全国のレゲエ馬鹿が待ち望んだH-Manのファースト・アルバム『レゲエ馬鹿道場』が遂に7月17日にリリース。11年を越えるキャリアを持つレゲエ職人が放つ本作は、ライヴ以上に痛快なH-Man's Worldが詰め込まれた傑作だ。リリースを目前に控えたH-ManにA.K.I.が斬り込んだ!

「レゲエ馬鹿道場」のリリックで、「ボブ・マーレーが事の始まり」とありますが?

H-Man(以下H):僕は72年生まれで、30歳なんですけど、高校の時に「レゲエって、どんなもの?」と思って、まずボブ・マーレーを聴いたんです。DJ物だと、やはり高校生の時、洋服屋で、ジャスト・アイスか何かのラガマフイン・ヒップホップを聴いたのが最初。で、何か普通のレゲエとは違うなと。それで、当時人気のあったイエロー・マンを聴いて、「歌はダメだけど、DJだったら出来そうだ」と勘違いして(笑)DJを始めました。H-Manの「Man」も、イエロー・マンの「マン(Man)」からきてるんですよ。

では、「H(エイチ)」は、どこから?

H:本名が、「エイイチ」なんです(笑)。名前だけは、もう高校生の時から決めてました。

最初に書いたリリックとか覚えてます?

H:下ネタです。「コンドウさん家のツトム君、この頃少し変よ〜」とコンドームの歌を(笑)。無名だし、偉そうなこと言っても仕方ないし。

クラブ通いしてる内にDJを始めた感じ?

H:いや、そういう感じではなかったですね。今だにクラブとかそんなに行かないし。

意外ですね。では、普段どんなことを?

H:歴史小説を読んでます(笑)。一番好きなのは「津元陽」かな。キ○ガイみたいな人が書いてる本で、剣道3段、抜刀道5段っていう腕を持ってる人なんですけど、実際に本人が戦ってる人だから、描写が凄いんですよ。エッセイとか読むと「豚の太ももを買ってきて刀で切った話」とか、テレビで相撲を観てると、筋肉質の力士が出て来て「こういうやつを斬るのが一番手ごたえがいい」とか、凄いことがいっぱい書いてあって(笑)。

普段そういうことを語れる友達は?

H:いや、薦めてるけど、あんまり相手にしてくれない。一人で熱く語ってる感じ(笑)。

なんかモテなさそうな話ですね(笑)。でも、実際は、モテてるんじゃないですか? 最近は、黄色い声援も多いと聴きましたけど?

H:いやぁ、男人気の方が多いですね(笑)。

「H-Manのリリックは全部覚えてる」っていう女の子と付き合う、とかどうです?

H:ヤバいっすねぇ、それはないです(笑)。例えば、ムーミンみたいにシンガーだったら耳元で歌ってあげたりとか出来るけど、耳元でDJやれ、って言われたら怒りますし(笑)。

歌おうという気はなかったんですか?

H:凄い音痴ですからね(笑)。まぁ、歌謡曲がスゴい好きだったりはするんですけど。

どんな人のが好きなんですか?

H:井上陽水かな。でも、一番「レゲエ」を感じるアーティストは中島みゆき(笑)。相当「レゲエ」だよね。詩的な部分も勿論あるんだけど、「ストーリー」を感じるでしょ? 「これはロックだ!」っていうのと同じで、僕にとっては基準が「レゲエ」だから、そういう言い方になるんだけど。「(実際に)あったことを歌う」っていうのが「レゲエ」だと思うし、リアルだよね。「ファイト!」って曲なんかモロDJスタイル。「中卒で仕事が見つからないと手紙を書いてきた女の子の字は尖って震えていた」、みたいな歌詞とかさ。ストーリーを語っていってサビに戻す感じとか。サウンド的にはキビしいけど好きですね。

もし歌ってたら「長渕剛」だったかも?

H:いや、長渕剛は別にコない。尾崎豊の方がレゲエだと思う(笑)。やっぱり「あったことを歌う」って意味で、「卒業」とか(笑)。

初のアルバムですけど、変わったことは?

H:トラックに合わせてリリックを書くことを覚えた。今頃気付いてどうする、って(笑)。でも、今までリリースしたい時に出せる状態ではなかったから、自然とどんなトラックにも合うリリックを書いてたんで。それと、今まで「現場受け最優先」でリリックを考えてきたけど、レコーディングをすることによって、それだけではない書き方も覚えたかな。

参加メンバーも、ホーム・グロウンのタンコ&コン“MPC”ケンやハセ-T、など豪華ですね。皆さん、飲み友達だったりするんですか?

H:いえ、僕、飲めないんで(笑)。でも、みんな古くからの付き合いですね。

結構録り直した曲もありますが。

H:ええ。かなりリリックも書き直しました。

タイトルとジャケットの写真が最高ですね。

H:茶室を借りて撮りました(笑)。タイトルは、同名イベントをやっててそこから。一人で1時間ライヴをしてるイベントなんですよ。

もうセカンド・アルバムのこととか考えてます? あるいは将来的な展望とか?

H:いや、もう精一杯(笑)。でも、最終的な目標は、(中島みゆきの)「夜会」かな?(笑)。

芝居仕立てのライヴとかを目論んで(笑)?

H:冗談です(笑)。でも、ワンマンはやりたいですね。まぁ、「レゲエ馬鹿」として、じいさんになるまで続けたいですね。若手から「まだいるよ、H-Man。でも、やっぱ、やるね!」ぐらいのことは言われたいですね(笑)。