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1. アズーロ / Electric Relaxationz 最近では瘋癲のリミックスやリトルのプロデュース、“ブルーノート”トリビュート企画『New York Times』等々でそのドクトクな世界観を漂わせていたアズーロ(DJジジイジャイ改め)の約2年ぶりとなる新作ミックス・テープが登場。大評判だった前作『Fly Me To The Moon』の時のようなリコンストラクト感は薄れてはいるものの、その選曲センス、構成力、そしてリヴァーヴの気持ち良さ…といった部分は正にアズーロ・オリジナル。タイトルから想像出来るフィーリング、と言ったら身もフタも無いが、例えばATCQが好きならこれくらいの“音の振り幅”がツボな筈。またもや聴き浸れる一本。 |
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2. ブラッカリシャス DJシャドウと共に大手“MCA”とサインしたクワナム・プロジェクツきっての“濃いコンビ”ブラッカリシャスの2ndフル・アルバム。基本的なプロデュースはこれまで通りほぼ全曲をメンバーのチーフ・エクセルが担当しているが、ハイテックやクウェストラヴ、ジェイムズ・ポイザー、マニー・マーク、ベン・ハーパーにDJシャドウ、カット・ケミストといった盟友、有志たちが絡んでいるのもポイントで、これまでには表現しきれなかった壮大なサウンドとヴィジョンがここにある、と言っていい。MC=ギフト・オブ・ギャブのあのクセのあるフロウ、そして絵ゴコロに溢れたリリシストぶりもタップリ堪能出来る一大傑作。チャーリー・ツナ、ギル・スコット・ヘロン、ソウル・ウィリアムズ等ゲスト面子も面白い。 |
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3. アンチポップ・コンソーティアム / Arrhythmia(ビート) NYのディープ・アンダーグラウンド、現代のノー・ニューヨークと呼ばれる3人組のテクノ/エレクトロニカ専科“ワープ”移籍第2弾となる3rdアルバム。7曲入りのミニ・アルバム『End Against The Middle』の流れにあるこの作品でも彼らの“確信犯”ぶりは大爆発。制作中にコマーシャル・ヒップホップに影響を受けた、と本人達は語っていたが、既に独自のやり方を確立していた彼らが簡単に流されるワケもなく、相変わらず未来のビーツといやらしいまでの殺人ライムで毒付いてる様は“痛快”の一言。進化はしているが心根は不変、のヘンクツな快作。因みにタイトルは、“不整派”のこと。 |
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4. スクウェア・ワン
/ Walls Of Life(バッドニュース) ドイツはハンブルグ発の良心的レーベル“ショウダウン”が誇る“外国人カルテット”スクウェア・ワン(在ミュンヘン)の初アルバム。99年の1st EP「Mind, Body, Soul」で日本でも注目された彼らの持ち味は、まるで10年ほど前にタイムスリップしたかの如き“いい音空間”と、真実味に溢れたハードリリック(全て英語)、にあると思うのだが、このアルバムには正にその“たまらなくいいビーツとラップ”がある。“ Knowledge Is Knowledge”での圧倒的なまでの“泣き”、そしてA.G. &パーティーアーティ(from D.I.T.C)がそのサイファーに加わった“Square Biz”での“躍動感”はどうだ! |
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5. アリ /
ヘビー・スターチ (ユニバーサル) 2000年代最初のスター・ラッパー=ネリーが所属するセントルナティックスの実質的なリーダー、アリのソロ・デビュー作。ダーティーと言っても荒れ過ぎず、座りの良い魅力的な低音ヴォイスでストレートなフロウから、S.L. 印の歌うようなフロウまで、相当なテクニシャンぶりを発揮する彼は、思想的にも確かなものを感じさせ(ネリーに菜食主義をススメた、とか)、デ・ラ・ソウルに影響を受けたというライム・センスをも併せ持つ人物。S.L.の仲間の他、同郷のトヤやキャンディも駆けつけた本作は進化系ミッド・ウェスト・バウンスを中心に新鮮なサウンドの宝庫に。 |
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6.シー・ロー
/ パーフェスト・インパーフェクション(BMG) ダンジョン・ファミリーの誇るソウルフルなヒップホップ・グループ=グッディー・モブより、ソロとしても活躍中(ローリン、コモン、サンタナ、デ・ラ・ソウルの作品にも参加)のシー・ローが遂にソロ・アルバムをドロップ。ゴスペル・ルーツのスピリチュアルな歌唱から、ディープ・サウスの匂いの強い語り口のラップ、変則フロウ、とありとあらゆる表現方法を有する彼だけに“一人舞台”でも完全に魅せてくれる。本人のトータル・プロデュースによる、バウンス有り、ブルース有り、ゴスペル有りのその音世界はパーソナルな陰と陽をも表したもので、“うた”を立たせる意味でもこれ以上ないもの、となっている。グループとはまた一味違うシー・ローを御賞味アレ。 |
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7.DJ ホンダ
& PMD / Underground Connection (DJ ホンダ・レコーディングス) ご存知DJ HondaとPMDがガップリ4つに組んだフル・アルバム。共に“真のインディペンデント”を実践するレーベルの“代表”だけに意気投合も当り前(PMDがHondaを尋ね、この計画はスタートしたとか)。キツめのファンク・トラックでこそ映えるPMDのラッパーとしての出自をよく弁えたHondaはドープ・トラックを次々と捻出し、PMDもその期待に十二分に応えるワードプレイを展開している。またエリック・サーモン(元気です!)との久々のタッグ、つまりEPMD再々結成(?)チューン“Look At U”を早々とチュウ出来る、という粋な仕掛けもアリ、の必聴盤。 |
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8. V.A.
