-ManとNeo、という取合わせもあるし、ソロ・チューン物も、TakafinからPapa-B、Chozen Lee、そしてOasis Band時代からのつき合いとなるPapa-U-Gee…更には三木道三のあの名曲「I Say」のセルフ・リメイクという粋なトラックも用意されている。合間に合間に顔を出す“レゲエのダイゴ味”がにじみ出たインストも最高(しかも、彼らのグループ名の由来となったアール“チナ”スミスの曲「Home Grown Song」も演っている…)、だ。 その決して“無理のないバラエティ”は、これからレゲエを聴きたい、という歓迎すべきビギナーたちにとってもとても“親しみ易く”そして“ノリ易い”ものだろう。“易い”という表現は決して“安い”のではない。“仕事人集団”である彼らはそれを知っている。だからこそアーティストとしても、これだけ魅力的な、聴く者の気分を高揚させてくれる作品が作れたのだろう。間違いなく、今年のベストの1枚!! |
![]() |
Home GrownのIwatchとYukioも参加するレゲエ・バンド、Tombiも2ndアルバムをリリース。歌もの好きなら、こっちも絶対に要チェック! |
![]() |