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1. DJ ICE / Essential Westside Vol.1 (Puresand West) 依然として強い人気を誇るウエッサイ物。で、「ウォーレンGやネイト・ドッグの新作は聴いたけど、他はどの辺りからチェックしたらいいか判らなくて…」というビギナーの勉強用としてもバッチリなこのテープは、所謂“Gファンク以降”の'96〜'01辺りのクラシックをまとめたもの。ヴェテランDJ=DJアイスのミックス技術でラストまで一気に引き込まれるファンク度高き逸品に。オーラスはロスコーの「I Love Gali」。クラブ・プレイそのままの様なノリで楽しめるオススメの一本。 |
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2. WU-TANG CLAN / Iron Flag (Sony) 何と約1年のインターバルという、これまでで一番早く完成した通算4作目。先行曲のUZI「Pinky King」での8人リレーが強力だっただけに本作にも期待が集まっていたが、実際にこれは前作を越えるタイトな内容だ。トラックは大半を総師RZAが手掛け、その弟子=マセマティックスにトゥルーマスター、更には売れっ子トラックマスターズ(ロナルド・アイズレー参加曲)も新生WUに相応しいビーツを披露。務所に入ってたODBは当然ながら関与していないが、彼等のチームワークの良さが確認出来る快作に。 |
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3. MOB
DEEP / Infamy (Sony) “クイーンズの悪童”という呼び方も懐かしいマーダー・デュオ=モブ・ディープの5作目。ノイドをfeat.した先行カット「Burn」からも伺えた通り、どことなくギクシャクした印象のあった前作よりもドープな仕上りになっているのが嬉しい。112の美混声入りの「Hey Love」や、リル・モー、ロン・アイズレーが各々歌うトラックも今のモブ・ディープならではのスケール感だ。ハヴォックを中心に、スコット・ストーチ、アルケミストもイイ仕事ぶり。ジェイZへのディスも…。力作。 |
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4. JAY
Z / Un Plugged(Def Jam
Japan) 昨年11月に放映されたジェイZの“MTV アンプラグド”ライヴのCD版。最新作『The Blueprint』から1st収録曲まで流石は持ち曲の多いジガならではのマテリアル。しかもバック・バンドはあのザ・ルーツが担当し全て“生”で再現しているのも聴きモノだ。ゲストにはメアリー・J・ブライジ(曲は当然ながら「Can't Knock The Hustle」)やネプチューンズのファレル、そしてデビュー・アルバムが出たばかりのジャグワー・ライト。例の強烈なビーフ曲「Take Over」ではリリックに合せてナズ、モブ・ディープのトラックが演奏されるという生ならではの攻撃も! 必聴。 |
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5. KRS- ONE / Spiritual Mineded(Victor) ヒップホップ・ディーチャー=KRSワンの早くも登場の新作はその名も『Spiritual Mineded』。そのココロは、バイブルからの引用で構成されたスピリチュアルなリリックスで統一したモノ。トラック制作は本人やドミンゴが中心となり、ゴスペルを意識したコーラスのフックが目立つ感じに。スムースB、ランペイジ、ファット・ジョー参加の「Come To The Temple」からブギー・ダウン・プロダクション時代の名曲「South Bronx」の2002年版まで、相変わらず濃ゆい内容に。コンシャス・ラッパーの意地が光る傑作! |
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6.TIMBALAND
& MAGOO / Indecent Proposal(Virgin) 旬のトラック・メイカーとしてトーン・ダウンする事なく動き続けるティンバランド(新レーベル“ビート・クラブ”から出たババ・スパークスも要チェック!)と、MC=マグー久々のタッグ盤。ジェイZ、トゥイスタ、ピーティ・パブロ、リュダクリスら外部参加者がほぼ全曲に入ってくる為、バラエティ面でも申し分ナシ。新時代のファンクを追求し続ける男=ティンバの入魂のビートがギッシリで思わずノセられてしまう…。アリーヤ生前のラスト・レコーディング曲「I Am Music」(ティンバ曰く“彼女のベスト・チューン!”)で泣いて下さい。 |
