本場、ジャマイカに劣らないクオリティで今世紀に入り快進撃を続ける日本のダンスホール・レーベル。その一つである三河地方のYa-Low Productionがこれまでの7インチ音源と最新チューン、未発表曲を含むアルバム『レゲエ野郎』をリリース。そこでYa-Lowの音源制作の中心人物、シュリンピーとゴクウに答えてもらった。

まず、Ya-Low Productionの設立から現在に至る過程、そしてメンバーや役割を教えて下さい。

ゴクウ(以下G):93年頃に結成したサウンド・システム、サムライ・スーパーパワーのメンバーの中から自然に集まった音キチ(侍)達のテル、俺、シュリンピーを中心に活動してます。勿論、サウンドのサムライ・ファミリーにもいろいろ力を借りてやってます。役割はテルと俺がプロデュースやプロモーション的な動き。

シュリンピーがスタジオ、トラック制作関係。00年10月にツラ壱スタジオ完成したのもあって、Ya-Lowとしての活動はこの頃から本格化しました。去年2月にジャマイカで "Hands Up" トラックの5曲をミックス・ダウンして、5月に7"シングルで発売。12月29日にシングルに新曲や未発表を加え『レゲエ野郎』リリースしました。

 イベントとしては7月にダイアモンドホールで旗揚げの意味も込めて『Hands Up』、9月に豊橋ベイサイド・レゲエ・フェスタ『Hands Up 2』、『レゲエ野郎』のリリースに合せて『Hands Up 3』。あと、月に1回のペースで豊橋のサマサマでもダンスを開催してます(過去にRyo The Skywalker, Boogie Man, Papa-B, Chozen Lee, Jun 4 Shot, Papa-Ugee等が出演)。

シュリンピーがトラック制作を担当してるけど、器材は主に何を使用しているの?

シュリンピー(以下S):E-mu SP 1200, E-mu E 6400 ULTRA, AKAI MPC-2000XL, NORD LEAD 2等が中心です。ジャマイカの音に限りなく近く自分達の音を第一に、いろんなエフェクターを試して音圧など上げたり、試行錯誤してます。アカイはほとんどシーケンサー状態。1曲の80%はAKAI MPC-2000 XL以外の音で作ってます。それから今後、キャットマン制作トラックも用意してます。

自社スタジオとも言えるYa-Lowの制作の要、「ツラ壱スタジオ」について 教えて下さい。

S:リディム制作、ヴォイス録り、ミックス・ダウン、ミックス・テープのマスターテープ作り等、レゲエに欠かせない作業をやり易くなる様に考えてます。たまにダブ録りも。ジャマイカとの連携を第一に考えたスタジオ構築をしました。細かいエディットはプロ・ツールスでやってます。

アルバムには地元アーティストも参加してますね。Soul Eyeは先行で発売されたシングル既に知られてるけど、Mega-Horn、Rynrex、Jam Beenについて教えて下さい。

G:まずSoul Eye & Jam Been「Dancehall Players」から。Jam Beenは元ギャラクシー・エクスプレスというレゲエ・クルーのシンガーで、トラックはJam Beenと一緒にやっていたEarneeが制作、ミックスはスティーブン・スタンレーに頼みました。で、Soul Eyeの「Hands Up!」と「トラブル」。「Hans Up!」はSoul Eyeのアンセム・チューン。この曲聴いて "Hands Up!" トラックをシュリンピーが制作。「トラブル」は日常起こりうる大なり小なりのトラブルについて。トラックはシュリンピー制作の "Bad Shrimp" です。

 「Wave Your Hands」を歌ってるMega-Horn & Ryurexは岐阜を中心に活躍中のマグニチュードの2人、Mega-HornがDJで、Ryurexがシンガーです。トラックは "Count Down" 、これもシュリンピー制作。キャチーなダンスホール賛歌です。

本作の目玉の一つでもある「Ya-Low Dub」は豪華なインタールード的な曲に感じられます。ミュージシャンも実に豪華。この曲のどのようにしてできたのですか?

G:これは2作目以降の作品に絡む予定です。乞うご期待!

昨年もYa-Low主催のビッグ・ダンスが数多く行われました。今年も突き進んでくれますよね。

G:勿論。これからも俺らの観たいアーティスト中心にオモろいダンスやってくので現場に遊びに来て下さい。目標、朝まで野外、一万人。

 簡単なインタビューだったけど、心良く答えてくれた三河の侍、ゴクウ、シュリンピー(もう1人の中心人物、テルは渡ジャマのため欠席)。本作には、文中以外のアーティストにも快心撃を続けるBoxer Kid、Takafin、Jumbo Maatch、Fire BからJun 4 Shot、Young GenerationからFat D、Rude Boy Face達が参加。間違い無く、これらの作品は日本の現場(ダンス)から生まれた極上の銀盤であり、異国の地、南の島の音楽を独自に吸収し、音楽という戦場で戦い抜いている侍達から僕らへの贈り物である。