ピアニカ奏者のラス・タカシ、そしてPJ等を擁する噂のダブ・センスマニアがファースト・シングル「Wonderful / Black & White」を6/8リリース。何とミックスはあのデニス・ボヴェールを起用。丁度彼らのライヴのため来日したデニスを交え、本作についてメンバーに訊いてみた。まずはこの豪華なコラボレーションのきっかけから。

デニス・ボーヴェル(以下DB):最初レコード会社側から打診があって、ラフ・ミックス状態のテープが送られて来た。それ聴いて、正直言って一発でやられたよ。もともとピアニカのサウンドって大好きだったし、ピアニカを前面的にフィーチュアした曲を自分でもやってみたかったんだ。実は自宅でまず聴いてみたんだけど、いつもなら必要最小限のヴォリュームで聴くのに、ダブ・センスマニアの場合は本当にでっかい音だったんだな。そしたらワイフに「何でそんなに大きな音で聴いてるの!」って言われて、もちろん「これはオレの大好きな音なんだ!」って言い返してやったよ(笑)。

ラス・タカシ(ピアニカ、ヴォーカル担当、以下RT):確かにレコード会社からの提案ってこともきっかけのひとつだったけど、特にうちのドラマーのPJは、もともとアズワドとかに代表されるUKレゲエが好きだったし、僕自身ワッキーズでずっと勉強してきてジャマイカ流のやり方ってある程度わかってきた部分もあって、その上で今後もっともっと自分達流のダブ・スタイルを極めて行くためにも、じゃあ今回はミックスをUKスタイルでやってみようかなっていうのがありました。

ラス・カント(パーカッション、ヴォーカル担当):俺はジャマイカやニューヨークで凄いエンジニアの人達の仕事振りを見てきた中で、UKレゲエ・シーンのボス的な存在であるデニスがどんな風に俺達の音を仕上げてくるのかっていう、そう“お手並み拝見”的な期待感がありました。

リョウタロウ(ベース担当):実際出来上がった音を聴いて、デニスの抜き差しとかのアイデアがその後そのままバンドの新しいアレンジになったりして、そういった方向性といったものを示してくれた事に対する満足感は凄く大きいですね。それとジャマイカのどろどろしたダブとはまた違った、UK独特の爽やかなダブっていうか、凄くクリアな仕上りになっていると思いましたね。

RT:そう、クリアなんだよね、ヌケがいいっていうか、特に「Wonderful」はBPMは一緒なのに、軽快に感じるようになった。実は向こう(Sparkside Studio)でピアニカを吹き直したんだけど、全てデニスが音ギメしてくれた上で録音したんで、もの凄く気持ち良くできました。

DB:自分の思った通りに仕上ったと思うし、特にピアニカの音処理には随分気を使ったよ。オーガスタス・パブロの音みたいな、暖かいサウンドになる様にね。何よりも彼らの魅力は、ピアニカとヴォーカル(コーラス)のグッド・ミックスなんだ。ピアニカがリードをとり、その合間にコーラスが来る、凄くユニークだ。ダブを創造する時の遠近法的なコンセプトをこのバンドはしっかりと持っている。世界的に見てみても、新しいエキサイティングなことだと思うよ。素晴らしい演奏/メロディとシンプルなメッセイジがあれば、演奏/メロディはそのメッセイジの伝達に有益に機能するし、また逆にメッセイジは演奏をより良く聞かせるしね。まあ、今回の仕上りを聴いて貰えば、わかると思う。それから、ぜひともイギリス、ヨーロッパをツアーするべきだね。向こうは本当に沢山のミュージック・フェスティバルがあるから、それぞれのプロモーターに紹介しておくよ。

RT:今後の予定は、7月7日のSum's Upが決定していて、あと夏は茅ケ崎のオアシスで何回か演ると思います。それと今年中にはアルバムが出せる様、レコーディングがんばります。