/ プログレッシグ・ヒップホップ (ソニー) ストリート・フリー・ペーパー『Bloc』が企画するコンピレーション第3弾のテーマは“プログレッシヴ・ヒップホップ”。前2集では進化型ジャズ・アーティストをフォローしてきただけに、このアルバムでの顔ぶれもかなり面白い。独自のスタイルを持つバンド=シーナ・バンドから、仏国のコスラー=ショーン、大阪の実力派リリシスト=サレイシャス・SAL、多国籍軍、ボンガスターズにP.U.C.K、名古屋からはバイト4ファイトでの活動でも知られるウメ、そして京都の瘋癲に、ビーツ・クリエーター=アズーロ…。各々の“コダワリ”に満ちた自分流のヒップホップを感じて欲しい。 |
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9. サムライトウループス/ Smrytrps ウッドベースを手にリリカルなラップでヒップホップ・ミュージックの自由さ、多様性を示したタカツキの衝撃のデビュー・アルバムにfeat.されていたMC集団サムライトループスの初アルバム。「オムニバス以上クルー以下」というスタンスで、まとまりがあるようなないような関係を示しているメテオY.G.O.、セミー、ゾエ、ゾム、タカツキの6人が様々なフォーメーションで登場する“怪演”の数々は“気になる言葉/フレーズ”で一杯。メンバー唯一のDJ=ナベを中心に、ゾム、Y.O.G.らの作るビーツの多彩さも特筆モノ。“関西弁”がこれだけ生き生きしてるラップも少ないのでは。 |
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10. キング・ギドラ
/ Unstoppable (ソニー) KG02、遂に復活。DJオアシス名義の「ハルマゲドン」に続き、伝説の三つ首龍リユニオンの2ndアルバム先行カットとなるは「Unstoppable」と「F.F.B.」の何とシングル2枚切り。“誰も止めらんねぇ”とコールされる前者はDJオアシス作のニュータイプ・バウンスで、ジブラ作の併録「ドライブバイ」は大掃除をヴァージョン・アップしたようなサッカーMC物。そして後者はビッチねた(ありそうで無かった!)と、侍魂復興曲「平成維新」(Feat.童子-T.&ウヂ)というカップリングで、ストリートに根差した社会派、つまりKGの在り方が改めてよく見えるようになっている。 |
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11. 餓鬼レンジャー “火の国スキル”で全国を沸す餓鬼レンのニュー・シングル。タイトル曲はあの漫画「グラップラー・バキ」とリンクした格闘リリックがストレートにカッコいいトラック(ヨシが吠える)。今作から正式メンバーとなったグリーンピースとハイ・スウィッチャの2人各々がプロデュースしたヴァージョンはテイストこそ違えど共に破壊力十分。またカップリングの“バンドワゴン”は餓鬼レン流のパーティー・チューンで、この3曲入りEPからもその濃ゆいエキスはタップリ味わえる。クスリとくるライムは勿論健在なり。 |
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12. ストロング・スタイル フリックのGo、K.O.D.P.のGoriki、そしてランチタイムスピークスのGocci、と“Go繋がり”の3人の男汁MCがシックスメン・タッグ用に組んだ(←ウソ!)ユニットの初EP。その何とも男クサイスピリチュアル・マッチョなフレイヴァーは正にミドルスクール辺りの線で、「こーいうのを待ってました!」というヘッズも多いことだろう。DJシモーネ(K.O.D.P.)制作のタイトル曲では抜きのあるファンクで責めまくり、DJデンカ(LTS)制作の裏面曲“Go Force Men”ではブルース・ハープのドロ臭いループをバックに仁王立ちする黒くて太い3本MIC。早くも“次”が楽しみなクセになる一発。いやー参りました! |