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7. ラフ・ライダーズ
/ Ryde Or Die Vol.3〜In The "R" We Trust(Universal) DMX、イヴ、ロックス等のスター軍団を擁するラフ・ライダーズのショウケース第3弾。スウィズ・ビーツを中心にDJショックら "R" サウンド班に加えて、ティンバランド、マイク・シティ、アーヴ・ゴッティら売れっ子プロデューサー陣らが拘ったのは“ダーティな感触”で先の3組の他ゲストのババ・スパークス、ピーティー・パブロ、リュダクリスらの存在もしっかり活きた内容に。前2作のイケイケ具合と変わってミディアム中心でボトムの太いトラックと倍速系のフロウが味わえる快作。 |
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8. MASTER P / Game Face(Universal) ヒップホップのエリア地図に新たに“サウス”を加えた男として知られるマスター・P率いる“ノー・リミット”がプライオリティからユニヴァーサルへ移籍。その一発目となるのがこの首領の最新作。例によってダーディ・サウス丸出しのバウンス・ビートから替え歌を交えての大ネタ路線(今回は「One Nation Under A Groove」から「The Breaks」、「More Than A Women」まで)ワカリ易さという点ではこれまでで一番だろう。息子=リル・ロメオ、弟=C・マーダー、シルク・ザ・ショッカーのサポートも効いてる娯楽大作。 |
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9. MISTIKAL
/ Tarantula(Jive) 元ノーリミッド・ソルジャーのミスティカル通算5作目。そのアクの強いダミ声とまったくもってオリジナルなフロウは今作で更に多様化。前作中のスマッシュ「Shake Ya Ass」も手掛けていたネプチューンズとの再タッグとなる先行カットの「Bouncin' Back」を聴けば判る通り、勢いだけではないミスティカル節が堪能出来る。制作では他にロックワイルダーやメディシン・メンが、Feat.では西のブッチ・キャシディに“キャッシュ・マネー”のジュヴィナイル、メソッドマン&レッドマンが加わり盛り上げる強力アルバム。ボーナスにはマライアとのデュオ曲が。 |
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10. SACH
/ Suckas Hate Me(Maryjoy) かつて“デフ・アメリカン”よりリリースのあった西の異端児コンビ=ザ・ノンスの片割サッチの初アルバム。若くして天折したその元相棒ユーセフに捧げた「L.I.F.E. Gives」(『タグス・オブ・ザ・タイムス3』にも収録)を始め、彼のストレートなラップが冴え渡る本作は、ウエストコースト・ヒップホップの歴史をもしっかりと感じさせてくれる。彼も参加しているクルー=プロジェクト・ブロウドのメデューサやトラック・メイカ−のアッドリブフリースタイル・フロウシップのDJ=J・スンビら自分の人脈のみで構成されたスタッフ陣とのやりとりに注目頂きたい。限りなくイマジネーションを刺激する一枚だ。 |
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11. THE OPUS / 001First Contact!(Tri-Eight) 同郷(シカゴ)のラバールーム、ソウフォーの各アルバムで、その音像センス抜群のサウンド・プロダクションを披露した2人組=ジ・オーパスの初アルバム。そのインナー・スペースを巧みに表現したインスト・トラックの数々は期待を裏切らないディープさでラバールームの狂気を引き出した時や、ソウフォーの詩情豊かなリリックを誘発した時とも違う、オーパス名義である事に意義のある作品となっている。MCをFeat.したトラックでの共鳴具合も素晴らしい。じっくりと聴き浸りたい逸品。 |
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12. 3582 / The Libing Soul(Hum Drums) シンシナティをベースに活動するビート・クリエイター兼ラッパー、J・ロウルズ(ローン・カタリスツ)とファット・ジョン(ファイブ・ディーズ)による超党派タッグ=3582(ペイジャー・コードを合せたもの、とか)の1stアルバム。共に“ネタ師”としてこれまでの作品でそのサンプリング・メソッドのレベルの高さを見せつけていた存在ではあるが、このユニットでは主にJ・ロウルズがビーツを担当し、ファット・ジョンはラッパーに徹している(「35 mIX」のみ彼のビーツ)。名曲「Yesterday」を始め、サンプリングならではの暖みのあるサウンドとリキみのないフロウが心地よい良盤。 |