「こんなアルバム聴いた事がない!」と多くの人が驚くに違いないほど素晴らしく、心に響いてくる作品がファイア・ボールから届けられた。確実に新しい、だけど懐かしい…あらゆる意味でエモーショナルな音楽。それが『火の玉』。

 「これがファイア・ボールです、というものが出来ましたね」(Chozen Lee)
彼らの満足げな顔がその充実ぶりを物語っている。
 「基本的にジャマイカのレゲエって7"でポコポコ出てた曲をまとめて、ハイ、アルバムです!って言う感じで、それはそれとしていいんだけど、俺らがやる時は最初から最後まで聴けるストーリー性のあるものにしたくて。これは皆一致した意見だった。今の段階で必要なテイストは全部入れたし、自分達でも完成してオーッ!ってなりましたね」(Truthful) 

Truthfulの言葉を借りると“レゲエという家があるからこそ外で遊びたくなる”、という気持ちが各々のテイストの異なる楽曲の中で見え隠れしている…そんな印象だ。しかしそれはレゲエが本当に好きな人なら、その本質的な部分をしっかりと嗅ぎ取れるし、心から喜べるものになってる筈だ。そう、これがFire Ball Music、その第一章なのだ。
 では恒例の(?)全曲紹介といきたいが、ここでLeeより一言。
「まずは真っサラな状態で聴いてから読んで下さい!」

●「Bring It On」
Criss:ライヴをやるにあたって一人一人のリリックを繋げていこう、っていうのがまずあって、それでサビを作った。そのサビで回していく曲です。ライヴでやる時はみんなタオルをグルグル回してヘリコプターになって上へ飛んでいきましょう。
Truthful:でも決してヘリで来ないように(笑)。

●「Fire Ballのテーマ」
Jun 4 Shot:Fire Ballとしての一発目の曲だし、思い入れが強いですね。勢いがあるし、俺らのテーマ。

●「Dancing Mood」feat. Guan Chai
Truthful:レゲエに対するトリビュートの気持ちを示したカヴァー。幸せな気分になれる筈。各々のヴァースにメッセージが入っているのでよく聴いてください。

●「フクロウ」feat. Yoyo-C
Chozen Lee:フクロウはアルバム全体通してのテーマになるな、とずっと思ってて。Yoyoがマイナー・キーにメジャーの歌を乗っけてくれて、その雰囲気が出てると思いますね。詩として読めるリリック。生のトラックもヤバい。

●「Words」
Truthful:言葉の重み、曖昧さをうたってます。言葉、音楽で伝える者として取り上げたかったテーマ。
Chozen Lee:そういう深い詩をポップにしてみました。

●「ランプ」feat. Papa-B
Truthful:創造力を“アラジンの魔法のランプ”に例えて、頑張ってコスらないと望みを叶えてくれない、と。
Jun 4 Shot:一瞬他力本願っぽく聞こえるけど、それを磨くのは自分だ、という話。ボンくん(Papa B)がいいスパイスになりました。

●「Player Hater」
Chozen Lee:永田町でも、スポーツ界でも近所は嫌いでも、どの世界にもいるヤツ。クラった奴は要注意。サラッっと聴いて欲しい。
Jun 4 Shot:沢山の人に“こんな奴いないでしょ”って言われる世の中になって欲しい。Guan Chaiのオケもレゲエからかけ離れてて鳥肌立ちました。

●「侍」
Truthful:母国を離れて世界を舞台に活躍してる人たちに敬意を払う、という曲。それこそがサムライだと。野茂、イチロー、指揮者の小澤さん…そして勿論、マイティ・クラウン。
Chozen Lee:自分のことを自分でやって他人に勇気を与えられるのが凄い。そこはみんな目指しているところですね。

●「Fire Girls Anthem」
Criss:Fire Ballとしては初めてのギャル・チューンですね。盛り上げるところは盛り上げて、聴かせるところは聴かせる…。みんなのパートが活きてます。
Chozen Lee:女の子たちはダンスホールの主役ですから。
Jun 4 Shot:このアルバムの中ではかなり明るいダンスホール・チューン。

●「流」
Chozen Lee:目先の目標を決めて、そこに辿り着いたらそこが次の目標へのスタートになり、決して終ることのない、という話。英語が一文字も出てこない珍しいリリックです。
Criss:物語、ですね。“Life Style”のコンピにも入れて自費でPVを作りたいと思ってます(笑)。

●「Prophecy」
Truthful:これはもうガイダンスとしかいいようがない曲で。偶然聴いたテープ(『十戒』だった、そう)にインスパイアされて。俺が預言者で、クリスが独裁国家の民、ジュンが受験戦争の国の民、リーがゴミの国の民を各々演じてます。
Chozen Lee:あと出だしがガンダム世代にはたまらない…という。波平さんのナレーションで。

●「One Day」
Criss:『Life Style』のテープでこの曲を既に知ってる人もいるんじゃないでしょうか。当時のとは全然変わったよね!?
Truthful:これが完成形です。ガッチリ、生オケっぽくなった。オケはロッキング・タイムの森さんで、もう一人のビンギ担当はジュン。ダンダンシュッって手をこする音の方がジュンです(笑)。これはどこで生まれて、どこで終ったかがハッキリしてる曲。
Chozen Lee:海の家オアシスの防波堤が始まりだった…。

最後にFire Ballのあり方についてJun 4 Shotの言葉でまとめさせて頂こう。

「聴いて“アツくなるもの”があれば、それがFire Ball。今メジャーになってこの4人編成って形になってますけど、基本的にYoyo-Cも、そしてGuan ChaiもFire Ballだと思ってます。あと、アツくなってくれるファンのみんなも。そういう全員参加型の意識で聴いて欲しいですね。俺らもここをスタートラインとしてまだまだ試行錯誤もあるだろうけど、更に前進していくんで。変わりたくはない、けど“進化”はしたいし、する。そういうスタンスですね」