昨年に引き続き、「ジャパン・レゲエ・フェスタ・イン・オキナワ」が開催された。2回目の今年、会場は五千人を超える聴衆で溢れ返った。まず、地元沖縄のシステム和響やU-Dou & Platyとシスター・マユミ、そしてキング・リュウキュウが会場を徐々に暖める。

 レコード会社との契約も決まったバンド、ホーム・グロウンが登場。まず、Papa B。Papa BらしいスキルフルなDJはもちろん、ギター片手にルーツっぽい雰囲気を湛えた歌ものまで披露し、芸達者振りをアピール。続いてH-Man。アルバムのリリースを控え、アピールに絶好の機会となった。大きな舞台に慣れていない部分は今後に期待するとして、リリック面では今後、キチンとオリジナリティを打ち出す必要があるようにも思うのだが、今のスタイルがH-Manの持ち味といわれれば、それはそれで納得するのだけれど。




 続いて登場したFire Bがこの日の最大のハイライトだった。6月にメジャー・デビュー盤発表を控えた彼らは揃いのTシャツで登場、レコーディングしたばかりのネタを次々と披露。会場の期待度も高く、ひときわ高い歓声で彼らを迎えたが、期待を裏切らない。経験とレコーディングを経て一段とたくましくなった。リリック、声の活かし方、重ね方、役割分担、いずれも高く評価したい。イケイケ一辺倒ではなく、デルロイ・ウィルソン「ダンシング・ムード」をベースにロック・ステディからアーリー・レゲエ・フレイヴァな曲などを織り交ぜた辺りも見事。ヴァラエティに富んだアルバムも是非聴くべし!

 次はマイティ・クラウンの登場。昨年とは異なり、観客の層もキチンと掴み、あらゆるタイプのジャマイカ音楽の入り口を紹介する姿勢にはリスペクト。話題の40/40からの "Diwali" リズムあたりできっちりと最新ネタも交えて貫禄のあっという間の30分弱。

 続いてロッキン・タイムの登場。彼らもメジャーとの契約が決まり、アルバム制作中。新アルバムに期待が高まるが、この日のステージではモニターの不調もありリズムのバラツキが残念。今野のヴォーカルも本調子とは言いがたかったけれども、しっかりと観客にはロッキン・タイムのイメージは伝わったんじゃないかな。これからに期待。



 次のこだま和文は、こだまの語りと銃器音がインサートされたリズム・トラック、こだまのトランペット…。ロッキン・タイムのほのぼの路線から会場は一転。メッセージもダブも重いステージだったが、これもレゲエという音楽の一部。レゲエのある種違った側面をキチンと伝えたステージだった。

 次に登場したのがケツメイシというところが、このイヴェントの凄いところ。ヒット曲を多くもつ彼らだけに、会場は一気にヒートアップ。そして、日が暮れ始める6時過ぎあたりになると、ホーム・グロウンのセカンド・セット。昨年も出演のキーコ、リョー・ザ・スカイ・ウォーカー、プシン、ムーミンらが登場。キーコは懐妊の発表をするなどアット・ホームな雰囲気。リョーはバスケットボールをドリブルしながら全身ジョーダンで登場。今年最初のステージとのことだったが、コーンヘッドと「ゲリラ・モンスター」を披露したり、流行の "Diwali" リズムを使用したりと流石のステージ。「ふたりワンマン」で会場も大盛り上がり。ムーミンとプシンは貫禄。ホーム・グロウンにキーボードの渡辺貴浩を加えたバックとの息もバッチリ。プシンは去年の声の不調を吹き飛ばすステージだったし、コーンヘッドとの新曲「禁断の森」も披露したムーミンはラストの「ムーンライト・ダンスホール」でライターの花を咲かすまで30分余の熱唱だった。



 ラストはバンドNSKを従えたアキ&ソルトフィッシュ。沖縄での人気の高い彼らだけに、会場は最後のヒートアップ。ホーム・グロウンに比べるとバンドはまだまだだけれど、今後どんどん良くなっていく事を実感させるステージだった。アキ&ソルの息の合った技術に裏づけされたライヴはいつみても流石。

 と簡単に振り返ってきたが、2回目にして日本のレゲエは沖縄から始まるという雰囲気が出来てきているのが素晴らしいし、よくオーガナイズされたショウだったことも特筆したい。しかし、何よりも驚くのは今回出演のアーティストたちの殆どがメジャー・カンパニーとの契約を手に入れているということ。ここに来てビジネス・ベースでも日本のレゲエ・シーンがキてることを確認させられるとてもよい8時間に渡るショウだった。東京や大阪といった大都市圏ではなく、地域密着型のイヴェントが地元企業の地域への還元を目的とした協賛や地元のレコード店を中心とした企画やプロモーションによって実現されることは、今後の日本のレゲエ・シーン発展の大きなヒントとなるに違いない。

 来年はみんな沖縄で会おう!