2002年6月号
 


Bob Andy

 Greetings Friends,
15年前に大歓迎を受けたデビュー・アルバム『In This Time』以来、Peter Hunnigaleはいつも皆のお気に入りだった。当時の彼は流行りのラヴァーズ・ロック寄りであったし、実際もっと異なったエリアの音へと変貌を遂げてからしばらく経った後でも、そのスタイルの代表として分類されていたように思う。しかし2枚のニュー・アルバムが出来上がった今、Peterがどれだけ多様性に富んでいるのか、自分の耳で確かめてみて欲しい。Jetstar's Caveスタジオでのカット「Can't Stop」では、よく整った、ソウルフルでスウィートな声(ナチュラルなもう一人のシンガーとして、Tabby Diamondがよく引き合いに出される)がみずみずしいリズムに乗って聴こえてくる。対照的に、もう一枚には彼自身のソロ・プロジェクトである「African Tears」が収録されているが、ここでは多岐に渡ったトピックや問題点を扱っており(ルーツ、リアリティ、そしてカルチャーの3つの言葉が真っ先に浮かんでくる)、それと同時に大胆で想像的な領域までを包括する音楽的ヴィジョンを展開している。往年のヴォーカル・ワンダーボーイに相応しい、れっきとした大人であることを証明したセットであり、Peterにまた新たなファンの一群をもたらすことになるであろう。

前回のコラムで書いたように、1ウェイ・リズムのアルバムにはどの点においても音楽的ニーズを満たされない。従って、“ここだけはハズせない最重要レーベル”Greensleevesからそれぞれ“ダイナマイト20発”そして“20のギャング対決”と煽られた2枚のリズム・アルバム『Time Bomb (#20)』と『Bad Kalic (#21) 』がリリースされても、こちらの興味はさほど長続きしないのである。

聴くものを鼓舞しエキサイトさせる、オリジナルなレゲエを耳にしなくなってから久しい。と言う訳で正直に告白しよう、今一番プレイしているアルバムはMary J. Bligeの『No More Drama』。力強く、独自性溢れた曲に、身震いするようなプロデュース・ワーク。Jah Maliの『El Shaddhai』もしくは Beres Hammond『In Control』と『Love From A Distance』のようなアルバム。ああいうのをもっとレゲエでやれないものか?


Bob Andy

レゲエのライヴ・ギグはまだそれほど数も多くはないが、3月後半から4月初旬にかけて目立った海外組といえば、いつ見ても安心なMighty Diamonds(同様の歓待を受けたWinston Reedyがサポート)、Bounty Killerなど。もはや世界で最も売れている男性アーティストとして認識されているShaggyも、2月に行われたたった3公演のみのUKツアーで大暴れしたそうだ。そして彼はAli Gと組んだ「Mi Julie」で現在UKチャートを(再び)席巻中。さてこのAli Gとは、元々はオックスブリッジの学生であるSacha Baron Cohenの風刺的でコミカルな分身であり、殆ど馬鹿げたようなユース・カルチャー(自分がゲットー出身の黒人だと思っている白人男性!)を理解した演技で、彼はまさに自分がネタとしているような層の若者達からカルト・ヒーローと崇められるまでになった。今や彼は立派なビッグ・スターだ(Madonnaの「Music」のビデオのリムジン運転手も彼だったし、また何と主演映画『Ali G In Di House』が公開中である)。

ジャマイカでのホットなショウを幾つも見逃しているらしいとの何とも悔しい情報が。プリシラ・ナイトクラブで行われている「Up Close And Personal-Under The Stars」シリーズでは、Alton Ellis、Freddie McGregor、John Holt、そしてBob(Andy) & Marcia(Griffiths)が3月から6月まで出演予定とか。我々皆がそこに行けたらいいのに!

先日、Ruff Cutt UKクルーの一員、Tony 'Crucial' Phillipsが同レーベルの優れたプロダクションをプロモートするためジャマイカ入りした。Beres Hammondの「Say Thank You」を含む数曲がジャマイカのチャートにランク・インしているし、どうやら彼の仕事ぶりもなかなか好調のようだ!

 Till Next Time, Take Care.       
                      (訳/Miyuki W. Myrthil)